ミャンマー特定技能/技能実習人材の送出し・DX活用なら株式会社BKU

介護企業でミャンマー人の技能実習生とよい関係を築くコツ|採用プロセスも解説

日本の介護業界では深刻な人手不足が続く中、外国人材の活用が注目されています。特にミャンマー人の技能実習生は、その温和な人柄と真面目な勤務態度で介護業界において高く評価されています。

本記事ではミャンマー人技能実習生の特徴から、採用する際のプロセスと成功のポイントまで解説しています。介護企業の経営者や人事担当者が、知っておくべき情報を網羅的に把握できるでしょう。

株式会社BKUは、ミャンマーの送り出し機関と日本国内の登録支援機関を運営する人材紹介会社です。ミャンマー人材の文化・言語などの理解はもちろん、外国人材の紹介から採用、入国手続きまで一貫してサポートできることが当社の強みです。 「人手が足りない状況をどうにかしたい…」 「外国人材の採用は正直不安で…」 「本当に外国人材を採用したほうかいいのか…」 こうしたお悩みがございましたら、まずはご状況をお聞かせいただけますか?サービスの売込みは一切行いませんので、お気軽にお問い合わせください。

 
伊勢明敏プロフィール写真

 

株式会社BKU代表取締役|日本で光学機器メーカーで研究職として4年間従事。その後ミャンマーに移住して、株式会社BKUを創業。9年間の在住中では、外国語大学と仏教大学にてミャンマーの言語・文化を専門的に学習。ミャンマーの言語・文化・制度すべてに精通した人材紹介から、累計400名以上の技能実習生・特定技能人材の送り出し実績を持つ。

目次

評判がよい?ミャンマー人の技能実習生について【介護企業】

介護業界におけるミャンマー人技能実習生の評価は、実際の受け入れ実績を通じて着実に向上しています。その背景には、ミャンマー特有の文化的背景と国民性が大きく影響しています。

ミャンマーは仏教信仰が深く根付いた国であり、控えめながらも人を敬う姿勢が広く国民に浸透しているのが特徴です。介護という職業に必要な資質を、自然に身につけている方が多いでしょう。ここでは、ミャンマー人技能実習生が高く評価される具体的な理由について詳しく解説していきます。

温和な人柄と真面目な勤務態度で評判がよい

ミャンマー人技能実習生の最大の特徴は、その温和で真面目な性格です。実際に多くの受け入れ企業からも、ミャンマー人実習生の人柄の良さと責任感の強さを高く評価されています。具体的な、ミャンマー人の実習態度の特徴は以下のとおりです。

ミャンマー人の実習態度
  • 指示に対して素直に行動する
  • 学習意欲が高い
  • 分からないことは積極的に質問する
  • 教えられたことを忠実に実行しようとする

また、チームワークを重視する文化的背景から、同僚との協調性も高く、職場の雰囲気を良好に保ちます。さらに、残業や夜勤といった厳しい勤務条件に対しても、不満を表に出すことなく責任を持って対応してくれるでしょう。

強い親日感情と宗教観(仏教による高齢者への敬意)

ミャンマー人の親日感情は東南アジア諸国の中でも特に強く、技能実習先に日本を選ぶ理由の一つです。親日感の強さの背景には、歴史的にも日本とミャンマーの関係が良好であることがあげられます。 そのため、日本の文化や慣習の受け入れがよく、介護現場での円滑なコミュニケーションも可能です。

また、ミャンマーの仏教の教えでは年長者を敬うことが重んじられているため、介護職との親和性があります。 高齢者に対する自然な尊敬の念と、お世話をすることへの使命感を持って介護業務に取り組む姿勢は、多くの介護施設で高評価です。さらに、仏教の慈悲の精神は、利用者様に対する思いやりのある対応として現れ、介護の質向上につながっています。

ミャンマー人が介護分野の技能実習生として日本で働く理由5つ

ミャンマーから日本への技能実習生の送り出しは着実に増加しています。その背景にあるのは、複数の社会的・経済的要因です。近年の政治情勢の変化や経済状況の悪化により、多くの若者が海外での就労機会を求めています。

特に、介護分野への関心が高まっているのは、単に収入のためだけでなく、文化的に向いていると感じていたり、将来のキャリアを見据えているなど、さまざまな理由が重なっているからです。

ここでは、ミャンマー人が介護技能実習生として日本を選ぶ主要な理由について、現地の社会情勢も踏まえて詳しく解説いたします。

理由①:ミャンマー国内の雇用状況と政治背景が影響している

ミャンマー人が介護分野の技能実習生として日本で働く理由の一つめは、国内の雇用状況と政治背景の影響です。ミャンマー国内の雇用環境は、近年の政治情勢の不安定化により大きく悪化しています。2021年の軍事クーデター以降、経済活動の停滞と国際的な制裁により、若者の就職機会が著しく限られている状況です

大学卒業者でも安定した職を見つけることが困難になっており、多くの若者が海外での就労を検討せざるを得ない状況に追い込まれています。これは、技能実習生の採用を検討している企業にとってはクーデター前よりも、より良い人材を採用できる可能性が高くなると考えられます。

また、政治不安による将来への不安感も、海外就労への動機を強める要因です。 国内の治安悪化や経済インフラの不安定化により、日本のように安定した社会で働くことへの憧れも強まっています。このような政治的背景も絡み、日本での技能実習制度への応募者が質・量ともに向上してきています。

