ミャンマー特定技能/技能実習人材の送出し・DX活用なら株式会社BKU

【介護企業向け】どんな外国人材を採用すべきか?各在留資格の概要や違いを解説

介護業界では深刻な人手不足が続く中、外国人材の活用が重要な課題です。しかし、介護分野で働く外国人材には複数の在留資格が存在し、それぞれに異なる特徴や条件があります。

本記事では、介護分野における主要な在留資格である「介護」「EPA(経済連携協定)」「技能実習」「特定技能」について、転職の可能性や家族帯同、永住権取得の条件など、企業が知っておくべき重要な情報を詳しく解説します。

2025年4月から制度拡大された訪問介護についての最新情報も含め、外国人材の受け入れを検討する企業の皆様にお役立ていただければ幸いです。

株式会社BKUは、ミャンマーの送り出し機関と日本国内の登録支援機関を運営する人材紹介会社です。ミャンマー人材の文化・言語などの理解はもちろん、外国人材の紹介から採用、入国手続きまで一貫してサポートできることが当社の強みです。

「人手が足りない状況をどうにかしたい…」
「外国人材の採用は正直不安で…」
「本当に外国人材を採用したほうかいいのか…」

こうしたお悩みがございましたら、まずはご状況をお聞かせいただけますか?サービスの売込みは一切行いませんので、お気軽にお問い合わせください。

 
伊勢明敏プロフィール写真

 

株式会社BKU代表取締役|日本で光学機器メーカーで研究職として4年間従事。その後ミャンマーに移住して、株式会社BKUを創業。9年間の在住中では、外国語大学と仏教大学にてミャンマーの言語・文化を専門的に学習。ミャンマーの言語・文化・制度すべてに精通した人材紹介から、累計400名以上の技能実習生・特定技能人材の送り出し実績を持つ。

 

 

目次

介護業界における外国人材の重要性と現状

介護業界における外国人材の活用は、今や選択肢ではなく必須の戦略となっています。厚生労働省の推計によれば、2026年には約25万人の介護人材が不足するとされており、この数字は2040年には倍以上へ拡大する見込みです。※1このような状況下で、外国人材の力を借りることなく介護サービスの質と量を維持することは困難でしょう。

外国人材の受け入れは、単なる人手不足の解消策ではありません。多様な文化的背景を持つスタッフが職場にいることで、利用者に対するサービスの幅が広がるという側面もあります。

また、言語や文化の違いを乗り越えてサービスを提供するためには、コミュニケーション方法の見直しや業務の標準化が求められ、結果として組織全体のサービスの質の向上につながることも少なくありません。

一方で、外国人材の受け入れにはさまざまな課題も存在します。言語の壁、文化的な違いへの配慮、受け入れ体制の整備といった点は、どの介護施設でも直面する問題ではないでしょうか。

特に重要なのが、在留資格に関する知識です。介護分野で外国人が働くための在留資格には複数の種類があり、それぞれ異なる条件や制約が設けられています。採用や人事管理を適切に行うためには、これらの違いを正確に理解することは不可欠です。

では、それぞれの在留資格の特徴について詳しく見ていきましょう。

※1引用元:介護人材確保に向けた取組について | 厚生労働省

介護分野で働く外国人に必要な在留資格、4つの種類【違いを一覧で紹介】

介護分野で外国人が働くための在留資格には、主に4つの種類があります。それぞれの資格には特徴や要件があり、採用計画を立てる際には、これらの違いを十分に理解することが重要です。ここでは、「介護」「EPA(経済連携協定)」「技能実習」「特定技能」の4つの在留資格について、その基本的な特徴と違いを解説します。

在留資格 説明
在留資格「介護」
  • 日本の介護福祉士国家資格を取得した外国人に与えられる資格
  • 専門的・技術的分野の在留資格として位置づけられており、比較的安定した身分が保証される
EPA(経済連携協定)に基づく在留資格
  • インドネシア、フィリピン、ベトナムとの二国間協定に基づき、介護福祉士候補者として来日する外国人に適用
技能実習制度
  • 開発途上国への技能移転を目的とした制度
特定技能
  • 即戦力として期待される外国人材を受け入れるための制度

企業側としては、どのような人材を、どのような条件で雇用したいのかを明確にした上で、最適な在留資格を選択することが大切です。

短期的な人手不足の解消に適した在留資格

  • 技能実習
  • 特定技能

長期的な人材育成を視野に入れた在留資格

  • 在留資格「介護」
  • EPA

次項からは、これらの在留資格について、家族帯同の可否や永住権取得の可能性など、より具体的な側面から詳しく見ていきます。

介護分野の在留資格で家族の帯同が可能なのは?

