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【介護分野】特定技能1号は5年後も働ける?定着支援と受け入れ要件とは

特定技能制度における介護分野での外国人材受け入れが本格化してから数年が経過し、多くの介護施設で外国人介護士が活躍しています。しかし、特定技能1号の在留期間は最長5年という制限があるため、施設経営者にとって「5年後どうなるのか」は重要な関心事となっているでしょう。

本記事では、特定技能1号で働く外国人介護士の5年後の進路パターンから、受け入れ条件、試験内容、長期雇用を実現するためのポイントまで、介護施設の経営者が知っておくべき情報を包括的に解説します。

外国人材を安定的に雇用し続けるための制度理解と戦略構築にお役立てください。

株式会社BKUは、ミャンマーの送り出し機関と日本国内の登録支援機関を運営する人材紹介会社です。ミャンマー人材の文化・言語などの理解はもちろん、外国人材の紹介から採用、入国手続きまで一貫してサポートできることが当社の強みです。

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伊勢明敏プロフィール写真

 

株式会社BKU代表取締役|日本で光学機器メーカーで研究職として4年間従事。その後ミャンマーに移住して、株式会社BKUを創業。9年間の在住中では、外国語大学と仏教大学にてミャンマーの言語・文化を専門的に学習。ミャンマーの言語・文化・制度すべてに精通した人材紹介から、累計400名以上の技能実習生・特定技能人材の送り出し実績を持つ。

目次

【介護分野】特定技能1号は5年後どうなる?進路パターン別に解説!

特定技能1号5年後はどうなる?

特定技能1号で働く外国人介護士の5年後の進路は、大きく3つのパターンに分かれます。施設経営者にとって最も重要なのは、受け入れた外国人材がどの道を選択するかを事前に把握し、それぞれのケースに対応できる体制を整えることです。

各パターンには異なる条件や手続きが必要となるため、施設側も早い段階から適切なサポート体制を構築する必要があります。特に、長期雇用を希望する場合は外国人材のキャリアプランと施設の人材戦略を一致させることが重要でしょう。

ここでは、3つの主要な進路パターンについて詳しく解説します。

【パターン1】特定技能1号の在留期間終了で帰国する

特定技能1号の在留期間は通算で最長5年間と定められており、期間満了後は原則として帰国することになります。このパターンを選択する外国人材は、日本での就労経験を母国でのキャリアアップに活用したいと考えているケースが多いのが特徴です。

特定技能1号の外国人材が5年で帰国を希望する理由
  • 家族の事情
  • 母国での事業計画
  • 文化的な価値観の違いなど

施設側としてはこの選択を尊重しつつ、培った技能や知識を最大限活用できる環境を最後まで提供することが重要です。また、帰国後も良好な関係を維持することで、将来的な人材紹介や技術交流につながる可能性もあるでしょう。

帰国準備には相応の時間と手続きが必要となるため、外国人材の意向を早めに確認し適切な引き継ぎ計画を立てることが求められます。

【パターン2】介護福祉士資格を取得し在留資格「介護」に移行する

介護福祉士資格を取得して在留資格「介護」に変更するパターンは、施設にとって最も理想的な選択肢といえます。というのも、この資格を取得することで在留期間の制限がなくなり、長期的な雇用が可能となるからです。

介護福祉士資格の取得には、特定技能1号での3年以上の実務経験と実務者研修の修了が必要です。さらに国家試験に合格する必要があるため、学習面でのサポートが求められます。施設側は語学サポートや学習時間の確保、受験費用の支援など、包括的なバックアップ体制を整えることが重要でしょう。

資格取得後は専門職としての地位が確立され、より高度な業務に従事できるようになります。給与面での処遇改善も期待でき、外国人材のモチベーション向上と施設の人材確保の両方にメリットがある選択肢といえます。

