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外国人介護人材のための補助金制度とは?|制度の仕組みや申請方法を徹底解説

少子高齢化が急速に進む日本では、介護人材の確保が深刻な課題となっています。特に地方を中心に慢性的な人手不足が続いており、現場の負担は年々増加傾向に。こうした状況を受けて、外国人介護人材の受け入れが本格化しています。しかし、「外国人を雇用するにはどうすればいいのか」「補助金は使えるのか」といった疑問を抱える施設も少なくありません。

本記事では、外国人介護人材の受け入れが注目される理由から、活用できる補助金・助成金制度、実際の支援制度の流れまでを網羅的に解説していきます。

目次

なぜ今、外国人介護人材が必要とされているのか

なぜ今、外国人介護人材が必要とされているのか

高齢化社会を迎えた日本では、介護サービスの需要が年々増加しています。それに対し、介護職員の確保は追いついておらず、業界全体での人手不足は深刻な状況です。こうした背景のもと、政府や地方自治体は外国人介護人材の活用を本格的に推進しています。では、なぜここまで外国人介護人材に期待が寄せられているのでしょうか。

ここでは、介護業界が抱える課題と、外国人雇用の制度的背景について解説します。

介護現場で進む人手不足とその背景

日本の介護業界では、少子高齢化により人材不足が深刻化しています。2040年度には約272万人、2026年度には約240万人の介護職員が必要(※1)とされる一方で、現時点では大幅な人材確保が見込まれていないという調査もあります。

なぜなら、介護職は身体的・精神的な負担が大きく、労働条件が他産業と比べて厳しいとされているため、若年層を中心に敬遠されがちだからです(※2)。また、都市部と地方の格差も大きく、地方では求人を出しても応募がまったく来ないケースも報告されています。

このような状況を打開する手段として、外国人介護人材の雇用が現実的な選択肢として注目を集めています。特定技能制度や技能実習制度など、制度整備も進んでおり、実際に多くの外国人が介護現場で活躍しています。

※1引用元:厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」

※2参考:厚生労働省「介護分野における雇用管理モデル検討会(施設系) 報 告 書」

介護現場の外国人雇用と現状

2008年、経済連携協定(EPA)を通じてインドネシアやフィリピンから介護福祉士候補者の受け入れが始まり、その後、ベトナムなど他の国々へと拡大しました(※4)。さらに、2017年には在留資格「介護」が新設され(※5)、外国人が日本の介護施設で働きやすい環境が整備されています。2019年4月には、新たな在留資格「特定技能」が創設され(※6)、介護分野もその対象となりました。これにより、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が、より円滑に介護現場で働けるようになりました。特定技能制度の導入以降、外国人介護人材の数は増加傾向にありますが、依然として全体の人材不足を補うには至っていません。

このように、外国人労働者の受け入れは進んでいるものの、介護現場の人材不足解消にはまだ課題が残されています。

※4引用元:公益社団法人国際厚生事業団「外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ

※5参考:出入国管理庁

※6引用元:法務省「特定技能外国人受入れに関する運用要領」

外国人材の雇用を支える4つの在留資格制度

現在、日本では複数の制度を通じて外国人介護人材の受け入れが可能です。主にEPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つ(※3)が柱となっています。

これらはすべて、介護業界の慢性的な人材不足を補うために設計されており、それぞれの制度には対象国や要件、滞在期間など異なる条件が設けられています。制度ごとに対象となる人材のスキルや日本語能力にも違いがあり、採用・教育の方針に大きな影響を及ぼします。

そのため、施設の経営者や人事担当者は、自施設のニーズや受け入れ体制に応じて、最適な制度を選択することが求められます。制度の概要を正しく把握し、それぞれの特徴を比較・検討することが、円滑な外国人雇用への第一歩です。

※3引用元:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについての考え方」

外国人介護人材を支援する4つの制度

外国人介護人材を支援する4つの制度

外国人介護職員を雇用するためには、制度の違いを理解した上で、どの制度が自施設に適しているかを見極めることが重要です。現在、日本では複数の枠組みが整備されており、それぞれに特徴的な支援内容や制限があります。受け入れ後のトラブルや定着率の低下を防ぐためにも、制度の違いを明確に把握しておくことが不可欠です。