理由②:日本の方が給料が高いため就労意欲が高い【給料設定についても解説】

ミャンマー人が介護分野の技能実習生として日本で働く理由の二つめは、給料設定です。ミャンマーよりも日本で技能実習をした方が、給料が高くなります。実際に、ミャンマーの平均月収は約2万円程度に対し、日本の技能実習生の月収は手取りで12万円から15万円程度です。これは母国での収入の6倍から7倍に相当する金額になります。そのため、家族への送金や将来の貯蓄を考える若者にとっては大きな魅力です

介護分野の技能実習生の給料設定について具体的に見ると、基本給の設定基準は各都道府県の最低賃金になっています。東京都の場合、時給1,163円(2024年10月時点)で月160時間勤務した場合、基本給は約18万円です。(※1) ここから社会保険料や税金、寮費などを差し引いても、手取りで14万円程度は確保できる計算です。さらに夜勤手当や資格手当などの諸手当も加算された場合、実際の収入はより高くなるでしょう。

※1引用元:地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省

理由③:高齢者を敬う文化があるため介護に積極的

ミャンマー人が介護分野の技能実習生として日本で働く理由の三つめは、高齢者を敬う文化が影響しています。ミャンマーの伝統的な価値観では、高齢者を敬いお世話をすることは美徳です。そのため、介護職との親和性が高くなります。

さらに、仏教の教えに基づく「親孝行」の概念は、単に両親だけではありません。社会全体の高齢者に対する尊敬の念が育くまれてきました。 この文化的背景により、介護業務を単なる労働としてではなく、意義のある仕事として捉えています。

具体的な介護現場での行動として、利用者様との会話に時間をかけたり、身の回りの世話を丁寧に行ったりする姿勢がみられています。 また、利用者様の尊厳を重視し、プライバシーに配慮した対応を心がける意識も高いようです。これらの態度は心の通った介護につながり、受け入れ施設での評価につながります。

理由④:介護福祉士取得を目指している場合もある

ミャンマー人が介護分野の技能実習生として日本で働く理由の四つめは、介護福祉士を目指している場合もあるためです。なぜなら、介護福祉士を取得すれば在留資格が「介護」へ変更できます。この在留資格の変更により、永住権の獲得も望めるようになり長期滞在も可能となります。

多くのミャンマー人技能実習生は、単なる短期的な出稼ぎではなく、長期的なキャリア形成が目標です。実際に、技能実習3年間で基礎的な知識と技術を習得し、その後特定技能への移行や介護福祉士試験への挑戦を計画している実習生も少なくありません 日本語とミャンマー語での介護福祉士試験対策を提供する機関も存在し、母国語でのサポートを受けながら資格取得を目指す環境が整備されつつあります。

また、介護福祉士資格を取得することで、より安定した雇用条件が得られるだけでなく、将来的には管理職としてのキャリアパスも視野に入れられます。さらに、資格取得により専門性が認められるため、職業としての誇りや達成感も得られ、長期的なモチベーション維持にもつながるでしょう。

加えて、在留資格「介護」は転職も可能です。技能実習生にとっては、将来的に転職できることでスキルアップや収入アップも望めます。こちらの記事で在留資格「介護」の転職について詳しく解説しております。ぜひご参照ください。

【受け入れ企業向け】在留資格「介護」を持つ外国人材の転職について徹底解説

理由⑤:ミャンマー人にとって日本語は習得しやすい

ミャンマー人が介護分野の技能実習生として日本で働く理由の五つめは、言語の習得しやすさです。ミャンマー語と日本語には、語順や敬語システムなど共通する言語構造があります そのため、他の東南アジア諸国出身者と比較して日本語は習得しやすいようです。

また、介護現場で必要な専門用語についても、体系的な学習により着実に習得してくれます。 さらに、日本語学習に対する意欲も高く、業務時間外にも自主的に勉強に取り組む実習生が多いことも特徴的です。

これらの要素が組み合わさることで、コミュニケーション能力の向上が期待でき、介護現場での円滑な業務が遂行できます。

介護企業でミャンマー人を雇用する際の技能実習と特定技能の業務の違い

ミャンマー人の外国人材を介護分野で雇用する際、技能実習と特定技能という2つの在留資格による制度の違いを理解しておくことは大切です。それぞれの制度には異なる目的と規制があり、業務範囲や雇用条件にも大きく影響します。制度の違いは以下のとおりです。

技能実習制度 技術移転を目的とした国際協力の枠組み※2
特定技能制度 労働力確保を主目的とした就労制度※3

これらの違いを正確に把握することで、企業のニーズに最適な雇用形態を選択できるでしょう。 技能実習制度における業務範囲は、厚生労働省が定める技能実習計画に基づいて厳格に制限されています。具体的な業務内容は、以下のような介護業務が中心です。

  • 身体介護(入浴、排せつ、食事等の介護)
  • 機能訓練の補助
  • レクリエーション活動の支援

一方で、医療行為に該当する業務や、専門的な判断を要する業務については実施できないため、常に指導員の監督下での作業が前提となります。また、夜勤についても制限があり、1年目は原則として夜勤業務に従事できません

特定技能制度では、より幅広い業務に従事することが可能です。介護福祉士と同等の業務範囲が認められており、一定の経験を積んだ後はリーダーなどの責任のある業務も担当できます。夜勤についても最初から従事可能であり、人員配置上の制約も技能実習より緩和されています。

さらに、転職の自由が認められているため、雇用継続のためには処遇改善や職場環境の整備がより重要です。 給与面では、技能実習生には最低賃金以上の支払いが義務づけられてますが、特定技能では日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。これにより、特定技能外国人の方が一般的に高い給与水準となる傾向です。また、昇進や昇格の機会についても、特定技能の方がより柔軟な対応が可能です。