詳細は「特定技能から永住権へ:介護福祉士資格で実現する日本での長期キャリア構築ガイド」をご参照ください。

【パターン3】日本人や永住者の配偶者になる

日本人や永住者と結婚し配偶者としての在留資格を取得することで就労制限が撤廃され、継続的な雇用が実現可能となります。

なぜなら、 配偶者としての在留資格は特定技能や技能実習とは異なり就労に関する制限がないからです。そのため、在留期間の制約を受けることなく、安定した雇用関係を維持できるからです。また、このパターンでは外国人材が日本での長期的な生活基盤を確立できるため、職場への定着率も高くなる傾向にあります。

ただし、このパターンは個人の生活設計に関わる事項であるため、施設側が直接的に関与することは適切ではありません。それでも、職場環境を整備することで間接的なサポートは可能です。

  • 職場での良好な人間関係の構築支援
  • 地域コミュニティとの交流機会の提供
  • 地域イベントへの参加促進
  • 多文化理解の促進活動

したがって、結婚による在留資格変更は外国人材にとって日本での長期的な生活基盤を築く重要な選択肢となります。同時に、施設側にとっても経験豊富で定着率の高い人材を継続的に活用できるメリットがあるのです。

【介護分野】そもそも技能実習と特定技能って何が違う?

技能実習と特定技能って何が違う?

技能実習制度と特定技能制度はどちらも外国人材の受け入れ制度でありながら、目的や仕組みには大きな違いがあります。多くの施設経営者が両制度を混同しやすいのは、介護分野において同時期に運用されているためです。

技能実習制度は国際協力の一環として技能移転を目的としており、原則として転職が認められていません。一方、特定技能制度は人材不足解消を目的とした就労制度であり、同一分野内での転職が可能という大きな違いがあります。この違いを正確に理解することで、適切な制度選択と人材管理が可能となるでしょう。

また、介護分野特有の制度運用についても詳しく確認していきます。

なぜ技能実習と特定技能は混同されやすいのか

技能実習制度と特定技能制度が混同されやすい理由は両制度が並行して運用されており、外国人材の受け入れという共通点があるためです。しかし、制度の根本的な目的は大きく異なっています。

特定技能と技能実習の比較

引用:出入国在留管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組 技能実習と特定技能制度の比較

なぜなら、技能実習制度は「技能移転による国際協力」を目的としており、習得した技能を母国の発展に活用することが前提となっているからです。そのため転職は原則禁止されており、受け入れ機関との関係は固定的です。

一方、特定技能制度は「人材不足の解消」を目的とした労働制度であり、適切な労働条件のもとで就労することが重視されます。

特定技能と技能実習制度の違いを理解していないと、外国人材とのミスマッチや予期しない離職につながることがあります。施設経営者は両制度の特徴を正確に把握し、自施設の人材戦略に最適な制度を選択することが重要でしょう。

介護分野の特定技能に2号ってあるの?

現在、介護分野において特定技能2号の制度は設けられていません。

介護分野に特定技能に号はない

なぜなら、介護分野にはすでに在留資格「介護」という制度が存在するからです。在留資格「介護」は制約が最も少なく、外国人介護人材が希望すれば永続的に日本で働くことも可能な制度となっています。つまり、特定技能2号と同様の長期滞在機能が、別の在留資格によって既に提供されているのです。

具体的には、特定技能1号で3年間の実務経験を積み介護福祉士の国家試験に合格することで、在留資格「介護」に変更できます。この資格により、家族帯同や永続的な滞在が可能になります。

他分野が特定技能2号によって長期滞在を実現するのに対し、介護分野では在留資格「介護」という別のルートが用意されています。これにより、介護分野で働く外国人にとっても、最終的には永続的な滞在と就労が可能な制度設計となっているのです。

介護職で特定技能人材が従事できる業務と施設を紹介!