介護分野で働く外国人材を受け入れる際、その家族の帯同が可能かどうかは、人材確保の観点から非常に重要な問題です。家族と離れて暮らすことによる精神的負担は、外国人材の定着率や仕事への集中力に大きく影響します

そのため、家族帯同の可否は採用戦略を立てる上で考慮すべき重要なポイントといえるでしょう。ここでは、介護分野の各在留資格における家族帯同の可能性について詳しく解説します。

▽家族帯同の可否一覧表

在留資格

家族帯同

在留資格「介護」

EPA(経済連携協定)

候補者は不可

技能実習

不可

特定技能

不可

在留資格「介護」は家族帯同が可能!条件について解説

在留資格「介護」は、家族帯同が可能な数少ない在留資格の一つです。この資格を持つ外国人は、「家族滞在」という在留資格で配偶者や子どもを日本に呼び寄せることができます。※2

これは、在留資格「介護」が専門的・技術的分野の在留資格として位置づけられているためです。高度な専門性を持つ人材として日本社会に貢献するという観点から、その生活基盤の安定を図るための措置といえます。

家族帯同のための主な条件としては、扶養能力の証明が必要です。具体的には、外国人本人の収入が家族全員を養うのに十分であること、適切な住居が確保されていることなどが求められます。

また、帯同する家族は、原則として配偶者と未成年の子どもに限られています。親や兄弟姉妹の帯同は、特別な事情がない限り認められていません。

家族帯同が可能であることは、在留資格「介護」の大きな魅力の一つです。家族と共に生活できることで精神的な安定が得られ、長期にわたって日本で働くモチベーションにつながります。

雇用主にとっても、人材の定着率向上が期待できるため、長期的な人材育成の観点からもメリットとなるでしょう。

※2引用元:外国人介護人材の受入れに関する制度の現況について

EPA(経済連携協定)は候補者の段階では家族帯同不可

EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者は、来日してから国家試験に合格するまでの期間(最大4年間)は、原則として家族の帯同が認められていません。これは、EPAプログラムが研修を主目的としており、試験合格までは一時的な滞在と位置づけられているためです。※2

しかし、国家試験に合格して介護福祉士となった後は、在留資格が「特定活動(EPA介護福祉士)」に変更され、その時点から家族帯同が可能となります。この点は、EPAプログラムの魅力の一つといえるでしょう。国家試験合格という明確な目標があり、それを達成することで家族と共に生活できる道が開かれるわけです。

とはいえ、候補者の段階では家族帯同ができないことは、EPAプログラムの大きな制約の一つです。特に、既に家族がいる外国人にとっては、数年間の別居を覚悟しなければならず、精神的な負担が大きいことは否めません。採用する側も、この点を十分に考慮した上でサポート体制を整える必要があるでしょう。

※2引用元:外国人介護人材の受入れに関する制度の現況について

技能実習では帰国前提の制度にて家族帯同不可

技能実習制度は、開発途上国への技能移転を主目的としており、実習生は技術を習得した後、母国に帰国して習得した技能を活かすことが前提となっています。

そのため、技能実習生の在留期間は最長でも5年間と限られており、家族の帯同は認められていません。※3

技能実習生は、あくまでも一時的に来日して技能を学ぶ「実習生」という位置づけです。そのため、制度設計の段階から家族帯同は想定されていないのです。

この点は、技能実習制度の大きな制約の一つでしょう。特に、介護のような対人サービスの分野では、心身の安定が仕事の質に直結します。

家族と離れて暮らすことによるストレスや不安は、実習生の精神的健康に影響を及ぼす可能性があります。受け入れ企業としては、そうした実習生の心理的側面にも配慮したケアやサポートが求められるでしょう。

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

特定技能では家族帯同不可

特定技能は、2019年4月に新設された在留資格です。人手不足が深刻な特定の産業分野(介護を含む)が即戦力を期待して外国人材を受け入れるための制度です。

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。現時点で介護分野で認められているのは「特定技能1号」のみであり、この在留資格では家族の帯同は認められていません。※3

これは、「特定技能1号」が短期間の労働力確保を目的とした在留資格であり、定住を前提としていないためです。

ただし、将来的に介護分野でも「特定技能2号」が認められるようになれば、状況は変わる可能性があります。「特定技能2号」では家族帯同が可能となる見込みですが、現時点では介護分野での適用は決まっていません。

このように、特定技能による外国人材の受け入れは、短期的な人手不足解消には有効ですが、家族帯同ができないという制約があります。企業としては、この点を十分に理解した上で採用計画を立てる必要があるでしょう。

次に、各在留資格における永住権取得の可能性について見ていきましょう。

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

介護分野の在留資格で永住権が獲得できるのは?永住権獲得の条件も解説

介護分野で働く外国人材にとって、日本での永住権取得の可能性は大きな関心事です。なぜなら、永住権を得ることで、在留期間の制限がなくなり、より安定した生活とキャリア形成が可能になるためです。

同時に、企業側にとっても、永住権を取得できる可能性のある在留資格であれば、長期的な人材確保の観点から魅力的といえるでしょう。ここでは、各在留資格における永住権取得の可能性と、その条件について解説します。

永住許可の一般的な条件としては以下のとおりです。※4

永住許可の一般的な条件

  • 10年以上の日本在留
  • 素行が善良であること
  • 独立した生計を営めること
  • 日本国の利益に合致すること

ただし、高度人材や日本人の配偶者などは、特例として在留期間の短縮が認められる場合があります。

では、介護分野の各在留資格における永住権取得の可能性を見ていきましょう。

▽永住権獲得の可否一覧表

在留資格

永住権獲得の可否

在留資格「介護」

EPA(経済連携協定)

候補者は不可

技能実習

不可

特定技能

不可

※4引用元:永住許可申請 | 出入国在留管理庁

在留資格「介護」は永住権獲得可能だが、ルートは長い

在留資格「介護」を持つ外国人は、一定の条件を満たせば永住権を取得することが可能です。在留資格「介護」は専門的・技術的分野の在留資格として位置づけられており、永住権取得のための正規のルートに乗ることができます。

