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特定技能「介護」に初任者研修は必要か?現役介護士の視点で徹底解説 

特定技能(介護)に「初任者研修は本当に必要なのか?」「特定技能と初任者研修の関係性がよくわからない」といったお悩みはありませんか?現役介護士の筆者が、その疑問を徹底的に解説します。

この記事では、特定技能(介護)と初任者研修の関連性、特定技能外国人が介護現場で活躍するために知っておくべきポイントを、わかりやすく解説します。

 

株式会社BKUは、ミャンマーの送り出し機関と日本国内の登録支援機関を運営する人材紹介会社です。ミャンマー人材の文化・言語などの理解はもちろん、外国人材の紹介から採用、入国手続きまで一貫してサポートできることが当社の強みです。

 

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伊勢明敏プロフィール写真

 

株式会社BKU代表取締役|日本で光学機器メーカーで研究職として4年間従事。その後ミャンマーに移住して、株式会社BKUを創業。9年間の在住中では、外国語大学と仏教大学にてミャンマーの言語・文化を専門的に学習。ミャンマーの言語・文化・制度すべてに精通した人材紹介から、累計400名以上の技能実習生・特定技能人材の送り出し実績を持つ。

目次

「介護職員初任者研修」とは何か? 特定技能との関係は?

そもそも「介護職員初任者研修」とは何か? 特定技能との関係は?

特定技能(介護)の資格を取得する上で、日本の介護職員初任者研修の修了は必須ではありません。しかし、全く無関係というわけでもないのです。

介護職員初任者研修は、介護職の基礎を築く重要な研修です。一方、特定技能の在留資格要件とは直接的には結びついていません。ただし、後述するように、訪問介護など特定の介護サービスに従事する場合は必要になります。この点が、一見矛盾するように感じられ、疑問を生む原因となっています。

その疑問を解消するために、まず「介護職員初任者研修」の概要について見ていきましょう。介護職員初任者研修は、介護職としてキャリアを始める方が、第一歩を踏み出すための基礎研修です。研修では、以下のような全10科目を合計130時間にわたり体系的に学びます。

初任者研修の研修科目及び研修時間数(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」)

介護分野の特定技能外国人が、来日前に日本の介護職員初任者研修を必ずしも修了している必要はありません。この「必須ではないが、無関係でもない」という点を理解していただくために、次は特定技能(介護)の基本情報を説明していきます。

【2024年12月最新版】介護分野の特定技能外国人の推移

【2024年12月最新版】介護特定技能外国人の推移

特定技能(介護)による外国人材の受け入れは、近年著しく増加しており、介護現場における重要な戦力になっています。

特定技能制度は、2019年4月に始まり、人手不足が深刻な産業分野において、専門的な技能を持つ外国人を即戦力として受け入れることを目的としています。特に介護分野では、その需要が非常に高いです。

特定技能(介護)の推移は、2019年にはわずか19人でしたが、2024年12月末時点で44,367人へと大幅に増加しています。

介護分野の特定技能外国人在留者数の推移(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」)

この右肩上がりの増加は、多くの介護施設が特定技能外国人を戦力として受け入れている証拠です。この流れに取り残されないためには、制度を正しく理解し活用することが、施設運営において重要になっていきます。

合格が必須!特定技能(介護)が来日前に受ける2つの試験

合格が必須!特定技能(介護)が来日前に受ける2つの試験

介護分野の特定技能外国人は、来日前に「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つの試験に合格しなければなりません。

この2つの試験に合格していることは、特定技能外国人が日本の介護現場で働くために必要な技能、知識、日本語能力を有していることを証明します。「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の内容を理解することは、彼らがどのような介護レベルかを把握する上で役立ちます。

ここでは、試験の例題を用いながら、どの程度の介護知識があるのかを見ていきましょう。

【例題あり】特定技能、来日前の試験①「介護技能評価試験」とは?