ここでは、代表的な4つの制度について解説し、それぞれの支援内容と活用のポイントを整理します。

長期雇用を見据えた「EPA制度」の仕組みと特徴

EPA(経済連携協定)(※7)に基づく制度は、日本とインドネシア・フィリピン・ベトナムとの間で締結された国際協定に基づき、外国人介護人材を受け入れる枠組みです。特徴は、来日前から語学研修や国家試験対策が行われる点にあり、比較的高いスキルを持った人材が対象となっています。

この制度の最大の利点は、介護福祉士国家資格の取得が前提となっており、将来的な戦力としての定着が期待できる点です。加えて、受け入れ施設は一定の支援体制(研修・OJT・試験支援など)を整備する必要があるため、導入のハードルはやや高めです。

一方で、国が事前選抜と研修を行うため、採用時点でのマッチング精度は高く、長期的な雇用を見据えた人材確保が可能です。国際協力による信頼性の高い制度であり、質の高い人材を受け入れたい施設に適しています。(※8)

※7参考:経済連携協定(EPA)等

留学生を対象とした在留資格「介護」とは

外国人留学生が日本の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士の資格を取得すると、在留資格「介護」を申請し、日本で介護職として就労することが可能です。 この資格は、介護福祉士としての専門知識と技能を持つ外国人材の受け入れを促進し、日本の介護現場の人材不足解消に寄与しています。

在留資格「介護」の取得により、外国人介護福祉士は日本の介護施設や在宅介護サービスでの就労が認められ、在留期間は5年、3年、1年、または3ヶ月のいずれかが付与されます(※8)。また、在留期間の更新も可能であり、長期的なキャリア形成が期待できます。

さらに、2020年4月1日の法改正により、介護福祉士の資格取得ルートに関係なく、在留資格「介護」の取得が可能となりました。これにより、多様な背景を持つ外国人が日本の介護分野で活躍できる道が広がっています。

※8引用元:出入国在留管理庁在留資格「介護」

「技能実習制度」で外国人を受け入れるポイント

技能実習制度は、本来「開発途上国への技術移転」を目的とした制度であり、介護分野には2017年から適用されました。技能実習1号から3号まで段階的にステップアップできる仕組みで、最長5年間の就労が可能です(※9)。

この制度の特徴は、外国人が実習生として来日し、企業内でOJTを受けながら技能を身につける点にあります。厚生労働省や福祉系財団から補助金が交付される場合もあり、日本語教育や生活指導に対する支援も充実しています。

ただし、実習制度の特性上、「即戦力として働いてもらう」ことが主眼ではなく、教育的視点を持った雇用が求められます。また、不適切な労働環境が報告されるケースもあり、制度運用の透明性と遵法性が問われる領域でもあります。

※9引用元:厚生労働省「技能実習制度の仕組み 5)」

即戦力の確保につながる「特定技能制度」

特定技能制度は、2019年に創設された比較的新しい制度で、即戦力となる外国人材の受け入れを目的としています。介護分野は「特定技能1号」の対象となっており、在留期間は最長5年までです(※10)。介護職としての基礎知識・技能試験と日本語能力試験に合格すれば、雇用が可能です。

この制度のポイントは、実務経験や国家資格を問わず、試験合格によって就労が可能な点にあります。従来の技能実習制度と比べ、よりスピーディに即戦力を確保できる制度であり、介護業界からのニーズも高まっています。

一方で、支援責任者の配置や生活支援体制の整備が義務づけられており、雇用側にも一定の準備が求められます。定着支援や日常生活のサポート体制が不十分だと、早期離職につながる可能性があるため注意が必要です。

※10引用元:出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」

外国人介護人材に活用できる補助金・助成金の基礎知識

外国人介護人材に関する補助金と助成金

外国人介護人材を受け入れるにあたって、多くの介護施設が気になるのがコスト面です。実際、外国人雇用には日本語教育や資格取得支援、生活支援など、さまざまな初期費用が発生します。こうした負担を軽減するため、国や地方自治体では多様な補助金・助成金制度が用意されています。

ここでは、補助金と助成金の違いや、それぞれの制度が設けられた背景、そして具体的にどのような外国人介護職員・経費が対象となるのかを整理して解説します。

補助金と助成金の違いとは?