ただし、通常のケースでは、日本に10年以上在留するという条件があるため、永住権取得までの道のりは決して短くありません。

在留資格「介護」を取得するためのルートの一つとして、日本の介護福祉士養成施設を卒業して、介護福祉士国家試験に合格する場合で考えてみましょう。養成施設での就学期間(通常2〜4年)を含めると、来日から永住権取得まで最低でも12〜14年程度の期間が必要になります。

ただし、「高度人材ポイント制」の対象となる場合は、在留期間の要件が緩和される可能性があります。例えば、高度専門職ポイントが70点以上であれば3年の在留で、80点以上であれば1年の在留で永住申請が可能です。

介護福祉士の場合、学歴や職歴、年収などによってポイントが加算されますが、現時点では高度人材の要件を満たすのは難しい状況です。

このように、在留資格「介護」から永住権を取得するルートは存在するものの、実際には相当の時間と努力が必要になります。雇用主としては、この点を踏まえた上で、長期的な視点での人材育成と定着支援を考える必要があるでしょう。

EPA(経済連携協定)は候補者の段階では永住権獲得不可

EPA(経済連携協定)に基づいて来日した介護福祉士候補者が、国家試験に合格して介護福祉士になった場合、その後の在留資格は「特定活動(EPA介護福祉士)」となります。この在留資格自体には在留期間の上限がなく、更新を続ければ無期限に日本に滞在することが可能です。※5

しかし、「特定活動(EPA介護福祉士)」という在留資格の性質上、通常のルートでの永住権取得は難しいとされています。特定活動は、他の在留資格とは異なり、特別な二国間協定に基づく特殊な在留資格であり、一般的な永住許可の申請ルートには乗りにくいためです。

ただし、EPA介護福祉士が日本人と結婚した場合など、他の要素によって永住権取得が容易になるケースもあります。

企業としては、EPA介護福祉士の長期的なキャリアパスについて慎重に検討する必要があるでしょう。

※5引用元:経済連携協定に基づく受入れの枠組

技能実習は5年の一時的な制度であるため永住権は獲得できない

技能実習制度は、その名の通り「実習」を目的とした制度であり、技能移転による国際貢献が主な目的です。そのため、在留期間は最長でも5年間と限られており、永住権の取得は制度設計上、想定されていません。また、技能実習からその他の就労可能な在留資格への変更も、原則として認められていません。

ただし、技能実習2号を修了した者は特定技能1号へ移行することができます。これにより、最長で10年間(技能実習5年+特定技能1号5年)の在留が可能です。※6

しかし、永住権取得の要件である10年以上の「就労可能な在留資格での在留」には直接つながりません。

このように、技能実習制度は永住権取得を目指す外国人にとっては適さない制度といえます。企業としても、技能実習生の受け入れは短期的な人材確保の手段と位置づけ、長期的な人材育成の観点からは他の在留資格の活用も検討すべきでしょう。

※6引用元:特定技能 ガイドブック

特定技能は上限5年のため永住権を獲得できない

特定技能1号の在留期間は通算で最長5年となっており、この期間内で永住権を取得することは制度上不可能です。永住権取得には通常10年以上の在留が必要であり、特定技能1号だけでは要件を満たすことができません。※6

また、特定技能1号から他の在留資格への変更については、一定の条件下で可能な場合がありますが、永住権取得に直結するような明確なキャリアパスは、確立されていません。

特定技能2号では在留期間の上限がなく、更新を続ければ永住権取得に必要な10年間の在留も可能です。しかし、現時点では介護分野における特定技能2号の導入は未定となっています。

このように、特定技能1号は永住権取得を目指す外国人にとっては適さない在留資格といえます。企業としても、特定技能1号での受け入れは短期的な人材確保の手段と位置づけ、長期的な視点では在留資格「介護」の取得支援など、キャリアパスの構築を考える必要があるでしょう。

※6引用元:特定技能 ガイドブック

介護分野での在留資格はそれぞれいつからとれる?

介護分野における外国人材の採用計画を立てる際には、それぞれの在留資格がいつから取得可能なのかを把握しておくことは重要です。在留資格によって取得までの道のりや必要な準備期間は大きく異なるため、計画的な採用活動を行うためには、これらの違いを理解しておく必要があります。

ここでは、各在留資格の取得時期と条件について詳しく解説します。

▽在留資格の獲得できるタイミング一覧表

在留資格

在留資格の獲得できるタイミング

在留資格「介護」

介護福祉士国家試験に合格後

EPA(経済連携協定)

本国で選別試験に合格後

技能実習

本国の送り出し期間に選抜される

特定技能

日本語試験と介護技能試験に合格後

 

在留資格「介護」は養成学校を卒業し、国家資格介護福祉士を取得後

在留資格「介護」は、2017年9月に新設された比較的新しい在留資格です。この資格を取得するためには、日本の介護福祉士養成施設を卒業(就学期間2〜4年)し、介護福祉士国家試験に合格することが必要です。※2

具体的なプロセスとしては、まず「留学」の在留資格で介護福祉士養成施設に入学します。そこで必要な課程を修了した後、介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格を「介護」に変更することができます。なお、養成施設のカリキュラムには実習も含まれているため、現場経験も積むことができます。

一方、既に母国で介護に関する資格や経験を持っている外国人の場合、EPA(経済連携協定)や特定技能などの在留資格で来日し、働きながら介護福祉士国家試験に合格することで、在留資格を「介護」に変更するという道もあります。ただし、この場合も国家試験合格という高いハードルがあります。

このように、在留資格「介護」の取得には相当の時間と努力が必要です。企業としては、長期的な視点での人材育成計画を立て、養成施設との連携や国家試験対策のサポートなど、体制を整えることが重要でしょう。