介護技能評価試験は、外国人が日本の介護分野で働くために必要な技能と知識を測る試験です。試験は多言語対応になっていて、日本国内および海外の指定会場で受験できます。合格基準は総得点の60%以上です。例えば、下記の問題が出されます。

介護技能評価試験(例題)サンプル問題(出典:厚生労働省「介護技能評価試験のサンプル問題」)

【例題あり】特定技能、来日前の試験②「介護日本語評価試験」とは?

介護日本語評価試験は、介護現場で必要な日本語能力を有しているかを確認するものです。この試験では、介護業務に必要な専門性・技能と日本語能力を評価します。試験時間は30分で、問題は「介護のことば」「介護の会話・声かけ」「介護の文書」から計15問出題。合格基準は総得点の73%以上です。例えば、下記の問題が出されます。

介護日本語評価試験(例題)サンプル問題(出典:厚生労働省「介護日本語評価試験のサンプル問題」)

これらの「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つの試験に合格しているため、介護分野の特定技能外国人は、来日時点で介護に関する基礎的な知識と、業務に必要な最低限の日本語能力を持っていると言えます。

介護施設が理解すべき特定技能(介護)の「5つの基礎知識」

介護施設が理解すべき特定技能(介護)の「5つの基礎知識」

特定技能(介護)の外国人を受け入れ、彼らに活躍してもらうには、施設側が最低限押さえておくべき5つの基礎知識があります。特定技能の情報は膨大にあるため、ここでは5つに絞って解説します。

特定技能(介護)の基礎知識①:在留期間は5年間

特定技能(介護)として日本で働ける期間は、合計で最長5年間です。

原則として、5年間の就労後は帰国しなければなりません。しかし、例外もあります。日本での就労期間中に「介護福祉士」の国家資格を取得すれば、在留資格を「介護」に変更でき、日本で働き続けることが可能です。長期的な活躍を期待するなら、介護福祉士の資格取得のサポートも視野に入れると良いでしょう。

特定技能(介護)の基礎知識②:日本語能力試験(JLPT)は「N3」相当

日本語能力試験(JLPT)とは、日本語を母語としない方が、自分の日本語の実力を測るための試験です。日本語能力試験(JLPT)はN1〜N5の5レベルがあり、N5が易しく、N1が最難関となります。

特定技能(介護)の日本語能力は、日本語能力試験(JLPT)N4レベルが基準ですが、実際の介護現場ではN3以上の能力が求められるます。なぜなら、実際の介護現場では、利用者の微妙なニュアンスの汲み取り、容態変化の正確な伝達といった、高度な日本語コミュニケーションが求められるからです。

以下のグラフからも分かるように、N3以上の方が介護の現場では多い現状があります。

<特定技能外国人の日本語能力(出典:厚生労働省「特定技能外国人の受入れに必要な支援に関するガイドブック」)

N3やN4と聞いても、どのくらい話せるか分からないと思いますので、ここでは、介護現場の申し送りを例にして、レベル別の理解度を確認していきます。

▼N4レベルの申し送り事例
聞く側: 「田中さん、朝ごはん、半分。薬、飲みました。」といった断片的な情報は理解できます。「なぜ半分か?」などの把握は困難です。
伝える側: 「田中さん。ごはん、半分。」「佐藤さん。トイレ、行きました。」など単語や短文の羅列になりがちです。詳細な状況や背景は伝えられません。

N4レベルのポイントは、情報が断片的で、聞き手の補足質問が必須という点になります。

N3レベルの申し送り事例
聞く側: 「田中さん、朝ごはんは半分くらい食べました。食欲があまりないようです。薬は食後に飲みました。」といった内容を理解可能です。簡潔な理由も理解できます。
伝える側: 「田中さん、朝ごはんは半分でした。少し疲れていると言っています。薬は飲みました。」など、N4より具体的な情報を伝え、簡単な理由や様子を付加できます。