技能実習と特定技能の違いについては、こちらの記事でもさらに詳しく解説しております。各制度の違いは、外国人材を採用する際に必要な知識となります。ぜひご参照下さい。

介護分野での特定技能と技能実習の違いは?制度から選定方法まで徹底解説

※2引用元:技能実習「介護」における固有要件について

※3引用元:介護分野における特定技能制度について | 国際厚生事業団 外国人介護人材支援

ミャンマー人を介護企業で技能実習生として採用する5ステップ

ミャンマー人を介護企業で技能実習生として採用するプロセスは、法律上のルールと実際の手続きを守らなければなりません。確実に進めるため、段階的に進めていく必要があります。特に書類作成や法的手続きについては、経験豊富な監理団体との連携が重要です。

ここでは、初期の人材選定から実際の就労開始まで、時系列に沿って具体的な手順を解説していきます。全体のプロセスには通常6ヶ月から8ヶ月程度の期間を要するため、計画的に進行しなければなりません。

STEP①:管理団体の選定と人材募集・面接

採用プロセスの第一段階として、信頼できる監理団体の選定が最も重要です。なぜなら、監理団体は技能実習制度の要となる機関であり、その選択は技能実習生の採用に大きく影響するからです。

優良な監理団体を選ぶ際は、ミャンマーでの実績や日本語教育体制はあるか、アフターサポートは充実しているかなどを確認しましょう また、人材募集においては、監理団体が現地の送り出し機関と連携して候補者を選抜します。事前に教育を受けた、質の高い候補者を選択するためにも、監理団体の選択は重要です。

次に、面接では日本語能力や介護への適性、勤務意欲などを総合的に評価し企業のニーズに最適な人材を選定します。 面接方法としては、現地での直接面接またはオンライン面接が一般的です。現地面接の場合は、より詳細な人物評価が可能である一方、コストと時間がかかります。オンライン面接では効率性を重視できるが、通信環境や技術的な制約に注意が必要です。

STEP②:雇用契約の締結

面接により人材選定が完了した後は、正式な雇用契約の締結をします。技能実習生との雇用契約は、労働基準法をはじめとする日本の労働法規に完全に準拠した内容でなければなりません。契約書には以下の労働条件を明記し、双方の合意を得ます。

契約書に明記する項目
  • 賃金
  • 労働時間
  • 休日
  • 職務内容

特に、注意が必要なのは職務内容や賃金です。技能実習計画書に記載される業務内容と雇用契約の職務内容は合わせなければなりません。技能実習生は計画書に記載された業務以外には原則として従事できないため、将来の業務展開も考慮した詳細な契約内容が必要です。また、賃金については最低賃金以上であることや、同じ業務に従事する日本人労働者も同等であることが求められます。

また、契約期間は技能実習の段階に応じて設定され、1年目は1年間、2年目以降は最大2年間の契約が可能です。契約更新の条件についても事前に明確化しておくことで、後のトラブルを防げるでしょう。

STEP③:技能実習計画書の作成・申請

次に、技能実習計画書の作成と申請です。技能実習計画書は、技能実習生がどのような技能を習得するかを詳細に記載します。作成した技能実習計画書は外国人技能実習機構(OTIT)へ申請します。計画書には、以下の内容を具体的に記載しましょう。

実習計画書の内容
  • 習得する技能の内容
  • 指導体制
  • 評価方法
  • 安全衛生対策など

介護分野の技能実習計画では、身体介護技術、コミュニケーション技術、記録作成技術などの習得目標を明確に設定します。(※4)また、段階的な技能向上を図るため、1年目、2年目、3年目それぞれの到達目標と評価基準を詳細に定めなければなりません。厚生労働省より、実習計画書のモデル例が公表されていますので、参考にしてみてください。

さらに、日本語学習計画も必要です。業務に必要な日本語能力の向上についても具体的な計画を立てます。 計画書の作成には専門的な知識が必要となるため、監理団体のサポートが必要な場合が多くあります。申請から認定まで通常2ヶ月程度の期間を要するため、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。

※4引用元:(1)第1号技能実習実施計画(モデル例)

STEP④:在留資格「技能実習」の認定を申請

技能実習計画の認定後は、入管への在留資格認定証明書交付申請を行います。この申請では、以下の内容が審査されます。

在留資格認定証明書交付申請の審査内容
  • 技能実習生の身元保証
  • 受け入れ企業の経営状況
  • 技能実習の実施体制など

申請書類の記載内容は以下のとおりです。

在留資格認定証明書交付申請の記載内容
  • 技能実習計画認定通知書
  • 雇用契約書
  • 企業の決算書類
  • 技能実習指導員の履歴書など

審査期間は通常1ヶ月から3ヶ月程度で、この間に追加資料の提出を求められる場合もあります。 認定証明書が交付された後は、ミャンマーの日本領事館に提出してビザ申請を行います

また、ビザ発給まで約2週間から1ヶ月程度の期間を要するため、その点も考慮したスケジュール管理が必要です。 在留資格「技能実習」の申請手続きも専門知識を要するため、一般的には、行政書士や監理団体のサポートを活用します。サポートを受けることで、適切な書類準備とスムーズな手続き進行が可能です。

STEP⑤:入国後は約1ヶ月の講習後に就業開始

技能実習生の入国後は、実際の職場での勤務開始前に約1ヶ月間の講習が必要です。この講習は監理団体が主体となり、以下の内容を集中的に学習します。

入国後の学習内容
  • 日本語教育
  • 日本の生活習慣
  • 労働関係法令
  • 技能実習制の権利義務
  • 安全衛生など

講習内容は技能実習制度の要件として法定されており、総時間数や科目構成が詳細に定められています 日本語教育については、業務に必要な基礎的な会話能力の習得が目標です。講習では、介護現場で使用される専門用語の学習も行い、適正な実習実施のための基盤を築いていきます。