※2引用元:外国人介護人材の受入れに関する制度の現況について

EPA(経済連携協定)は本国で選抜され日本で研修を受けてから

EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者の受け入れ連携国は、インドネシア(2008年〜)、フィリピン(2009年〜)、ベトナム(2014年〜)です。このプログラムでは、現地で一定の要件(看護師資格や学歴など)を満たし、選抜試験に合格した候補者が来日し、介護施設で就労しながら介護福祉士国家試験の合格を目指します。※2

具体的なプロセスは以下の流れです。

特定活動(EPA介護福祉士)を取得するまでのプロセス

  1. 本国で候補者を選抜
  2. 選抜された候補者は来日後、約6カ月間の日本語等研修を受ける
  3. 受け入れ施設で就労しながら国家試験に向けた準備をする。
  4. 候補者には最大4年間の滞在期間が与えられる。

この4年の間に国家試験に合格すれば、「特定活動(EPA介護福祉士)」という在留資格で引き続き日本で働くことができます。

EPA介護福祉士候補者の受け入れは、年に1回です。各国からの受け入れ人数も限られているため、計画的な採用活動が必要です。また、候補者の選抜から来日までには約1年程度の期間を要するため、即戦力としての活用を期待する場合は注意しましょう。

このプログラムの特徴は、政府間協定に基づく公的なプログラムであり、日本語等研修や受け入れ調整などがJICWELS(国際厚生事業団)によって行われることです。そのため、受け入れ施設側の負担は比較的軽減されますが、一方で受け入れにはJICWELSへの申請や一定の要件を満たす必要があります。※3

※2引用元:外国人介護人材の受入れに関する制度の現況について

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

技能実習は本国の送り出し機関より選抜される

技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的とした制度で、介護分野では2017年11月から対象となりました。技能実習生は、本国の送り出し機関によって選抜され、日本の監理団体を通じて実習実施者(介護施設等)で実習を行います。※2

技能実習生の受け入れには、主に「団体監理型」と「企業単独型」の2つの方式がありますが、介護分野で利用されるのは一般的に団体監理型です。団体監理型の場合、介護施設等は監理団体(事業協同組合等)と契約し、監理団体が送り出し機関と連携して実習生を受け入れます。※3

受け入れ時のプロセスは以下のとおりです。

技能実習生を受け入れる際のプロセス

  1. 来日前に母国で一定の日本語教育や基礎的な介護知識を習得する
  2. 来日後、最初の2か月間は日本語や介護に関する基礎知識の講習を受ける
  3. 講習後、実習実施者で実際の介護業務に従事する

技能実習1号(1年目)、技能実習2号(2〜3年目)、技能実習3号(4〜5年目)と段階的に技能を習得していきますが、各段階への移行には以下の技能評価試験の合格が必要です。

  • 技能実習2号→介護技能評価試験(初級)
  • 技能実習3号→介護技能評価試験(専門級)

技能実習生の受け入れは、送り出し機関や監理団体との調整が必要であり、計画から実際の受け入れまでには半年から1年程度の期間が必要です。また、実習実施者には適切な実習環境の整備や、実習指導員の配置などの要件が課されます。

※2引用元:外国人介護人材の受入れに関する制度の現況について

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

特定技能は日本語試験と介護技能試験の合格が必要

特定技能は、深刻な人手不足に対応するために2019年4月に新設された在留資格です。介護分野では、「特定技能1号」が認められており、介護業務を行うことができます。特定技能1号を取得するためには、一定の日本語能力と介護技能を有していることを証明する必要があります。※2

日本語能力については、以下の試験の合格が必要です。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

また、介護技能については、介護技能評価試験の合格が求められます。ただし、介護技能実習2号を修了した外国人については、これらの試験が免除されます。※3

特定技能の外国人材は、これらの試験に合格した後、日本の受け入れ機関(介護施設等)と雇用契約を結び、「特定技能1号」の在留資格で来日することになります。試験の実施は不定期で、実施国も限られているため、採用計画を立てる際には最新情報の確認が必要です。

特定技能の取得は、他の在留資格と比較すると比較的迅速に行えるという特徴があります。試験に合格し、必要な手続きが整えば、数か月程度で来日することも可能です。

また、技能実習2号を修了した外国人は、試験免除で特定技能1号に移行できるため、技能実習から特定技能へのキャリアパスを設計することもできます。

ただし、特定技能1号は最長5年間という在留期間の制限があり、家族帯同も認められていないという制約があります。企業としては、これらの制約を理解した上で、外国人材の採用・育成計画を立てることが重要です。

※2引用元:外国人介護人材の受入れに関する制度の現況について

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

【2024年12月までの最新データ】介護分野での在留資格を持つ外国人の人数は?