N3レベルのポイントは、表現がややぎこちない、語彙不足の場合があります。やはり、N4レベル同様に、聞き手からの補足質問が必要です。

N2レベルの申し送り事例
聞く側: 「田中さんですが、今朝の朝食は半分程度でした。『昨夜あまり眠れなくて食欲がない』との訴えがありました。念のため、日中の様子観察をお願いします。」といった詳細な申し送りを正確に理解し、注意点を把握できます。
伝える側: 「田中さんは『昨夜なかなか寝付けず、あまり食欲がない』とのことでした。日中は、気分転換になるような声かけをお願いします。」など、具体的状況、訴え、注意点などを関連付けて報告が可能です。

N2レベルのポイントは、介護専門用語を理解でき、情報を整理し論理的に伝達できることです。

上記の事例が示す通り、レベルによって、日本語に大きな差が見られます。この比較から、特定技能(介護)の基準はN4とされていますが、介護の現場ではN3以上の能力を持つ方が多い実情をご理解いただけたのではないでしょうか。

もし、N4レベルの特定技能外国人を採用した場合は、手厚い日本語サポートが必要になります。

特定技能(介護)外国人の基礎知識③:介護レベルは育成前提で考える

特定技能(介護)は「即戦力」と期待されがちですが、来日直後から日本のベテラン介護士と同等のスキルを持つとは限りません。「基礎知識と日本語能力は有するものの、日本の介護現場での実践経験はこれから積む新人」と捉え、育成する視点が重要です。

彼らは来日前に「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」に合格しており、基礎知識や一定の日本語能力は備えています。しかし、母国での実務経験がない場合が多いです。

そのため、日本の介護現場の文化、細やかなコミュニケーション、チーム連携などは、実践を通じて身につけてもらう必要があります。

実際に働きながら、先輩や上司から仕事のやり方を直接教えてもらうOJT(On-the-Job Training)や、研修を通じた丁寧な指導・育成が大切になります。

特定技能(介護)の基礎知識④:いつから人員配置基準に算定できるか?

特定技能(介護)の外国人は、即戦力を目的としているため、働き始めた日からすぐに施設のスタッフ数として人員配置基準に算定ができます。

ただし、これは「いきなり一人で何でもできる」という意味ではありません。母国で介護経験がない人もいる点を考慮することが必要です。日本の介護現場に慣れ、安全に業務を遂行できるようになるまでは、必ず日本人スタッフがサポートする体制を整えましょう。

外国人介護人材に係る人員配置基準上の現状の取扱いについて(出典:厚生労働省「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて」)

特定技能(介護)の基礎知識⑤:夜勤は可能か?

介護分野の特定技能外国人は制度上、勤務開始初日から夜勤が可能ですが、実際には慎重な判断が必要です。理論上は可能でも、母国での介護経験がない場合、利用者さんの急変対応が求められる夜間の業務は困難だからです。

「いきなり一人で夜勤も大丈夫」と安易に考えず、まずは日中の業務で日本の介護に十分に慣れ、本人の習熟度や適性を慎重に見極めた上で、夜勤の可否を判断するべきです。

以上が、介護施設が特定技能(介護)外国人材を受け入れる上で理解すべき5つの基礎知識でした。まとめると、以下の5つになります。

▼特定技能(介護)の5つの基礎知識
①在留期間は5年間:
最長5年。介護福祉士の資格取得で期間制限なく就労可。
日本語能力は「N3」相当が目安: 基本はN4合格だが、実際はN3以上が望ましい。
特定技能の介護レベルは育成前提: 基礎知識はあるが、OJTなどが重要。
初日から算定は可: 未経験者はサポートが必須。
夜勤も可能: 制度上は可能だが、習熟度を見極め段階的に導入。

より特定技能(介護)の詳しい情報が必要な方は、厚生労働省補助事業で作成したYouTube動画を視聴ください。

あとは、当メディアの解説記事「特定技能(介護)受け入れ可能施設|完全ガイド」なども参考にしてください。

特定技能外国人が介護をするのに初任者研修は必要か?