注意しないといけないのが、講習期間の生活費などです。講習期間中は企業での実習は行えないため、この期間の生活費や宿泊費についても事前に計画しなければなりません。 講習修了後、ようやく企業での実習が開始されます。

初期段階では指導員による密接な指導が必要であり、安全面や技術面での適切なサポート体制の構築が重要です。 また、実習生が安心して技能習得に取り組めるように定期的な面談を行なったり相談窓口を設置したり、環境を整備することが求められます。

介護分野でミャンマー人の技能実習生を受け入れる際の準備

ミャンマー人の技能実習生の受け入れを成功させるためには、制度面での準備と現場レベルでの環境整備の両方が不可欠です。 特に介護分野では、利用者様の安全と質の高いケアの提供を維持しながら、外国人材の育成が必要です。

技能実習生の受け入れを成功させるには、文化的違いや言語の壁を乗り越えて、技能実習生が早期に戦力として活躍できる環境を構築することが、求められます。 ここでは、法的なルールも確認しつつ、実践的な受け入れ体制を整備するための具体的な準備項目について解説します。

実習実施者・技能実習指導員を配置しておく

技能実習制度では、指導の際に実習実施者と技能実習指導員の配置が必要です。これは、適切な指導体制の確保のため法律で義務づけられています。それぞれの役割は以下のとおりです。

実習実施者 技能実習を直接指導する責任者
技能実習指導員 日常的な指導を行う現場責任者

これらの役職者は事前に配置し、それぞれに必要な研修を受講してもらう必要があります技能実習指導員として望ましい条件は、5年以上の実務経験があり介護福祉士や実務者研修を修了している者です。また、 指導員には技術指導だけでなく、生活指導や精神的サポートの役割も期待されるため、コミュニケーション能力や異文化理解力も求められます。 指導員向けの研修で学習する内容は以下のとおりです。

指導員向けの研修内容
  • 技能実習制度の理念
  • 技能実習制度の法的要件
  • 効果的な指導方法
  • 異文化コミュニケーションの技法など

特にミャンマー人の文化や価値観を理解することで、より効果的な指導を行えるでしょう。定期的な指導員研修の実施により、指導のスキルを高めるとともに制度理解を深めることが大切です。

施設の体制・教育サポート体制を整える

受け入れ施設全体での体制整備も、技能実習生の育成を成功させるには欠かせません。単に指導員だけでなく、施設の全職員が技能実習制度の意義を理解し、実習生をサポートする意識を持つことが重要です。そのためには、事前の職員研修や意識統一のための取り組みが必要です。 技能実習生の教育サポート体制としては、段階的な技能習得プログラムの構築が重要となります。プログラムの組み方としてまずは、入職直後は基本的な介護技術から開始し、徐々に専門性の高い業務へと発展させる段階的なカリキュラムが必要です。

また、日本語学習のサポート体制の整備として、業務時間外の学習機会の提供や日本語教材の準備なども必要となります。 さらに、技能実習生の進捗管理システムの構築も重要です。具体的には、定期的な評価やフィードバックを通じて技能習得状況を把握し、必要に応じて指導方法の調整を行います。記録の作成と保管も法的に義務づけられているため、適切な管理体制の確立が求められます。

ミャンマー文化を理解する研修会をする

ミャンマー人の技能実習生を受け入れる準備として、事前に職員向けにミャンマー文化を理解する研修も有効です。異文化への理解は、技能実習生との円滑な関係を構築できます。ミャンマーの文化や宗教、価値観や生活習慣などについて職員が理解を深めることで、誤解やトラブルを未然に防げるでしょう。

特に仏教文化に根ざした考え方や、コミュニケーションスタイルの違いは全職員が把握することで、よりよい職場環境づくりにつながります。 研修内容としては、以下の内容がおすすめです。

ミャンマー人を受け入れる際の職員研修の内容
  • ミャンマーの基本的な国情
  • 宗教的背景
  • 家族観
  • 職業観
  • 日本での生活において注意すべき点

たとえば、相手を正面から批判することを避けたり、体裁やプライドを大切にする文化があることを理解しておくと、その人に合った伝え方や指導の仕方ができるようになります 定期的な文化理解研修の実施により、継続的な理解促進を図ることが重要です。

ミャンマー人の技能実習生を介護企業で受け入れる際の監理団体はどうやって決める?選び方について解説

ミャンマー人の技能実習生を受け入れる際には、監理団体の選定が重要です。監理団体は単なる仲介者ではなく、技能実習生と受け入れ企業双方にとって長期的なパートナーとしての役割を果たします。

特に介護分野では、言語の壁や文化的な違いが業務に直結するため、監理団体のサポート体制の質が実習生の定着率や業務成果に大きく影響します。適切な監理団体を選ぶことで、実習生の早期離職を防ぎ、介護現場での円滑なコミュニケーションを実現できる一方、不適切な選択は様々なトラブルの原因となりかねません。

ここでは、監理団体の基本的な役割から優良団体の見極め方まで、詳細に解説していきます。

そもそも監理団体とは?サポート内容についても解説

監理団体とは、外国人技能実習制度において実習実施者(受け入れ企業)と技能実習生を仲介し、実習の適正な実施を監理する非営利組織です。主に事業協同組合や商工会議所などの形態で運営されており、技能実習生の入国前準備から帰国まで一貫してサポートを提供しています。(※3)