介護分野の特定技能1号で従事できる業務範囲は、身体介護、生活援助、機能訓練、療養上の世話など、介護福祉士の業務範囲に準じています。ただし、訪問系サービスについては一定の制限があるので注意が必要です。

特定技能「介護」対象施設

引用:厚生労働省 介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について

対象施設は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービス、ショートステイなど多岐にわたります(※1)。さらに、各施設には受け入れ条件が設けられており、適切な指導体制の確保や日本人職員との適正な配置バランスが求められています。

施設経営者は制度の詳細を把握し、効果的な人材活用戦略を構築することが重要でしょう。

※1引用元:厚生労働省 介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について

介護分野で特定技能人材を受け入れる条件を確認しよう!

介護分野で特定技能人材を受け入れる条件を確認しよう!

介護分野で特定技能人材を受け入れるためには、施設側が満たすべき条件が詳細に定められています。これらの条件は外国人材の適切な就労環境を確保し、利用者への質の高いサービス提供を維持するために設けられているものです。

主な条件として、適切な指導体制の確保、日本人職員との配置バランス、労働条件の適正性などがあります。

また、外国人材への生活サポートや日本語学習支援なども重要な要素です。これらの条件を事前に理解し準備を整えることで、スムーズな受け入れが可能となるでしょう。

ここでは、具体的な受け入れ条件と手続きの流れについて詳しく解説します。

介護分野で特定技能1号を採用する流れとは

介護分野の特定技能1号の採用プロセスは、海外からの直接採用と国内での転職採用で若干異なります。

外国人材受け入れ方法

引用:出入国在留有管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

海外からの採用では、外国人材が技能試験と日本語試験に合格していなければなりません。採用決定後は在留資格認定証明書の交付申請を行い、許可後に外国人材が来日する流れです。(※2)。

一方、国内での転職採用の場合は在留資格変更許可申請を行います。

いずれの場合においても、雇用契約書の作成、支援計画の策定、関係機関への届出など、多くの手続きを必要ですが、これらの手続きは複雑で時間を要するため、専門知識を持つ行政書士や登録支援機関との連携が重要になります。

受け入れ施設の適切な準備により外国人材のスムーズな受け入れが実現できるでしょう。

※2引用元:出入国在留有管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

介護施設が外国人材を受け入れる条件は?

介護施設が特定技能人材を受け入れるためには、厚生労働省が定める厳格な条件をクリアする必要があります。最も重要な条件の一つが、適切な指導体制の確保です。

外国人材受け入れ条件の具体例

  1. 介護福祉士等の有資格者による指導体制の整備
    外国人材1名につき介護福祉士などの有資格者を指導担当者として配置し、業務指導や相談対応を行う体制を整備する

  2. 外国人材と日本人職員の適正な配置比率の維持
    事業所全体の外国人材の割合を適切に保ち、日本人職員との バランスを取ることでサービスの質を維持する

  3. 労働条件の適正性確保
    日本人と同等以上の報酬支払い、適正な労働時間管理、有給休暇の付与など、労働基準法に基づく適切な雇用条件を提供する

  4. 外国人材への生活オリエンテーションの実施
    来日時に日本の生活習慣、交通ルール、医療制度、緊急時の対応方法などについて説明し円滑な生活適応をサポートする

  5. 日本語学習支援の提供
    業務に必要な専門用語や利用者とのコミュニケーション向上のため、継続的な日本語研修や学習機会を提供する

  6. 相談窓口の設置
    仕事や生活面での悩みを気軽に相談できる窓口を設け、必要に応じて母国語での対応も可能にする体制を整備する

これらの条件は単なる形式的な要件ではなく外国人材が安心して働ける環境づくりと、利用者への質の高いサービス提供を両立させるための実質的な基準となっています。施設側は十分な準備期間を設けて、これらの体制整備に取り組むことが重要でしょう。

特定技能介護の日本語レベルは?