介護分野における外国人材の活用状況を把握するためには、各在留資格ごとの人数を知ることが重要です。これにより、どの在留資格が多く活用されているのか、また年々どのように変化しているのかを理解することができます。ここでは、2024年12月時点での最新データに基づき、介護分野で働く外国人の人数を在留資格別に解説します。

近年、介護分野における外国人材の数は増加傾向です。これは、日本の高齢化の進展に伴う要介護者の増加と、介護人材の慢性的な不足を背景としています。特に、2019年の特定技能制度の導入や、技能実習制度の対象職種への介護の追加などの制度改正により、外国人材の受け入れ経路が拡大したことも大きな要因です。

各在留資格ごとの人数には特徴があり、それぞれの制度の歴史や取得の難易度、在留条件などが反映されています。企業が採用戦略を立てる際には、これらの数字を参考にしつつ、自社のニーズに合った在留資格を選択することが重要です。では、それぞれの在留資格ごとの人数をみていきましょう。

▽在留資格を持つ外国人の人数一覧表

在留資格

人数

在留資格「介護」

約9300人

EPA(経済連携協定)

約3200人

技能実習

約15,000人

特定技能

約28,000人

在留資格「介護」の人数

在留資格「介護」は、2017年9月に新設された比較的新しい在留資格です。この資格は、日本の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士国家資格を取得した外国人に与えられます。

2023年12月時点での在留資格「介護」の保有者数は約9,300人です。この数字は約1年でほぼ倍に増加しており、着実に増加傾向にあります。※7・8

在留資格「介護」の人数が増加している要因には以下の背景があります。

在留資格「介護」の人数が増加している要因

  • 日本の介護福祉士養成施設における留学生の増加
  • 日本語学校から介護福祉士養成施設へと進学する外国人の増加
  • EPA介護福祉士や技能実習生から在留資格「介護」への資格変更者も増加傾向

しかし、在留資格「介護」の取得には介護福祉士国家試験への合格が必要であり、日本語能力や専門知識の習得という高いハードルがあります。そのため、他の在留資格と比較すると、増加のペースはやや緩やかです。今後は、介護福祉士養成施設における留学生への支援の充実や、国家試験対策の強化などにより、さらなる増加が期待されています。

※7引用元:外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について

※8引用元:介護分野における外国人の受入実績等

EPA(経済連携協定)の人数

EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者・介護福祉士の受け入れは、2008年のインドネシアからの受け入れ開始以来、着実に実績を積み重ねてきました。

2024年3月時点でのEPA介護福祉士候補者及びEPA介護福祉士の総数は約3,200人です。このうち、介護福祉士候補者が約2,600人、介護福祉士国家試験に合格して介護福祉士となった者が約600人です。※7・8

EPA介護福祉士候補者の国家試験合格率は、初期の頃は低迷していましたが、日本語教育や試験対策の充実により、近年は向上しています。2024年の第37回介護福祉士国家試験では、EPA候補者の合格率は約40%でした。合格率には年によりバラ付きがあり、近年で最も多かった年は2022年の第35回の約65%です。※9

EPA制度は、公的な二国間協定に基づく制度であり、受け入れ人数は両国政府間の調整により決定されます。そのため、急激な増加は見込めないものの、安定した受け入れが継続されることが期待されます。また、EPA介護福祉士は日本での長期的な就労が可能であり、経験を積んでいくことができるため質の高い介護サービスを提供できるでしょう。

※7引用元:外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について

※8引用元:介護分野における外国人の受入実績等

※9引用元:「第 37回介護福祉士国家試験結果」において

技能実習の人数

技能実習制度における介護職種の受け入れは、2017年11月から始まり、2023年6月時点での介護職種の技能実習生の数は約15,000人です。2022年の同時期の人数も約15,000人であり変わりなく、安定しています。※7・8

技能実習生の、介護人材の需要の高まりには、技能実習制度の活用が比較的容易であることが挙げられます。特に、中小規模の介護施設では、EPA制度や特定技能制度に比べて受け入れのハードルが低い技能実習制度が選択されることが多いようです。

ただし、技能実習制度には、最長5年という在留期間の制限や転職の制限など、様々な制約があります。また、技能実習本来の目的である「技能移転」と、介護施設側の「人材確保」という目的のバランスをどう取るかという課題もあります。

受け入れ施設側には、単なる人手不足の解消だけでなく、技能移転という制度本来の目的を意識した受け入れが求められるでしょう。

※7引用元:外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について

※8引用元:介護分野における外国人の受入実績等

特定技能の人数

特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するために2019年4月に新設された在留資格です。介護分野でも「特定技能1号」が認められており、一定の日本語能力と介護技能を有する外国人材を受け入れることができます。

2023年12月時点での介護分野の特定技能1号保有者数は約28,000人です。同年1月の時点では約17,000人であり、4つの在留資格の中で最も増加率が高くなっています。※7・8

特定技能1号の人数が急増している背景には、技能実習2号修了者からの移行が増えていることが大きな要因です。技能実習2号を修了した外国人は、試験免除で特定技能1号に移行できるため、技能実習から特定技能へのキャリアパスを選択する外国人が増えています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に停滞していた特定技能外国人の受け入れが、水際対策の緩和により再開されたことも増加の一因です。

※7引用元:外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について

※8引用元:介護分野における外国人の受入実績等

介護分野での在留資格を持つ外国人材は転職できる?