特定技能外国人が介護をするのに初任者研修は必要か?

特定技能外国人が介護の仕事をする上で、介護職員初任者研修が必須となるかは、従事する「サービスの種類」によって明確に異なります。これが冒頭で「初任者研修は必須じゃないけど、無関係でもない」と書いた理由です。施設系サービスと訪問系サービスで要件が異なるため、この点を正確に理解することが重要です。

特定技能の施設介護:初任者研修は必要ないが「認知症介護基礎研修」は必須

施設介護に従事する場合、特定技能外国人が介護職員初任者研修を修了していることは必須要件ではありません。日本人と同様に、無資格でも介護施設で働くことはできます。

ただし、重要な注意点があります。2024年から、介護に携わる全ての無資格者に対して「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されました。これは外国人介護士も例外ではなく、採用後1年以内に受講する必要があります。認知症介護基礎研修は日本語以外の言語での「eラーニング受講」が可能です。つまり、施設系サービスでは初任者研修は任意ですが、認知症介護基礎研修は必須となります。

認知症介護基礎研修eラーニング(出典:認知症介護基礎研修「eラーニング」)

特定技能の訪問介護:「初任者研修は必須」

2025年4月から初任者研修を修了し、介護施設などで1年以上の実務経験がある特定技能外国人は、訪問介護にも従事できるようになりました。

訪問介護の外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて(出典:厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」)

訪問介護では、特定技能外国人の初任者研修の修了が必須条件になります。なぜなら、利用者宅へ単独で訪問し、多様な状況に対応する必要がある訪問介護は、より専門的な知識と技術が求められるからです。

外国人スタッフに訪問介護を任せる場合、受け入れる介護施設や事業所は、以下の5つの点を必ず守る必要があります。

▼特定技能の訪問介護での5つの厳守事項
①研修の実施:
訪問介護の仕事の基本や注意点などの研修。
②同行研修などによる訓練: 責任者などが同行し、OJTを実施。
③丁寧な説明とキャリアアップ計画: 仕事内容を丁寧に説明し、本人の希望も踏まえたキャリアアップ計画を作成。
④ハラスメント防止: 相談窓口などの設置。
⑤緊急時対応の環境整備: スマートフォンやタブレットなどIT機器を活用し、連絡・サポート体制を整備。

これらの5つの要件を満たすことで、特定技能外国人でも訪問介護に従事できます。

話をまとめると、訪問系サービスで特定技能外国人を受け入れる場合は、介護施設などで1年以上の実務経験と、初任者研修修了、上記の条件を満たすことが不可欠です。

このように、特定技能外国人の初任者研修の必要性は「施設系か訪問系か」で判断します。

特定技能外国人向けの介護職員初任者研修はあるのか?

特定技能外国人向けの介護職員初任者研修はあるのか?

特定技能外国人が働きながら介護職員初任者研修を受講する場合、都道府県から指定を受けた民間の研修機関(スクール)で受講するのが一般的なルートとなります。

ハローワークなどが提供する外国人向けの介護職員初任者研修コースは、主に求職中の方を対象としているケースが多く、既に就労している特定技能外国人が利用できないためです。

初任者研修は、日本人を対象としたものが多いのが現状です。そのため、スクール選びが重要となります。スクールを選ぶ際は、研修テキストにふりがなが付いているか、外国人向けのサポート体制が整っているかなどを事前に確認しましょう。これが学習効果を高める上で非常に大切です。

特定技能(介護)が初任者研修前にチェックすべき無料テキスト3選

特定技能(介護)が初任者研修前にチェックすべき無料テキスト3選

介護分野で働く特定技能外国人の方が、初任者研修前に勉強すると役立つ無料の学習教材が3つあります。ここでは、その3つの無料テキストを紹介します。

特定技能(介護)が初任者研修前にチェックすべき無料テキスト①:「介護の日本語」

介護の日本語

(出典:厚生労働省「介護の日本語」)