介護分野の特定技能1号に求められる日本語レベルは、日本語能力試験N4以上または介護日本語評価試験の合格が必要です(※3)。

N4レベルとは
基本的な日本語を理解し、日常生活に必要なコミュニケーションが可能なレベル

ただし、介護現場では利用者や家族とのコミュニケーションがサービスの質に直結するため、実際の業務ではより高い日本語能力が求められます。そのため、採用後も継続的な日本語学習支援が重要です。

さらに、施設側は外国人材の日本語能力向上をサポートするため、学習機会の提供や業務内での実践的な指導を行うことが推奨されています。これにより、外国人材の職場定着と利用者満足度の向上が同時に実現できるでしょう。

※3引用元:出入国在留有管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

特定技能1号介護の試験って?内容や申し込みをチェック!

特定技能1号介護の試験って?内容や申し込みをチェック!

介護分野の特定技能1号の在留資格を取得するためには、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の両方に合格する必要があります。これらの試験は外国人材の基本的な介護技能と日本語能力を測定するものです。

なお、試験内容は実際の介護現場で必要とされる知識と技能に基づいて構成されており、合格することで一定水準以上の能力を持つことが証明されます。施設経営者にとって、これらの試験制度を理解することは採用予定者の能力レベルを把握し、受け入れ後の指導計画を立てる上で重要となります。

ここでは、試験の具体的な内容と申し込み方法について詳しく解説します。

特定技能1号介護の試験は?過去問を見て備えよう!

介護技能評価試験は学科試験と実技試験があり、どちらもコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施されます(※4)。

【介護技能評価試験】

学科試験

  • 介護の基本(10問)
  • こころとからだのしくみ(6問)
  • コミュニケーション技術(4問)
  • 生活支援技術(20問)

実技試験

  • 判断等試験等の形式による実技試験課題を出題

介護日本語評価試験は、介護現場で使用される専門的な日本語能力を測定します。

【日本語評価試験】
  • 介護のことば(5問)
  • 介護の会話・声かけ(5問)
  • 介護の文書(5問)

厚生労働省では両試験のサンプル問題を公開しており、受験予定者はこれらを活用して効果的な学習を進められます。施設側も採用予定者の学習支援として、これらの教材を活用しましょう(※5)。

※4引用元:厚生労働省    技能試験・日本語試験の概要(介護分野)

※5引用元:厚生労働省 介護技能評価試験サンプル問題 介護日本語評価試験サンプル問題

【2025年版】介護特定技能試験の申込み方法は?

介護特定技能試験は、プロメトリック社のシステムを通じて申し込みを行います。試験は全国の指定会場で実施され、受験者の利便性を考慮して複数の日程から選ぶことができます(※6)。

申し込みはオンラインで行い、受験料の支払い、受験会場の選択、試験日程の予約が可能です。申し込み期間は試験実施日の約1か月前から開始され、定員に達し次第締め切られるため早めの申し込みが良いでしょう。

介護特定技能試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験)の申込みは、個人申込みと企業・団体申込みの2つの方法があります。どちらの場合も、まずプロメトリックIDの取得が必要です(※7)。

【個人申込みの場合】

個人で申込む場合は、クレジットカードでの支払いとなります。

申込み手順

  1. プロメトリック予約サイトにログイン
  2. プロメトリックIDでログイン後、「Japan」を選択
  3. 「Login」をクリック
  4. 支払い方法で「Credit card」を選択
  5. クレジットカード情報を入力
  6. 受験者情報・顔写真の登録
  7. 試験・日時・受験会場・支払い方法の選択
  8. 予約完了

 

【企業・団体申込みの場合】

企業や団体で複数名の申込みを行う場合は、バウチャー(受験券)での支払いが可能です。

初回利用時の準備

  • バウチャーエクスプレス(http://ac.prometric-jp.com/common_contents/voucher.html)でオンライン購入用アカウントを作成