具体的なサポート内容は以下のとおりです。

監理団体のサポート内容入国前
  • 入国前段階では現地での人材選考支援
  • 日本語教育の実施
  • 来日手続きの代行など

入国後

  • 生活指導
  • 職業訓練
  • 定期的な巡回指導

このようなサポートを通じて実習生の適応を支援し、受け入れ企業に対しても制度の説明や各種手続きを行います。 特に介護分野では、専門的な知識と技術が求められるため、監理団体には介護特有の指導ノウハウと経験が不可欠です。優良な監理団体は、介護業界の特性を理解した上で、実習生の技能向上と職場適応の両面を支援する体制を整えています。

※3引用元:介護分野における特定技能制度について | 国際厚生事業団 外国人介護人材支援

優良監理団体を選ぶ

監理団体はまず、優良管理団体から選ぶと良いでしょう。優良な監理団体は一般監理事業の許可を取得しており、より長期間の実習が可能となります。ほかには特定監理事業があり、こちらは技能実習2号までの実習監理が行えます。(※5)

優良監理団体の中でも、財務面で安定していることも重要です。監理団体の運営が不安定だと、実習期間中にサポートが中断される可能性があります。サポートが中断されるようなことがあると、受け入れ企業だけでなく実習生にとっても深刻な問題となります。また、透明性の高い料金体系であることも大切です。隠れた費用が後から発生するような団体は避け、初期費用から月額管理費まで明確に提示している団体を選択しましょう。

ほかにも、介護分野での実績が豊富な団体を選ぶことで、業界特有の課題に対する理解と対応力を期待できます。 さらに、緊急時の対応体制が整っているかも重要なポイントで、24時間365日のサポート体制を敷いている団体であれば安心して任せることができます。

※5引用元:第5章 監理団体の許可等

サポート体制は充実しているか

監理団体のサポート体制の充実度は、技能実習の成功を左右します。特に介護分野では、日本語能力の向上が業務に影響するため、継続的な日本語教育プログラムが提供されているかが重要です 優良な監理団体では、入国前の基礎日本語教育から、業務に必要な専門用語の習得まで、段階的な教育プログラムを用意しています。

また、メンタルヘルスサポートも見逃せないポイントです。文化的背景の違いや言語の壁により、実習生が精神的な負担を感じることは珍しくありません。カウンセリング体制や相談窓口の設置、定期的な面談の実施などにより、実習生の心理的な健康を維持する取り組みが必要です。

ほかにも、いあkのような緊急時の体制が整っていることも確認すべき要素です。

監理団体へ求める緊急時のサポート体制
  • 医療機関での通訳サービス
  • 法的トラブルへの対応
  • 自然災害時の安全確保など

緊急事態はいつ発生するか予測できません。緊急事態発生時の備えがあれば、安心して実習生を受け入れることができます。

受け入れ実績はあるか

監理団体の受け入れ実績は、その団体の信頼性や経験値を測る重要な指標です。特にミャンマー人技能実習生の介護分野での受け入れ実績が豊富な団体であれば、ミャンマーの文化や介護業界での受け入れについて適切な指導を受けられることが期待できます。

実績を評価する際に確認する点は、以下のとおりです。

実績の有無で確認する項目
  • 受け入れ数
  • 実習生の定着率
  • 技能検定の合格率
  • 受け入れ企業からの満足度

優良な監理団体では、これらのデータを公開し、透明性の高い運営を行っています

また、過去の実習生が技能実習修了後にどのような進路を歩んでいるかも、団体の質を示す重要な情報です。 さらに、現在受け入れている企業から生の声を聞くことも有効です。実際に同じ監理団体を利用している介護企業の担当者から、サポート体制の実態や課題について話を聞ければ、より具体的な判断材料を得られます。

ミャンマー人の技能実習生を介護企業で受け入れる際におすすめの監理団体と登録支援機関3選

ミャンマー人の技能実習生を介護分野での受け入れを検討している企業にとって、実績と信頼性を兼ね備えた監理団体の選択は成功への第一歩です。また、登録支援機関も外国人材を監理団体へ送り出す重要な存在です。数多くの監理団体や登録支援機関が存在する中で、特に介護分野での経験が豊富で、ミャンマー人実習生のサポートに優れた団体を3つご紹介します。

これから紹介する団体は、それぞれ異なる特徴と強みを持ちながら、共通して高い実績と信頼性を維持している組織です。ぜひ、参考にしてみてください。

おすすめ監理団体①:20年以上の豊富な実績「エヌ・ビー・シー協同組合」

エヌ・ビー・シー協同組合は、1998年の設立以来20年以上にわたって外国人技能実習生の受け入れ支援を行っている老舗の監理団体です。特に介護分野では、早期から参入しており、豊富な経験とノウハウを蓄積している点が大きな強みとなっています

エヌ・ビー・シー協同組合の最大の特徴は、実習生一人ひとりに対するきめ細やかなサポート体制です。 入国前の現地面接から帰国まで、専任のコーディネーターが一貫してサポートを提供します。特にミャンマー人実習生に対しては現地に日本語教育センターがあり、6か月間の集中的な日本語教育に加えて、介護現場で必要となる専門用語や接遇マナーまで幅広く指導を行っています。

ほかにも、NBC協同組合は全国に支部を持っており、地域密着型のサポートを提供していることも評価されている点です。24時間対応の緊急時サポート体制も整備されており、医療機関での通訳サービスや法的問題への対応まで、包括的な支援を受けられます。