介護分野で働く外国人材を受け入れる企業が、彼らの転職の可能性を把握しておくことは重要です。外国人材にとっては、キャリアアップや労働条件の改善のための転職は重要な選択肢となる一方、企業側にとっては、せっかく採用・育成した人材の流出というリスクにもなります。

ここでは、介護分野の各在留資格における転職の可能性について詳しく解説します。

各在留資格での、転職に関する制約は異なります。在留資格「介護」と特定技能1号は比較的転職の自由度が高い一方、EPAや技能実習には厳しい制約があります。これらの違いは、それぞれの制度の目的に関係しています。

企業側としては、これらの制約を理解した上で、外国人材の定着率を高めるための取り組みを行うことが重要です。では、それぞれの在留資格における転職の可能性を見ていきましょう。

▽各在留資格の転職の可否一覧表

在留資格

転職の可否

在留資格「介護」

可能

EPA(経済連携協定)

候補者の段階では不可

技能実習

不可

特定技能

可能

在留資格「介護」は介護業務に従事する限り転職可能

在留資格「介護」は、専門的・技術的分野の在留資格として位置づけられており、日本人と同様に転職の自由が認められています。

転職の際には、新たな就職先が決まった段階で、所轄の地方出入国在留管理局に「就労資格証明書」の交付申請または「所属機関等に関する届出」を行わなければなりません。この手続きを行えば、転職自体の制限はありません。※10

在留資格「介護」を持つ外国人が転職する主な理由として以下のものがあげられます。

在留資格「介護」を持つ外国人材が転職する理由

  • より良い労働条件(給与、勤務時間、休暇制度など)を求めるケース
  • キャリアアップを目指すケース
  • 職場の人間関係や雰囲気に馴染めないケース
  • 日本での生活基盤を移す必要がある(結婚など)

これらの理由による、在留資格「介護」を持つ外国人材の流出を防ぐために企業側としては、以下のような対策が求められます。

在留資格「介護」を持つ外国人材の離職対策

  • 適切な労働条件の提供
  • キャリアアップの機会の提供
  • 職場における多文化共生の環境づくり
  • 生活面でのサポートなど

特に、介護福祉士という国家資格を持つ貴重な人材であることを認識し、その専門性を適切に評価し活かせる職場環境を整えることが大切でしょう。

※10引用元:在留資格「介護」 | 出入国在留管理庁

EPA(経済連携協定)は候補者の段階では転職不可

EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者は、来日してから国家試験に合格するまでの間(候補者段階)は、原則として転職できません。これは、EPAプログラムが特定の受け入れ施設での研修と就労を前提としているためです。※3

ただし、受け入れ施設の倒産や違法行為、候補者に対する人権侵害があった場合など、やむを得ない事情がある場合に限り、JICWELSの調整のもとで受け入れ施設の変更が認められることがあります。しかし、これは例外的な措置であり、基本的には当初の受け入れ施設での就労が求められます。

一方、国家試験に合格してEPA介護福祉士となった後は、一定の条件のもとで転職が可能になります。具体的には、新たな就職先も介護業務を行う施設であること、JICWELSへの届出を行うことなどが条件です。ただし、EPA協定の趣旨を踏まえると、頻繁な転職は避けるべきとされています。

受け入れ施設側としては、EPA候補者が長期にわたって安心して就労・学習できる環境を整えることが重要です。特に、国家試験合格に向けた支援の充実は、候補者のモチベーション維持と定着率向上につながるでしょう。また、試験合格後のEPA介護福祉士に対しても、キャリアアップの機会やスキルアップの支援を提供することで、長期的な就労を促すことができます。

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

技能実習は研修が目的のため原則は転職不可

技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的とした制度であり、特定の実習実施者(介護施設等)での実習を前提としています。そのため、技能実習生は原則として転職できません。※3

ただし、技能実習の場合も、実習実施者側に倒産や事業廃止、法令違反や人権侵害などの実習の継続が困難となる理由あった場合に限り、監理団体の支援のもとで実習実施者の変更(転籍)が認められることがあります。この場合、新たな実習実施者での技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)の認定を受けなければなりません。

技能実習生の転籍は、あくまでも例外的な措置であり、通常の転職とは異なります。転籍後も、同一の技能実習計画に基づいて実習を継続することになり、在留期間が延長されるわけではありません。

実習実施者側としては、技能実習制度の趣旨を理解し、適切な実習環境の整備に努めることが重要です。実習生に対する技能の習得・移転という目的を達成しつつ、実習生が安心して実習に専念できる環境を提供することが求められます。

特に、適正な賃金の支払いや労働時間の管理、休暇の付与など、労働関係法令の遵守は最低限必要です。また、生活面でのサポートや日本語学習の支援など、実習生の日本での生活を総合的に支援することも大切でしょう。

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

即戦力として働く特定技能は手続きをすれば転職可能

特定技能1号は、比較的転職の自由度が高い在留資格です。特定技能外国人は、一定の手続きをすることで、同じ分野内であれば転職できます。

転職の際には、新たな就職先が決まった段階で、14日以内に地方出入国在留管理局に「所属機関等に関する届出」を行います。また、新たな就職先との雇用契約が特定技能外国人に関する基準を満たしていなければなりません。例えば、日本人と同等以上の報酬の支払いや、適切な支援体制の整備などが条件となります。※6

特定技能外国人が転職する主な理由としては、以下のものがあげられます。

特定技能外国人が転職する理由

  • より良い労働条件を求めるケース
  • 職場環境の改善を求めるケース
  • キャリアアップを目指すケース

特に、技能実習からの移行者の場合、技能実習時には制限されていた転職の自由を得ることで、自身のキャリアをより主体的に考えるようになることが多いようです。

受け入れ機関側としては、特定技能外国人の流出を防ぐためには、以下の対策が求められます。

特定技能外国人の離職対策

  • 適切な労働条件の提供
  • 職場における多文化共生の環境づくり
  • キャリアアップの機会の提供
  • 生活面でのサポート

特に、技能実習からの移行者の場合、技能実習時の経験を踏まえて、より良い処遇や環境を期待していることが多いため、その期待に応える体制づくりが求められます。

また、特定技能1号から在留資格「介護」への移行を支援することで、長期的な人材確保につなげるという視点も重要です。例えば、特定技能外国人の介護福祉士国家試験受験を支援し、合格後に在留資格「介護」への変更を促すことで、より安定的な雇用関係を構築することができるでしょう。

※6引用元:特定技能 ガイドブック

介護分野での在留資格それぞれの在留期間は?