補助金と助成金は、国や自治体が事業者に対して提供する返済不要の資金援助制度ですが、その目的や仕組みに明確な違いがあります。

補助金は、特定のプロジェクトや政策目標の達成を支援するための制度です(※11)。​申請には公募制が採用され、厳格な審査を経て交付が決定されます。採択件数や金額が予め定められており、申請しても必ずしも受給できるわけではありません。また、公募期間が短く、通常は1か月程度と限定的です。

一方、助成金は、国や自治体が定めた条件を満たすことで支給される制度です(※12)。​主に雇用の増加や労働環境の改善などを目的としており、一定の要件を満たせば基本的に受給が可能です。公募期間も比較的長く、通年募集されることが多い傾向があります。

具体的な活用例として、外国人職員の採用拡大を伴う設備投資には補助金が、新規雇用者の研修や資格取得支援には助成金が適用されるケースが一般的です。

補助金 助成金
主な管轄 経済産業省・自治体など 厚生労働省・自治体など
審査 必要(採択制) 不要(要件を満たせば受給)
主な目的 事業立ち上げ、設備投資など 雇用促進、労働環境改善など
申請期間 限定的(短期) 通年が多い
支給の形態 補助率による(例:1/2、2/3) 固定額が多い

※11参考:日本M&Aセンター「補助金と助成金の違いとは?特徴や申請方法、注意点について解説」

※12参考:厚生労働省|助成金について

補助金と助成金による支援制度の目的と背景

外国人介護人材への補助金・助成金制度は、日本の介護現場の構造的な人材不足を補うために設立されました。特に、高齢化率が年々上昇する中で、地域社会の介護インフラを維持するには、外国人材の戦力化が不可欠となっているのが現実です。

こうした背景には、「国内人材の確保が限界に近づいていること」「外国人材の雇用促進を通じて地域経済を支える狙い」「現場の受け入れ環境を整備する必要性」などがあり、これらを包括的に支援する制度が求められてきました。

たとえば、東京都や神奈川県では、施設側の負担を軽減するために研修費用や生活支援費、在留資格取得費用の一部を補助しています。補助金は単なる経済支援にとどまらず、外国人職員が安心して働き続けられる環境づくりを後押しするものです。

このように、支援制度の根底には「持続可能な介護現場の構築」という社会的要請が存在しています。

補助金制度の対象となる経費

補助金制度の活用において重要なのは、「誰が対象となるのか」と「何に使えるのか」を正確に把握することです。対象となる外国人介護職員は、特定技能、技能実習、介護福祉士(在留資格「介護」)のいずれかに該当している必要があります。

また、補助対象となる経費は制度ごとに異なりますが、以下のような支出項目が共通して含まれています。

  • 在留資格取得に関する手続き費用

  • 日本語学習支援や研修費

  • 資格試験対策講座の受講料

  • 居住環境整備のための費用(例:住宅初期費用)


これらの支援は、外国人職員のスムーズな受け入れと定着を目的としており、介護施設の経営者にとっては、採用リスクを抑えながら外国人材の戦力化を図る有効な手段です。特に東京都福祉保健財団のような支援団体では、詳細な申請マニュアルや相談窓口も整備されており、初めての施設でも安心して制度を活用できます。

外国人介護人材向け 国が提供する補助金制度

外国人介護人材向け 国が提供する補助金制度

外国人介護人材の受け入れに際しては、言語面でのサポート、住環境の整備、教育体制の構築など、施設側が取り組むべき課題が多数存在します。こうした負担を軽減するため、厚生労働省をはじめとした国の関係機関では、さまざまな補助金制度を提供しています。これらの制度は、単なる雇用支援ではなく、外国人職員が介護現場で安心して長く働ける環境を整えるための包括的な支援を目的としています。

ここでは、国が提供する主な補助金の仕組みと支援内容について解説します。

施設の受け入れ体制を整えるための国の補助金

厚生労働省が実施する「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」(※13)は、外国人介護人材を受け入れる施設に向けて、体制整備のための費用を補助する制度です。この補助金の対象には、住宅の借り上げ、日常生活に関する支援、職場での日本語教育環境の構築、さらには通訳や相談員の配置などが含まれます。