おすすめ監理団体②:日本最大の監理団体「アイムジャパン」

アイムジャパンは、全国で約7万人の技能実習生を受け入れている日本最大規模の監理団体です。その豊富な受け入れ実績と全国ネットワークを活かして充実したサポートを提供します 特に介護分野では、大手介護施設から小規模な事業所まで、様々な規模の企業への受け入れ支援を行っており、企業の規模やニーズに応じた柔軟な対応が可能です。

アイムジャパンの強みは、独自の教育プログラムと品質管理システムです。ミャンマーを含む各送出国に自社の教育施設を設置し、統一されたカリキュラムによる質の高い事前教育を実施しています。また、来日後も継続的な日本語教育や技能指導を行い、実習生の能力向上を支援しています。

おすすめ登録支援機関③:ミャンマー人材の採用に適している「株式会社BKU」

株式会社BKUは、ミャンマー人材の送り出しに特化した、信頼と実績のある登録支援機関です。ミャンマー現地にて日本語教育機関や研修施設を運営し、日本での介護・建設・製造など多様な分野で活躍できる人材の育成に注力しています。特に介護分野においては、専門用語や日本の介護制度に関する教育を現地で徹底的に行い、来日前から即戦力となる人材を育てています。

さらに特徴的なのは、「送り出し後も続く支援体制」です。日本側の監理団体や受け入れ企業と連携し、実習生の生活面・職場適応を多角的にフォローしています。具体的には、文化や言語の違いによるトラブルを最小限に抑えるため、定期的なカウンセリングや企業向けの情報提供も実施しています。

また、ミャンマー国内でも有数の認可を受けた送り出し機関として、現地政府との連携も強固です。法令順守を徹底し、実習生本人と企業の双方にとって安心・納得のいくマッチングを実現しています。

特に、BKUでは人材不足が深刻化する中で「心の通うケア」を提供できるミャンマー人材の橋渡し役として、多くの介護事業者から高い信頼を得ています

ミャンマー人の技能実習生採用にかかる費用とサポート内容

ミャンマー人技能実習生の採用を検討する際、多くの介護事業者で特に気になるのが、かかる費用の具体的な内容でしょう。技能実習制度では、受け入れ企業が負担すべき費用が多岐にわたるため、事前に全体像を把握しておくことが重要です。

また、費用に対してどのようなサポートが提供されるのかを理解することで、投資効果を適切に評価できるでしょう。 費用構造は大きく分けて、監理団体への支払いと実習生個人に関わる諸費用に分類されます。これらの費用は一見高額に見えるかもしれませんが、長期的な人材確保の観点から考えると、日本人職員の採用・教育コストと比較して決して高いものではありません。

ここでは、具体的な費用項目とその内容について詳しく解説していきます。

受け入れ機関・監理団体への支払い

監理団体への支払いは、技能実習生受け入れにおける主要な費用項目です。初期費用、月額の管理費はそれぞれ以下のとおりです。

  • 初期費用:20万円〜30万円
  • 月額監理費:3万円〜5万円

それぞれの内訳を解説します。一般的に、初期費用の内訳は、以下のとおりです。(※6)

初期費用の内訳
  • 現地での人材選抜費用
  • ビザ申請代行費用
  • 入国前教育費用など

月額の監理費の内訳は、以下とおりです。(※6)

月額のサポート費用内訳
  • 定期的な巡回指導
  • 日本語教育の継続
  • 生活相談対応
  • 各種手続きのサポートなど

優良監理団体では、24時間対応の緊急時サポートや専門的な介護指導も提供されており、これらのサービス内容を考慮すると妥当な水準と考えられます。

また、技能検定受験費用や帰国時の手続き費用なども別途発生する場合があります。これらの費用について事前に明確な説明を受け、契約書に詳細を記載してもらうことで、後々のトラブルを避けられるでしょう透明性の高い料金体系を持つ監理団体を選ぶことが、長期的な信頼関係構築において重要となります。

※6引用元:技能実習制度及び特定技能制度の現状について

渡航費・教育費・生活支援費まで考慮する

実習生の渡航費や教育費、生活費は受け入れ企業が負担します。それぞれ一般的に必要な金額は以下のとおりです。

  • 渡航費:往復で15万円〜20万円程度
  • 教育費:10万円〜15万円程度
  • 生活支援費:住居の確保・維持費用

渡航費は、通常受け入れ企業が負担することになります。ミャンマーから日本への航空運賃は、時期や航空会社によって変動しますが、往復で15万円から20万円程度を見込んでおきましょう。さらに、入国時の各種手続き費用や空港からの交通費なども考慮しなければなりません。

来日後の教育費も重要な費用項目です。法定講習として約1か月間の集合研修が義務付けられており、この費用は受け入れ企業が負担します。費用は10万円から15万円程度が一般的で、この期間中は実習生への賃金支払いも発生します。さらに、継続的な日本語教育や介護技術の向上のための研修費用も計画的に予算化しておくことが重要です。

生活支援費としては、住居の確保・維持費用が大きな割合を占めます。実習生用の寮を提供する場合の家賃や光熱費、家具・家電の準備費用なども考慮しなければなりません。また、実習生が日本の生活に適応するための支援として、携帯電話の契約サポートや銀行口座開設の手続き代行なども必要な場合があります。

これらの費用を総合的に考慮し、年間予算として実習生一人当たり150万円から200万円程度を見込んでおくことが適切でしょう

ミャンマー人の技能実習生を介護企業で採用する際のトラブルとは?