介護分野で外国人材を受け入れる際に重要な検討事項の一つが、在留期間です。在留期間は、採用計画や人材育成計画を立てる上での基本的な条件となります。

また、外国人材にとっても、自身のキャリアプランを考える上で重要な要素です。ここでは、介護分野の各在留資格における在留期間について詳しく解説します。

各在留資格には、それぞれ異なる在留期間が設定されています。在留資格「介護」は最長5年の在留期間が付与され、更新に制限がない一方、技能実習や特定技能には最長在留期間が設けられています

これらの違いを理解し、外国人材と企業の双方にとって最適な選択をすることが重要です。では、それぞれの在留資格の在留期間について見ていきましょう。

▽各在留資格の在留期間一覧表

在留資格

在留期間

在留資格「介護」

5年ごとに更新

EPA(経済連携協定)

1年ごとに更新し4年間まで

技能実習

最長5年間

特定技能

最長5年間

在留資格「介護」は1年〜5年で更新可能

在留資格「介護」は、専門的・技術的分野の在留資格として位置づけられており、比較的長期の在留が認められています。具体的には、最初の許可時には1年または3年の在留期間が付与され、更新時には1年、3年または5年の期間が付与されるのが一般的です。※10

在留期間の更新には特に上限がなく、要件を満たしていれば何度でも更新することができます。主な更新要件は、以下のとおりです。

在留資格「介護」の在留期間を更新する要件

  • 介護福祉士としての資格を引き続き有していること
  • 介護または介護の指導を行う業務に従事していること
  • 一定の報酬を受けていること

在留資格「介護」は更新に制限がないため、日本で長期的にキャリアを積むことが可能です。また、一定期間日本に在留し、他の要件も満たせば永住許可申請も可能になるため、将来的には永住者として日本で生活することも視野に入れることができます。

このように、在留資格「介護」は、他の在留資格と比較して安定的・長期的な在留が可能であり、介護福祉士という専門職としてのキャリア形成にも適しています。

企業側としても、長期的な人材育成や組織への定着を期待できるという利点があります。ただし、介護福祉士国家資格の取得という高いハードルがあることを忘れてはなりません。

※10引用元:在留資格「介護」 | 出入国在留管理庁

EPA(経済連携協定)は基本1年更新で4年間在留可能

EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者の在留期間は、基本的に1年間で、国家試験受験まで最大4年間の滞在が認められています。この期間内に国家試験に合格すれば、「特定活動(EPA介護福祉士)」の在留資格で引き続き日本に滞在できます。※5

具体的には、EPA介護福祉士候補者は、来日してから最初の国家試験までの期間(通常3年間)と、不合格の場合に追加で認められる1年間の滞在(この間に再受験が可能)を合わせて、最長4年間滞在することができます。この間、在留期間は基本的に1年ごとの更新となります。

一方、国家試験に合格してEPA介護福祉士となった場合、「特定活動(EPA介護福祉士)」という在留資格が付与されます。この在留資格の在留期間も基本的に1年間ですが、在留期間の更新に制限はなく、要件を満たしていれば何度でも更新が可能です。

EPA制度の特徴としては、キャリアパスが明確であることが挙げられます。候補者として来日し、就労しながら国家試験に向けて学習し、合格後はEPA介護福祉士として長期的に就労することができるというプロセスが設計されています。

受け入れ施設側としては、このキャリアパスを見据えた長期的な育成計画を立てることが重要です。

※5引用元:経済連携協定に基づく受入れの枠組

技能実習は原則3年だが条件を満たせば最大5年在留可能

技能実習制度における在留期間は、以下の三段階に分かれており、全体で最長5年間となっています。※3

技能実習生の在留期間

  • 技能実習1号(1年目)
  • 技能実習2号(2〜3年目)
  • 技能実習3号(4〜5年目)

技能実習1号の在留期間は最長1年間です。技能実習1号修了後、技能実習評価試験(初級)に合格すれば、技能実習2号に移行でき、さらに2年間(合計3年間)の在留が認められます。

そして、技能実習3号に移行するには以下の要件を満たさなければなりません。

技能実習3号へ移行する要件

  • 技能実習2号修了後、技能実習評価試験(専門級)に合格
  • 優良な実習実施者・監理団体での実習であること
  • 技能実習2号までとは異なる実習実施者のもとで実習を行うこと

このように技能実習3号の習得には、より多様な環境での技能習得を促進するための要件が設けられています。

技能実習制度は、あくまでも「実習」を目的とした制度です。在留期間の上限(5年間)の期間内に技能を習得し、帰国後にその技能を母国で活かすことが想定されています。そのため、技能実習終了後に、同じ在留資格での再来日や在留期間の延長はできません。

ただし、2019年以降は、技能実習2号を修了した者が特定技能1号へ移行することが可能になりました。これにより、技能実習(最長5年)と特定技能1号(最長5年)を合わせた最長10年間の在留が可能です。企業側としては、このようなキャリアパスも視野に入れた長期的な活用計画を検討することができます。