これらの支援により、施設は外国人職員の生活や業務への適応を支援でき、結果的に職員の定着率向上にもつながります。補助の対象となる外国人は、特定技能や技能実習、EPAなどの在留資格を持つ介護職員で、補助額や補助率は年度や事業内容に応じて変動します。施設にとっては、制度を活用することで受け入れのハードルを下げると同時に、安心して外国人雇用に取り組む体制を整備できます。

※13引用元:厚生労働省「令和5年度補正予算事業(外国人介護人材関係)について」

人材確保・教育支援のための補助金

外国人職員の採用から定着までを支援する制度として、厚生労働省が実施する「外国人介護人材受入促進事業補助金」があります(※16)。この制度では、外国人職員に対する日本語研修や介護技術指導、OJT体制の構築、日常生活の支援などが補助対象となっています。

具体的には、教材や講師費用の補助、国家試験対策のための講座受講費、職場内メンター制度にかかる人件費などが該当します。これらは、単なる教育支援にとどまらず、職場環境全体を整えることを目的とした補助金である点が特徴です。とくに、初めて外国人介護人材を受け入れる施設にとっては、制度を活用することで導入期の負担を軽減し、円滑な受け入れと定着支援が可能になります。

※16引用元:厚生労働省「令和5年度補正予算事業(外国人介護人材関係)について」

外国人介護職員の国家資格取得を支援する補助金制度

外国人介護人材が介護福祉士の国家資格を取得するためには、専門的な知識と日本語能力の双方が求められます。そこで、厚生労働省および関連団体では、国家試験対策のための支援制度を整備しています。

EPA制度に基づいて来日した外国人介護福祉士候補者などを対象に、対策講座の受講費用やテキスト代、模擬試験の実施費、さらに試験受験時の交通費などが補助されます。これにより、受験準備にかかる経済的負担が軽減され、受験者本人の学習意欲の維持にもつながります。

資格取得によって在留資格が安定するだけでなく、施設としても長期的に雇用できる体制が築かれるため、この制度の活用は外国人職員のキャリア支援として非常に実効性の高い制度です。

地域別|外国人介護人材向け補助金制度

地域別|外国人介護人材向け補助金制度

全国には、国の制度に加え、各都道府県や市区町村が独自に設けている外国人介護人材向けの支援制度が存在します。地域ごとの制度は、人口動態や介護人材の需給状況に応じて設計されており、支援内容や条件には大きな違いがあります。施設側にとっては、自地域の制度を把握することで、より実用的かつ現場に即した支援を受けられる可能性があります。

ここでは、主要な地域別にどのような補助制度があるのか紹介します。ただし、補助金制度は常に変化しており、過去に募集が終了した制度もあれば、新たに創設される支援策も存在します。介護施設の経営者は、最新の情報にアンテナを張り、活用可能な支援制度をチェックしておきましょう。

東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の外国人介護支援制度

東京都では、特定技能外国人の雇用に関する支援として、「外国人介護従事者受入支援事業補助金」が提供されています。この制度では、日本語教育の講師謝金や教材費のほか、外国人職員の生活支援に関する体制整備(相談員の配置、生活支援ツールの作成等)にも補助が行われます。また、施設職員に対する異文化理解研修の実施にも支援対象が広がっており、外国人と日本人双方にとって働きやすい環境づくりを促進しています(※17)。

神奈川県では、外国人介護人材の受け入れを支援する「外国人介護人材受入施設環境整備事業費補助金」が設けられており、通訳の配置や業務マニュアルの多言語化、メンター制度構築に関する費用が補助対象となります。施設の受け入れ体制整備を支援し、円滑な職場定着を目指す内容です(※17)。

千葉県でも同様に、受け入れ施設の語学研修、生活支援体制、相談対応者の育成にかかる経費を対象とした補助制度が実施されており、外国人職員が安心して働き続けられる体制整備に貢献しています(※19)。

埼玉県では、県の公式サイト上で外国人介護人材の雇用ガイドラインや支援制度の案内を公開しており、特に初めて雇用に取り組む施設向けに、申請手続きや制度選定のサポートも用意されています(※20)。