ミャンマー人技能実習生の受け入れは多くのメリットをもたらしますが、同時に様々なトラブルが発生する可能性も存在します。これらのトラブルは、事前の準備と適切な対応により防止または軽減することが可能です。 そのためには、介護現場特有の課題とミャンマーの文化的背景から生じる問題を理解することが求められます。

実際に、トラブルの多くはコミュニケーションの問題や文化的な認識の違い、そして制度への理解不足から発生します。特に介護分野では、利用者の安全に直結する問題となる可能性があるため、これらのリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることが不可欠です。

ここでは、実際に発生しやすい主要なトラブル事例とその対処法について詳しく解説していきます。

日本語の理解不十分による伝達ミス

ミャンマー人技能実習生を介護企業で受け入れる際のトラブルには、日本語の理解不十分による伝達ミスがあります。介護現場における日本語の理解不足は、最も深刻なトラブルの原因の一つです。特に緊急時の指示や医療的な専門用語の理解不足は、利用者の安全に直接影響を与える可能性があります。

例えば、薬の服用に関する指示や、利用者の体調変化の報告の場面では特に注意が必要です。 このように大事な場面での伝達ミスを防ぐためには、段階的な日本語教育と定期的な理解度チェックが求められます。日本語の指導には、介護現場で使用される専門用語集の作成や、視覚的な教材を活用すると効果的でしょう。

また、実習生が理解できていない場合に気軽に質問できる環境作りも大切です。分からないことを質問することに躊躇し、そのままにしていると重大な事故につながる可能性があります。定期的な面談や、質問しやすい雰囲気作りを心がけることで、コミュニケーション不足による問題を予防できるでしょう。

【失踪の可能性】2023年時点での失踪率は約5%

外国人の技能実習生を介護企業で受け入れる際のトラブルに、失踪があります。ミャンマー人でも失踪の可能性はありますが、全体平均と比較して低い水準です。実際に2023年時点でのミャンマー人技能実習生の失踪率は約5%でした。(※7)

失踪の主な原因として、労働条件への不満、人間関係のトラブル、より高い賃金を求める転職願望などが挙げられます失踪を防ぐためには、以下の労働条件を適切に提供することが求められます。

適切に提供する労働条件の項目
  • 法定労働時間の遵守
  • 適正な賃金の支払い
  • 有給休暇の取得促進など

まずは、労働基準法を遵守した健全な職場環境を維持することが重要です。また、実習生との定期的なコミュニケーションを通じて、不満や悩みを早期に把握することも求められます。そうすることで、適切な解決策が提供でき失踪防止につながるでしょう。 

それに加え、監理団体との連携も、失踪防止において重要です。以下のような支援体制を構築することで、実習生の満足度向上と定着率の改善を図ることができます。

定着率向上のための支援体制
  • 実習生の生活状況の把握
  • メンタルヘルスのサポート
  • 将来への不安解消など

万が一、失踪が発生した場合は速やかに関係機関に届け出を行い、適切な対応を取ることが法的義務となっています。

※7引用元:技能実習生の失踪者の状況(推移) 9,976人

衛生面や清潔面の認識のズレに注意

ミャンマー人の技能実習生を介護企業で受け入れる際のトラブルとして、衛生面や清潔面の認識のズレに注意が必要です。ミャンマーと日本では、衛生に対する認識や習慣に違いがあります。介護現場では、利用者の健康と安全のために衛生管理も大切です。特に手洗いの頻度や方法、マスクの着用、清拭の手順などについて、日本の基準に合わせた指導が必要となります そのためにも、文化的な背景による清潔概念の違いも理解しておくべき重要なポイントです。

例えば、宗教的な理由による身体の清拭方法の違いや、食事に関する衛生管理の認識などが問題となる場合があります。これらの違いを否定するのではなく、日本の介護現場における基準を丁寧に説明し、理解を求めることが大切です。

以下のような対策が挙げられます。

衛生面・清潔面の注意が必要な業務を理解してもらうための対策
  • 視覚的な教材を用いた衛生管理研修の実施
  • チェックリストを活用した習慣定着の支援
  • 定期的な衛生管理状況の確認など

また、感染症対策についても日本の基準に基づいた詳細な指導が必要です。感染症は適切な対策を講じなければ、利用者だけでなく実習生や他のスタッフにも蔓延していまいます。そうした場合、勤務できず人手不足となる可能性があるため詳細に指導することが大切です。

離職を防ぐ|ミャンマー文化を踏まえた介護現場での指導の注意点3つ

ミャンマー人技能実習生の離職を防ぎ、長期的な戦力として活躍してもらうためには、ミャンマーの文化も理解して指導することが大切です。日本の職場文化とミャンマーの文化には大きな違いがあります。

ミャンマーの文化では、面子を大切にする傾向が強く、上下関係に対する意識も日本とは異なります。さらに、感情表現の仕方や問題解決のアプローチにも独特の特徴があります。これらの文化的背景を理解し、適切な指導をすることで、実習生のモチベーション維持と技能向上を同時に実現できるでしょう。

ここでは、特に重要な3つの注意点について詳しく解説します。

注意点①:叱られ慣れてないため人前では注意や指摘をしない

ミャンマー人の技能実習生に指導する際に注意すること一つめは、人前での注意や指摘をしないことです。ミャンマーの教育文化では、人前で叱責されることは大きな屈辱になります。特に同僚の前で注意や指摘を受けることは、実習生にとって耐え難い屈辱となり、自尊心を大きく傷つけます。このような経験は、その後の学習意欲や職場での人間関係に長期的な悪影響を与える可能性があります。

効果的な指導を行うためには、注意や指摘は必ず個別の場で行うことが重要です。人目につかない場所で一対一の対話を行い、改善点について具体的かつ建設的なアドバイスを提供することで、実習生のプライドを傷つけることなく成長を促すことができます。また、注意の前には必ず良い点を認める言葉をかけることで、バランスの取れた指導となります。