申込み手順

  1. バウチャー購入:バウチャーエクスプレスにログインし、バウチャーをクレジットカード決済で購入・配布
  2. 試験予約:プロメトリック予約サイトにプロメトリックIDでログイン
  3. 受験者情報・顔写真の登録
  4. 試験・日時・受験会場・支払い方法の選択
  5. 支払い方法で「Voucher」を選択し、バウチャー情報を入力
  6. 予約完了

この手順に従って申込みを行えば、スムーズに介護特定技能試験の受験準備を進めることができます。予約が完了すると受験票(Confirmation Letter)が表示されますので、必ず印刷して試験当日に持参しましょう。

また、受験者は身分証明書の準備、試験会場までのアクセス確認なども必要です。施設側が採用予定者の受験をサポートする場合は、これらの手続きについて適切な情報提供を行うことが重要です。

※6引用元:PROMETRIC 日本国内の開催日程
※7引用元:厚生労働省 介護技能評価試験・介護日本語評価試験 国内試験 申込手順

【特定技能】介護日本語評価試験とは?テキストはある?

介護日本語評価試験は、介護現場で必要な専門的な日本語表現の理解を測定する試験です。なぜなら、一般的な日本語能力とは異なり、介護業務に特化した語彙や表現の習得が重要となるからです。

具体的には、試験対策として厚生労働省が作成した学習用テキストが無料で提供されています。このテキストには介護現場でよく使用される専門用語や表現が体系的にまとめられており、効果的な学習が可能です。

施設側は採用予定者にこれらの教材を紹介し学習の進捗状況を把握してサポートすることで、合格率の向上と採用後の円滑な業務開始につなげられるでしょう。

※8引用元:厚生労働省 介護の特定技能評価試験 学習テキスト

特定技能には無料で学べる介護問題集もある!

厚生労働省では外国人材の学習を支援するため、無料の学習用教材を提供しています(※9)。これらの教材は介護技能評価試験と介護日本語評価試験の両方に対応しており体系的な学習が可能です。

学習用テキストは日本語版のほか、英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語、ミャンマー語などの各言語版が用意されており、様々な国籍の受験者に対応できる充実したサポート体制が整っています。

これらの無料教材を活用することで、受験者の経済的負担を軽減しながら効果的な学習が可能となります。施設側も採用予定者に無料教材を積極的に紹介し、学習支援の一環として活用しましょう。

※9引用元:厚生労働省 外国人介護人材の受け入れについて

特定技能が5年後を見据えて介護福祉士・永住を目指すには

特定技能が5年後を見据えて介護福祉士・永住を目指すには

特定技能1号(介護)で働く外国人材が日本での長期キャリアを構築するためには、介護福祉士資格の取得が最も確実な道筋となります。

なぜなら、この資格を取得することで在留資格「介護」への変更が可能となり、在留期間の制限なく働き続けることができるからです。

具体的には、介護福祉士資格取得には実務経験3年以上と実務者研修の修了、そして国家試験の合格が必要です。施設側は外国人材のキャリア形成を支援するため、計画的な学習サポート体制を構築することが重要となります。また、資格取得後の処遇改善や永住権取得に向けた支援も、長期雇用実現のカギとなるでしょう。

ここでは具体的な取得方法と支援策について詳しく解説します。

特定技能1号が介護福祉士を受験し合格する方法

特定技能1号から介護福祉士合格を目指すには、入国直後からの計画的な準備と段階的なステップが成功のカギとなります。

なぜなら、限られた5年間で実務経験3年の蓄積、実務者研修の修了、そして国家試験合格という3つの大きなハードルをクリアする必要があるからです。日本語による専門知識の習得には相当な時間を要するため、早期からの体系的な学習が重要となるでしょう。

国家試験は11科目の幅広い専門知識が問われ、6割以上が合格ラインです。さらに、専門用語を日本語で正確に理解しなければならず、母国語での学習とは大きく異なります。また、年1回しかない試験で失敗すると翌年まで待つ必要があり、5年間という限られた期間では再チャレンジの余裕がほとんどありません。