※17参考:東京都福祉保健局HP「外国人介護従事者受入れ環境整備等事業」

※18参考:神奈川県HP「外国人留学生等介護分野受入環境整備事業」

※19参考:介護施設で新たに外国人介護職員を雇用し、家賃を手当てする法人に補助金を交付します(印西市外国人介護人材家賃補助金)|印西市

※20参考:外国人介護職員が長く働ける、魅力ある埼玉介護の促進補助金|埼玉県

北海道・東北地方の自治体による介護人材補助制度

北海道では、地域の実情に即した形で、外国人介護人材の受け入れを支援する補助制度が複数存在しています。苫小牧市では、事業所が独自に実施する日本語研修や、日本語学校への就学費用を補助する制度が設けられており、語学力向上を通じた定着支援が進められています。また、業務マニュアルや標識類の多言語化、通訳機の導入といった就労環境の整備にも補助が適用されます(※21)。

室蘭市では、外国人就労者向けの社宅修繕費や備品購入費が補助対象となっており、安心して暮らせる住環境の整備が支援されています。さらに、共和町や更別村でも、外国人労働者の住宅確保や雇用支援に特化した助成金制度があり、地方部での定住促進を後押ししています。

青森県では、外国人介護人材の受け入れを支援するため、「外国人介護人材受入施設環境整備事業」を実施しています。この事業は、介護施設等が外国人介護人材を受け入れる際に必要な環境整備を支援し、受け入れた外国人介護人材が円滑に就労・定着できるようにすることを目的としています。具体的な補助対象経費には、賃金、報償費、旅費、消耗品費、印刷製本費、食糧費、通信運搬費、手数料、使用料および賃借料などが含まれます(※22)。

※21参考:外国人材受入企業支援事業について|苫小牧市

※22参考:介護従事者確保対策事業費補助金交付要綱青森県|青森県

中部・近畿・中国地方の外国人介護支援制度の事例

長野県では、「住居借上支援補助金」を実施しています。外国人介護職員の生活基盤を整えるための支援制度で、対象は県内の介護事業所で雇用された在留資格「介護」「技能実習」「特定技能1号」を持つ外国人職員です。事業所が借り上げた住居にかかる費用の一部が補助されます。補助額は、家賃・共益費から入居者の自己負担額や他制度からの補助を差し引いた額の1/2以内で、上限は月額15,000円です。1施設あたり年間最大20万円まで交付されます(※23)。

愛知県では、「外国人介護人材受入促進事業」を実施しています。この事業では、介護事業所が外国人介護人材の受け入れに際し、環境整備や海外での人材確保の取り組みを行う場合、経費の一部が補助されます(※24)。

大阪府では、「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」を実施しており、外国人介護人材を受け入れる介護施設等が行うコミュニケーション促進、介護福祉士資格取得支援、生活支援に関する取組に対して、2/3の補助(上限20万円)を行っています。対象となる施設には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどが含まれま(※25)。

滋賀県では、「外国人介護福祉士候補者受入施設学習支援事業費補助金」を通じて、EPAに基づき入国する外国人介護福祉士候補者の日本語学習や専門知識の学習、学習環境の整備に要する経費を助成しています(※26)。

奈良県では、「外国人材定着支援事業補助金」を実施し、県内の事業所が外国人材に対して行う日本語研修の経費を補助しています(※27)。

京都では、「外国人介護人材定着支援金」を交付し、福知山市内の介護事業所で働く外国人の方が5年間勤務を継続すると、最大60万円が支給されます(※28)。

兵庫県では、「外国人材雇用促進支援補助金」を通じて、外国人労働者を雇用する市内の中小企業者等に対し、日本語能力向上に資する取り組みに要する経費の一部を補助しています(※29)。

※23参考:外国人介護人材住居借上支援事業の実施について|長野県

※24参考:外国人介護人材受入促進事業について|愛知県

※25参考:外国人介護人材受入施設等環境整備事業|大阪府

※26参考:外国人介護福祉士候補者受入施設学習支援事業費補助金について|滋賀県

※27参考:外国人材定着支援事業補助金|奈良県

※28参考:外国人介護人材定着支援金について|福知山市

※29参考:外国人材雇用促進支援補助金|尼崎市

九州・沖縄地方における外国人介護職員の補助制度

福岡県うきは市では、外国人介護職員の家賃負担を軽減するため、「外国人介護人材家賃費等補助金」が設けられています。補助額は家賃等から手当等を差し引いた額の1/2(上限月2万円)で、1人あたり12カ月分まで支給される制度です。これにより、物価高騰などで負担の大きい外国人職員の生活を支援し、職場への定着を促進しています(※30)。