さらに、チーム全体への指導が必要な場合は、特定の個人を名指しするのではなく、全体的な改善点として伝える工夫が必要です。これにより、実習生は個人攻撃と感じることなく、建設的な学習機会として受け止めることができます。

注意点②:注意をするときは穏やかに教えるように行う

ミャンマー人の技能実習生に指導する際に注意すること二つめは、注意をするときは穏やかに行うことです。ミャンマーの文化では、感情的な叱責や厳しい口調での指導は、相手への敬意を欠く行為とされています。

特に年長者や上司からの強い叱責は、実習生にとって深刻な精神的負担となり、萎縮や恐怖心を生み出す可能性があります。このような状態では、効果的な学習や技能向上は期待できません。 効果的な指導のためには、穏やかで尊重的な態度を保ちながら、改善点を伝えることが重要です。「教える」という姿勢で接し、実習生が理解しやすいよう具体例を交えながら説明することで、建設的な学習環境を作ることができます

また、実習生の理解度を確認しながら進め、一方的な指導とならないように注意が必要です。 問題解決の際には、改善に向けた具体的なステップを一緒に考えることも大切です。その際に、実習生の意見も聞くことで協力して問題を解決する姿勢を築くことができます。これにより、実習生は受け身の立場から積極的に学ぶ姿勢へと変わり、より効果的に技能を身につけられます。

注意点③:感情を表に出さないため本心が言える環境づくりをする

ミャンマー人の技能実習生に指導する際に注意すること三つめは、本心が言える環境づくりをすることです。ミャンマーの文化では、特に目上の人に対して本音を表現することが控えめになる傾向があります。これは敬意の表れでもありますが、職場においては問題の早期発見や解決を困難にする要因の一つです。

実習生が困っていることや理解できていないことを表に出さないため、問題が深刻化してから発覚することが多くなります。そのため、実習生が安心して本音を話せる環境作りが求められます。定期的な個別面談の機会を設けリラックスした雰囲気の中で、対話できる時間を確保することが効果的です。

また、日常的なコミュニケーションにおいても、実習生の小さな変化や表情に注意を払い、こちら側から積極的に声をかけることが大切です。実習生が困ったときに気軽に相談できる相手として認識してもらうため、普段から親しみやすい態度で接するとよいでしょう。実習生の文化や価値観に対する理解と尊重を示すことが重要です。

ミャンマーの情勢不安に対する緊急避難措置【特定活動について】

ミャンマーでは2021年のクーデター以降、政治的混乱が続いており、この状況を受けて日本政府は在留ミャンマー人に対する緊急避難措置を実施してきました。直近では、2024年10月1日以降、在留資格「技能実習」で滞在しているミャンマー人のうち、技能実習を修了せずに「特定活動」への在留資格変更を希望する場合の取り扱いが変更されました。(※8)

対象者の状況

変更前の取扱い

変更後の取扱い(2024年10月1日以降)

在留資格に基づく活動を満了した者(例:技能実習修了、学校卒業)

特定活動(1年・就労可)

特定活動(1年・就労可)

自己の責めに帰すべき事情によらず、在留資格に基づく活動を満了せずに在留を希望する者

特定活動(1年・就労可)

特定活動(1年・就労可)

※技能実習生が修了前に実習継続困難となり、監理団体等が実習先変更に必要な措置を講じたにもかかわらず、新たな実習先を確保できなかった場合に限る。

自己の責めに帰すべき事情により、技能実習を修了していない技能実習生で、残余の在留期間がある者

特定活動(6か月・週28時間以内の就労可)

※おおむね1年間、適正な在留を行った場合、特定活動(1年・就労可)への変更が可能。

在留資格の変更は認められない。

そもそも特定活動の制度は、ミャンマーの政情不安により帰国が困難な在留外国人に対して、人道的観点から在留と就労を認める措置です。しかし、当該措置が誤用・濫用的に利用されている事例が散見され、運用が厳格化されました。現在所有している在留資格が満了していない場合でも、適正な在留をしていると認められれば、最長1年の在留および就労を許可されていますこの変更により、技能実習を途中で放棄して特定活動への移行を図るケースが制限されました。

制度変更の前は、技能実習生が途中で特定活動に切り替える懸念があったため「怖くて採用できない」という介護企業が非常に多くありました。しかし現在では、特定活動の在留資格変更を制限したことにより、技能実習制度本来の目的に沿った運用が期待されています。これにより、介護企業は、3年間の技能実習期間を通じて計画的な人材育成が可能となり、長期的な戦略を立てやすくなっています。ただし、適正な実習環境の提供と継続的なサポート体制の構築が、これまで以上に重要です。

※8引用元:本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置

【まとめ】ミャンマー人の技能実習生を介護企業で受け入れる際の成功の鍵とは

ミャンマー人の介護技能実習生を受け入れる際には、制度や手続きの理解だけでなく、文化・言語・衛生観念などの違いを踏まえた丁寧なサポートが不可欠です。

彼らは温厚で高齢者に対する敬意が深く、介護の現場に向いている人材が多い一方で、日本語や専門知識への不安、生活習慣のギャップが障壁となることもあります。そのため、受け入れ前の教育体制の整備、現場での継続的な研修、そして「なぜそうするのか」を伝える対話型の指導を行うことが受け入れ成功の鍵です

また、信頼できる監理団体と連携し、送り出し機関との意思疎通を密にすることで、トラブルや離職のリスクも減らせます。単なる労働力確保ではなく、「育てる」という意識を持つことが、実習生だけでなく介護企業にとっても大切です。