したがって、介護福祉士合格は「計画的な準備」と「継続的な努力」が必要です。早期からの行動開始が、5年後の永住権取得への確実な道筋となります。

詳細については「【合格率アップ!】外国人に介護福祉士の資格を取得させるための支援策と学習法」をご参照ください。

資格取得後は永住もできる?制度の活用方法

介護福祉士資格を取得し在留資格「介護」に変更した外国人材は、永住権の申請が可能となります。

通常、永住権申請には10年以上の在留歴が必要ですが、在留資格「介護」が専門的・技術的分野に該当するため、永住権取得の要件が緩和されるからです 

ただし、永住権取得には複数の条件が存在します。 

  • 素行が善良であること
  • 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
  • 永住が日本国の利益に合致すること

一方で、施設側には外国人材の永住権取得を支援するため、安定した雇用の継続が求められます。また、適正な処遇の提供により、生計維持の条件をクリアできるよう配慮しましょう。

このように、制度を効果的に活用するためには、外国人材と施設側の双方が連携して取り組むことが重要です。

特定技能1号が永住権を目指すなら何年働けばいい?

特定技能1号から永住権取得を目指す場合は、特定技能1号での就労3年+介護福祉士資格取得+在留資格「介護」での就労2年以上というパターンが一般的です。トータルで5年以上の在留期間が必要となります。

ただし、永住権申請のタイミングは在留状況、収入の安定性、納税状況、社会保険加入状況など、多角的な審査が行われるため個々の状況により異なります。また、申請から許可まで数か月から1年程度の期間を要することがあるので注意が必要です。

つまり、施設経営者は外国人材の永住権取得計画を把握し、長期的な雇用戦略に組み込むことが重要です。永住権を取得した外国人材は転職の自由度が高まるため、処遇改善や職場環境の充実により継続勤務へのインセンティブを提供することが求められるでしょう。

詳細は「特定技能から永住権へ:介護福祉士資格で実現する日本での長期キャリア構築ガイド」をご参照ください。

訪問介護も可能に?特定技能の業務範囲を確認!

訪問介護も可能に?特定技能の業務範囲を確認!

特定技能1号(介護)の業務範囲は施設系サービスに限定されていましたが、制度改正により訪問系サービスでの従事も可能となりました

ただし、訪問系サービスでの従事には一定の条件が設けられており単独での訪問は制限されています。適切な指導体制のもとで、利用者の安全とサービスの質を確保することが前提となっているのです。

詳細については「【技能実習生】訪問介護系サービスでの従事が可能に!受け入れ施設に必要な準備や条件とは?」をご参照ください。

特定技能の転職や変更に企業がとるべき対応を考えよう

特定技能の転職や変更に企業がとるべき対応を考えよう

特定技能制度では同一分野内での転職が認められているため、施設経営者は外国人材の転職リスクを常に意識する必要があります。技能実習制度とは異なり、特定技能人材には職業選択の自由があることを理解し、適切な対応策を講じることが重要です。

転職防止の最も効果的な方法は、魅力的な職場環境の構築と適正な処遇の提供です。また、外国人材のキャリアプランに沿った成長機会の提供も重要な要素となります。

一方で、転職が避けられない場合の手続きについても事前に理解しておく必要があるでしょう。

詳細については、「【受け入れ企業向け】在留資格「介護」を持つ外国人材の転職について徹底解説」をご参照ください。

介護経験者が語る!外国人介護人材のいいところ

介護経験者が語る!外国人介護人材のいいところ

実際、外国人材を受け入れるとなると、「言葉や文化の違いで現場が混乱しないか」「スタッフや患者が戸惑わないか」と不安を感じる施設経営者の方も多いのではないでしょうか。

私は現場経験9年で、そのうち2年間は病院で外国人材と関わってきました。

正直に言うと、私自身も「本当に大丈夫だろうか」と心配していた一人です。ですが、現場でベトナムとフィリピン出身のスタッフ4名と一緒に働き、毎日のやりとりを通じてイメージは大きく変わりました。