※3引用元:介護職種の技能実習指導員 講習テキスト

特定技能は4ヶ月〜1年の更新を行い最大5年間在留可能

特定技能1号の在留期間は、1年、6か月または4か月のいずれかが付与されます。これは、雇用契約や受け入れ機関の状況などによって判断されますが、一般的には、初回は4か月または6か月、更新時には状況に応じて1年間の在留期間が付与されるケースが多いようです。

特定技能1号の在留期間は、通算で最長5年間と定められています。この期間を超えて日本に在留することはできないため、5年経過後は原則として帰国する必要があります。※3

特定技能1号は、「人手不足が深刻な特定の産業分野における即戦力となる外国人材の受け入れ」を目的としており、短期間の労働力確保を想定しています。そのため、在留期間に上限があります。

企業側としては、特定技能1号の5年間という制約を踏まえ、その間に最大限の活躍を促すとともに、5年後のキャリアパスについても考慮することが重要です。例えば、在留期間中に介護福祉士国家試験の合格を支援し、在留資格「介護」への変更を促すことで、より長期的な雇用関係を構築するという選択肢もあります。

※3引用元:特定技能 ガイドブック

【2025年4月からの制度拡大】訪問介護が行えるようになった在留資格

2025年4月から、外国人材による訪問系サービスへの従事が制度的に拡大され、対象となる在留資格が広がりました。この変更は、増加する在宅介護ニーズへの対応と、外国人材のキャリアパスの拡充を目的としています。※11

これまでは、介護福祉士の資格を持ち「介護」の在留資格で滞在している外国人に限って訪問介護への従事が認められていました。

今回の制度改正では、「技能実習(介護職種)」と「特定技能1号(介護分野)」の外国人にも、一定の条件を満たすことで訪問介護が可能となりました。制度の拡大にあたっては、利用者の安全とサービスの質を確保するため、受け入れ事業所に対しても新たに以下の要件が課されます。

訪問介護サービスで外国人材を受け入れる際の要件

  • 訪問介護に関する研修の実施
  • 実地でのOJT(実務指導)
  • キャリアアップ計画の策定
  • ハラスメント防止の体制整備
  • ICT機器を活用した連絡体制の構築

この制度改正により、介護人材の活躍の場が施設から在宅へと広がることが期待されており、特に人手不足が深刻な地域や分野において、安定的なサービス提供ができることが期待されています。

今後は、実際の現場でどのように制度が運用されているか、受け入れ体制がしっかり機能しているかが注目されるでしょう。

※11引用元:外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について

在留資格それぞれの違いについて再確認

介護分野における外国人材受け入れの枠組みは複数存在し、それぞれに特徴があります。企業が適切な人材を確保するためには、これらの在留資格の違いを正確に把握することが不可欠です。ここでは、主要な在留資格について整理し、その特徴と違いについて再確認していきます。

まず、在留資格「介護」は、介護福祉士国家資格を取得した外国人に与えられる資格です。この資格の最大の特徴は、更新回数に制限がなく、実質的に永続的な就労が可能である点です。国家資格保持者であることから、一定水準以上の技能と知識を有していると評価され、訪問介護を含む幅広い介護業務に従事できます。キャリアパスの観点からも、将来的に介護現場でのリーダーや管理職を目指すことも可能であり、長期的な人材として期待できる存在といえるでしょう。

次に「EPA(経済連携協定)」に基づく介護福祉士候補者は、二国間の経済連携協定に基づいて受け入れる枠組みです。インドネシア、フィリピン、ベトナムからの受け入れが中心で、来日後は介護施設で働きながら介護福祉士国家試験の合格を目指します。合格後は在留資格「介護」に移行でき、長期的な就労が可能になります。

「技能実習(介護職種)」は、主に開発途上国への技能移転を目的とした制度で、最長5年間の実習期間があります。基本的には同一施設内での介護業務に限定されており、実習計画に基づいた段階的な技能習得が求められます。実習期間終了後に特定技能への移行を視野に入れた人材育成計画を立てることも可能です。

「特定技能1号(介護)」は、技能水準と日本語能力水準を試験などで、専門知識を有していると確認した外国人材に認められる資格です。在留期間は通算5年までと限定的ですが、比較的短期間で即戦力となる人材確保が可能です。

これらの在留資格はそれぞれに特徴と制約があり、企業の人材ニーズや育成方針に合わせた選択が重要です。各在留資格の違いは以下の通りでした。

在留資格

家族帯同の可否

永住権獲得の可否

在留資格の獲得できるタイミング

人数

転職の可否

在留期間

在留資格「介護」

介護福祉士国家試験に合格後

約9300人

可能

5年ごとに更新

EPA(経済連携協定)

候補者は不可

候補者は不可

本国で選別試験に合格後

約3200人

候補者の段階では不可

1年ごとに更新し4年間まで

技能実習

不可

不可

本国の送り出し期間に選抜される

約15,000人

不可

最長5年間

特定技能

不可

不可

日本語試験と介護技能試験に合格後

約28,000人

可能

最長5年間

短期的な人材確保を優先するのか、長期的な人材育成を重視するのかによって、適切な在留資格の選択は異なってきます。

2025年4月の制度改正により、一定条件下で「技能実習」と「特定技能」でも訪問介護にも従事できるようになりましたが、事業所内での研修や指導体制の整備が求められています。

2025年の制度拡大を契機に、より多くの外国人材が日本の介護現場で活躍することが予想されます。この変化を前向きに捉え、適切な準備と支援体制を整えることで、介護人材不足の解消だけでなく、多様性に富んだ豊かな介護環境の創出につなげていきましょう。