▼無料テキスト「介護の日本語」とは?
・目的:
外国人介護士が、基本的な指示を理解し、利用者と円滑なコミュニケーションを図るための初歩的な介護語彙や声かけ表現の習得支援。
内容: 267語の介護語彙と18個の声かけフレーズを「移動」「食事」など場面別に分類。実践的な言葉遣いや自然な会話例、豊富なイラスト、全漢字ルビ、英語などの語翻訳併記。

「介護の日本語」は、日本語能力試験のN4程度が目安となる無料テキストです。

特定技能(介護)が初任者研修前にチェックすべき無料テキスト②:「学んでみよう 日本の介護」

学んでみよう 日本の介護

(出典:日本介護福祉会「学んでみよう 日本の介護」)

▼無料テキスト「学んでみよう 日本の介護」とは?
・目的:
利用者の尊厳と自立支援に基づく「介護過程の考え方」を自己学習で理解すること。
内容: 入国後2〜3年目の外国人を対象。日本の介護の基本「自立支援」の考え方、高齢者・障害者施設の事例を通じた介護過程(情報収集→目標設定→計画作成→実践→観察・共有→評価・見直し)を解説。

「学んでみよう 日本の介護」は、「考えてみよう」というコーナーがあります。インプットだけでなく、アウトプットもできる無料テキストです。

特定技能(介護)が初任者研修前にチェックすべき無料テキスト③:「介護の特定技能評価試験学習テキスト」

介護の特定技能評価試験学習テキスト

(出典:日本介護福祉士会「介護の特定技能評価試験学習テキスト」)

▼無料テキスト「介護の特定技能評価試験学習テキスト」とは?
・目的:
介護職に必要な5つの力(①プロとしての姿勢、②利用者の心身を知る、③心をつなぐ技術、④実践的なケアの方法、⑤現場で使う日本語)をバランス良く伸ばすこと。
内容: 上記5つの力に対応した具体的な学習項目。介護の仕事に必要な知識・技術・コミュニケーション・日本語を総合的に学習。

介護分野の特定技能外国人は、来日前に「介護の特定技能評価試験学習テキスト」を活用しているかもしれませんが、復習としても学びになる無料テキストです。

紹介した3つの無料テキストは、特定技能外国人が介護職員初任者研修前にチェックすると、学びの効果を最大限に引き出すサポートツールとなっています。

特定技能から永住を目指すには「介護福祉士」の資格取得が鍵

特定技能から永住を目指すには「介護福祉士」資格が鍵

特定技能(介護)が日本で働ける期間は、最長で5年です。もっと働いて欲しい場合は「介護福祉士」の資格取得が重要となります。なぜなら、介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格を「介護」に切り替えられるからです。

特定技能から在留資格「介護」になれば、5年の在留期間の上限はなくなり、日本で長期的に働けます。

特定技能(介護)が介護福祉士を取るためには、日本の方と同様に3年以上実務経験を積み、かつ「実務者研修」を修了することです。そうすると、介護福祉士の受験する資格が得られます。

より詳しい情報が必要な方は、解説記事「特定技能から介護福祉士へ – 外国人介護人材の新たなキャリアパス」もご参照ください。

【現役介護士が語る】初任者より実務者研修なのか?特定技能が介護福祉士を目指す最適解

【現役介護士が語る】初任者より実務者研修?特定技能が介護福祉士を目指すには?