熊本県では、「外国人介護人材住居借上支援事業費補助金」により、雇用先の法人が職員用住居を借り上げた際の経費に対し、最大で月額15,000円、1法人あたり年間最大20万円の補助が実施されています。対象となるのは、特定技能や技能実習、EPAの在留資格を持つ外国人介護職員で、県内の指定介護施設で雇用されていることが条件です(※31)。

佐賀県では「外国人日本語力向上支援事業費補助金」を創設。在住外国人の日本語力向上を図るため、日本語研修を実施する事業者に最大20万円(補助率1/2)を補助しています。通訳料や会場費などの費用も対象となっており、職場での円滑なコミュニケーション支援が評価されています(※32)。

宮崎県では「外国人留学生受入支援事業費補助金(PR支援事業)」が実施されており、介護福祉士養成施設の運営法人が海外で行う広報活動に対し、最大100万円の補助を受けることができます。これにより、外国人留学生の受入促進と将来的な介護人材の確保につながる取り組みが進められています(※33)。

※30参考:うきは市外国人介護人材家賃費等補助金|うきは市

※31参考:令和6年度(2024年度)熊本県外国人介護人材住居借上支援事業費補助金を募集します|熊本県

※32参考:令和6年度佐賀県外国人日本語力向上支援事業費補助金の募集を開始しました|佐賀県

※33参考:令和6年度宮崎県介護福祉士をめざす外国人留学生の受入支援事業費補助金(PR支援事業)対象事業者の公募について|宮崎県

外国人の介護人材向け補助金申請から交付までの流れ

外国人の介護人材向け補助金申請から交付までの流れ

外国人介護人材の受け入れに際して補助金制度を活用するには、所定の手続きが必要です。申請から交付までには、必要書類の準備や審査、交付決定後の報告義務など、いくつかのステップを踏まなければなりません。制度によっては、事前相談が必須となっている場合もあるため、申請スケジュールや必要要件を早い段階で確認することが肝要です。

ここでは、補助金申請の流れを段階ごとに説明し、注意点も併せて解説します。

補助金申請に必要な書類と事前準備

補助金を申請するには、まず必要書類の準備から始まります。基本的には、事業計画書、経費の見積書、対象職員の在留資格証明書、法人登記簿謄本、就業予定表などが求められます。これに加えて、補助対象事業の詳細を記した実施計画書の提出が求められるケースもあります。

補助金制度の多くは「対象が明確であり、実現性のある支援計画」に対して交付されるため、制度ごとに具体性のある提出資料が求められます。また、自治体によっては、申請前に「事前相談」や「事前登録」が必要な場合もあるため、窓口との連絡は早めに行うことが望ましいでしょう。

補助金申請方法と注意点

補助金の申請は、自治体や関連団体の指定様式に従って、書類を作成・提出する必要があります。提出先は、都道府県庁の介護人材担当窓口や、指定された支援機関になることが一般的です。電子申請が可能な制度も増えていますが、多くの場合は郵送または持参による提出が必要となります。

申請の際に特に注意したいのは、補助対象となる経費の範囲を正確に理解しておくことです。たとえば、日本語教育費や居住支援費は対象となっていても、既存職員の人件費や通常の採用広告費などは対象外とされる場合があります。誤って対象外の経費を含めて申請すると、審査で減額・不交付となるリスクがあります。

計画段階での内容と実施後の実績に乖離がある場合も、補助額の変更や返還が求められることがあるため、実行可能な範囲での計画書作成が必要です。補助金は「交付が決まった後に使える」性質のものが多いため、実費を先行して支出する必要がある点も忘れてはなりません。

補助金の審査・交付・報告の流れと対応ポイント

補助金申請が受理されると、自治体や審査機関によって内容の精査が行われます。この審査では、提出書類の不備や整合性、事業計画の実現可能性が重点的にチェックされます。審査期間は制度によって異なりますが、おおむね1〜2か月程度が目安です(※34)。

審査を通過すると、交付決定通知が届き、事業の実施が正式にスタートします。交付後には、定められた報告書(中間報告や最終報告)を提出する義務があり、事業の進捗状況や支出内容を明確に報告する必要があります。自治体によっては、写真や領収書の提出、実績報告書のフォーマット指定なども求められます。