ここでは、私自身が介護の現場で感じた「外国人介護人材のいいところ」を経験をもとにお伝えします。

 

とても真面目で与えられた仕事を丁寧にこなしてくれる

私が特に印象に残っているのは、入浴介助の場面です。
外国人スタッフは、患者さんごとの持ち物の確認を毎回欠かさず行い、「この患者さんはどのくらいの介助が必要か」「どこを手伝えば安全か」といった細かな特徴を、しっかり覚えて対応してくれていました。

勤務先の病院では患者の入れ替わりが頻繁にあるため、日本人スタッフでも準備や対応に戸惑うことがあります。それにもかかわらず、外国人スタッフたちはいつも落ち着いて、丁寧に業務を進めていました。

他のスタッフから同じことを何度も指摘されている場面もほとんど見かけず、「真面目で一生懸命」という印象が強いです。

患者や利用者と信頼関係を築くのが得意

外国人スタッフと患者が病室で楽しそうに話している様子を日常的によく見かけました。外国人スタッフの年齢が若いこともあって、患者から「◯◯ちゃん」とあだ名で呼ばれるなど、とても可愛がられていました。

というのも、患者からのちょっとした無理なお願いにも嫌な顔ひとつせず、笑顔で丁寧に応じる姿勢があったからだと思います。話し相手ができたことで、普段よりも表情が柔らかくなっていた患者も多く、「信頼関係がしっかり築けているな」と感じる場面は多かったです。

文化や価値観の違いによるトラブルはほとんどない

正直なところ最初は不安が強かったです。というのも、病院は痛みや入院生活のストレスから不満を抱えている人が多くいらっしゃいます。そこへ日本語がうまく通じない外国人スタッフが対応するとなれば意思疎通ができず、さらに不満を訴える患者が増えるのではないかと思っていました。

しかし、実際にはそうした場面は2年間の間で一度もありませんでした。

外国人スタッフたちは患者の話をしっかりと聞き、理解してから行動に移してくれます。わからないことは素直に「わかりません」と伝え、それでも解決しない場合は日本人スタッフに確認してから動く姿勢もあり、むしろ他スタッフよりも慎重で落ち着いた対応でした。

結果としてトラブルどころか、周囲との信頼関係を築くきっかけになっていたように感じます。

外国人介護人材を迎えるなら”5年後”まで見据えた設計を

外国人介護人材を迎えるなら"5年後"まで見据えた設計を

ここまで見てきたように、特定技能1号(介護)で働く外国人材の5年後の進路は多様であり、それぞれに異なる準備と支援が必要です。帰国、介護福祉士資格取得、配偶者としての在留資格変更という3つの主要な選択肢を踏まえ、施設経営者は短期的な人手不足解消だけでなく、長期的な人材戦略を構築することが不可欠となります。特に、介護福祉士資格取得による在留資格「介護」への移行支援は、外国人材の定着と施設の安定運営の両方を実現する最も効果的な方策といえるでしょう。

技能実習制度との違いを正しく理解し、転職可能な特定技能制度の特性を踏まえた魅力的な職場環境づくりも重要です。真面目で献身的な外国人材の特性を活かしながら、日本語学習支援、専門資格取得支援、キャリア形成機会の提供など、包括的な成長支援体制を整備することで、外国人材にとって「選ばれる職場」となることができます。また、訪問介護への業務拡大や永住権取得への道筋など、制度の発展を見据えた柔軟な対応も求められるでしょう。

外国人介護人材の受け入れは、単なる労働力確保を超えて、組織の多様性向上と成長の契機となる可能性を秘めています。5年後を見据えた戦略的な取り組みにより、外国人材と施設の双方にとってメリットのある持続可能な関係を構築することが、これからの介護業界における成功の鍵となるのです。