筆者の私は、介護福祉士の資格を所持し、現場経験が20年以上になる現役の介護士です。今からいう意見は私なりの見解になります。

介護福祉士になるには、初任者研修を飛ばして実務者研修を受けた方が効率的と思う人もいると思います。しかし、私は反対です。介護福祉士を目指す特定技能外国人にとって、初任者研修から段階的に学ぶことを私は推奨しています。

理由は、実務者研修のみの場合、基礎部分はテキストだけの座学中心になるためです。一方、初任者研修では実技を通して介護の基本を実践的に学べます。そのため、初任者研修を最初に受講することをおすすめしています。

▼なぜ、初任者研修を飛ばして実務者研修を受けた方が効率的と思うのか?
・誤解されやすい点:
実務者研修のカリキュラム(約450時間)には、初任者研修で学ぶ内容が約130時間分含まれています。そのため「初任者研修は飛ばしても良い」と考えられがちです。
実技の重要性:実務者研修のみの場合、初任者研修の130時間分の内容は主にテキスト中心の座学となります。初任者研修を受講した場合、130時間分には実技演習が多く含まれます。高齢者とのかかわり方や基本的介護技術をテキストだけで習得するのは非常に困難です。
現役介護士の視点: 「介護の基本の『き』をしっかりと学ぶためには、初任者研修で実技を通して学ぶことが重要となります。そして、次のステップとして実務者研修で、より専門的な知識・技術を深めていくのが理想的です。

補足として、初任者研修を修了している方は、実務者研修を受講する際に重複する130時間分の科目が免除されます。これにより、実務者研修の総学習時間が短縮されます。そういう意味でも、最初に初任者研修を推奨しています。

介護分野の特定技能外国人にとっては、初任者研修からステップアップしていくことが、介護福祉士への確実な道筋となり、永住への最適解になります。

特定技能と技能実習の違いについて

特定技能と技能実習の違いについて

特定技能と技能実習は、目的も制度設計も異なる、全く別の制度です。両者は混同されやすいため、それぞれの違いを明確に理解しておくことが、外国人介護士の受け入れのために重要です。

▼特定技能と技能実習の違い
特定技能制度の目的: 国内の人手不足が深刻な産業分野において、即戦力となる一定の専門性を有する外国人を受け入れるための制度。
・技能実習制度の目的: 国際貢献を目的とし、日本の技術や技能を開発途上国などの母国に持ち帰ってもらうための制度。

より詳しい比較や、技能実習制度の詳細は、当メディアの解説記事「介護分野での特定技能と技能実習の違いは?制度から選定方法まで徹底解説」をご参照ください。

介護技能実習生をスムーズに受け入れるための準備マニュアル

介護技能実習生のスムーズ受け入れ準備マニュアル

技能実習生に興味があり、受け入れをご検討の場合は、解説記事「【介護分野】技能実習制度とは?固有要件と受け入れポイントを徹底解説!」をご参照ください。

介護技能実習指導員の資格とは?

介護技能実習指導員の資格とは?

技能実習生を受け入れる際には、適切な指導を行う「技能実習指導員」が必須です。この指導員の資格要件や役割についても、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

詳しく知りたい方は、解説記事「【外国人技能実習生の介護指導ガイド】効果的な指導法と現場で必要な体制づくりとは」をご参照ください。

まとめ

この記事では、特定技能(介護)の受け入れを検討されている施設担当者様に向けて、介護職員初任者研修との関係性や、特定技能制度の基礎知識、外国人が介護現場で活躍するためのポイントを解説しました。

主な内容は以下の通りです。

・特定技能(介護)外国人に、初任者研修の修了は原則必須ではないが、訪問介護に従事する場合は必須となる。
・施設介護の場合、初任者研修は任意だが、「認知症介護基礎研修」の受講は義務(採用後1年以内)。
・特定技能外国人は来日前に2つの試験に合格しており、基礎知識と日本語能力を有するが、育成が重要。
・長期的な活躍や永住を目指すには、「介護福祉士」資格の取得が鍵となる。
・介護福祉士を目指す上で、経験の浅い外国人の方にとって、初任者研修からのステップアップが効果的ある。

特定技能(介護)は、日本の介護現場にとって、ますます重要な存在となっています。制度を正しく理解し、外国人介護士が安心して働き、能力を発揮できる環境を整えることが、施設運営の安定化につながるでしょう。