この報告義務を怠ったり、実施内容が申請内容と著しく異なる場合には、補助金の返還を求められるケースもあります。したがって、交付を受けた後も「記録の保存」や「進捗の定期的な確認」が重要です。

補助金制度は、申請して終わりではなく、実行・報告・検証までを含めた“事業そのもの”と考えるべきでしょう。

※34参考:東京都福祉保健財団「令和6年度外国人介護従事者受入れに係る受入れ調整機関活用経費補助金の概要 」

補助金対象となる法人・施設の要件

補助金対象となる法人・施設の要件

外国人介護人材を受け入れる際には、補助金を活用する前提として、施設側にも一定の条件や体制が求められます。たとえば、対象となる施設の種類や、受け入れ可能な外国人の在留資格、そして申請可能な法人の資格など、制度ごとに細かい要件が設けられています。ここでは、補助金申請に必要な「施設側の要件」に焦点を当て、具体的にどのような条件をクリアすべきかを整理していきます。

補助対象となる介護施設の種類と条件

補助金を活用するためには、まず対象となる施設の種類が制度に適合していることが必要です。基本的に、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、通所介護事業所、訪問介護事業所などが対象になります。これらは、厚生労働省や都道府県が定めた介護保険サービス事業者として認可・指定されていることが前提です。

なぜこのような条件があるかというと、補助金は「公共性の高い介護サービス」を提供する施設への支援を想定しており、営利目的で設立された施設であっても、介護保険法に基づく正式な指定事業者である必要があるからです。また、事業開始から一定期間が経過していることや、過去に法令違反等がないことが申請条件となるケースもあります。

申請前には、施設が該当制度の対象施設種別に当てはまるかを、交付要綱などで事前に確認することが重要です。都道府県ごとに制度設計が異なるため、同じ「訪問介護事業所」であっても地域によって対象となるか否かが分かれることもあります。

補助金申請可能な介護事業者の要件

補助金制度の多くでは、介護事業者自体にも特定の要件が設けられています。たとえば、法人格を持つこと(社会福祉法人・医療法人・NPO法人・株式会社など)、定款や登記簿謄本の提出が可能であること、過去に不正受給歴がないことなどが挙げられます。

都道府県によっては「受入実績」や「職員定着率」のデータ提出が求められるケースもあり、形式的な要件だけでなく、運営状況そのものが審査対象になることもあります。たとえば、東京都福祉保健財団の補助金では、「外国人受入支援体制が整っていること」が必須要件とされ、教育・生活支援体制に関する書類提出が求められます。

このように、単に事業者であれば誰でも申請できるわけではなく、「制度目的に沿った運営をしていること」が重要なポイントとなります。事前に交付要綱をよく読み、自社の運営体制が基準を満たしているかを確認しておきましょう。

外国人介護職員の定着支援・教育体制整備

補助金の交付条件として、外国人職員の定着支援や教育体制が一定水準に達していることが求められます。これは、雇用するだけでなく「職場で継続して働いてもらう」ことを目的とした支援の一環です。

具体的には、日本語研修の実施体制、メンターや指導担当者の配置、業務マニュアルの多言語化、定期的な面談の実施、生活相談体制の整備などが必要とされることがあります。厚生労働省の資料では、「定着支援とは“関わり続ける支援”である」と明記されており、単発の研修では不十分とされています。

この要件は、補助金の対象外となる施設との大きな分かれ目でもあり、受け入れた外国人職員が“ひとりぼっち”にならない仕組みを、施設内に構築しておくことが制度活用の前提となります。結果として、補助金を受けながら職場の安定にもつながるため、積極的に取り組む価値があります。

外国人職員の定着とキャリア支援に役立つ制度

外国人介護人材の定着とキャリア形成支援

外国人介護人材の受け入れは、雇用した時点で終わりではありません。むしろ重要なのは、雇用した後の現場に定着し、継続的に力を発揮してもらうためのサポート体制を構築することです。加えて、日本語の習得や国家資格の取得など、キャリアアップの機会を提供することで、職員自身のモチベーションも維持されます。

ここでは、外国人職員の定着とキャリア形成を支援するための代表的な施策について解説します。

外国人職員の定着に向けたメンター制度・OJT支援事業

日本の職場文化や業務フローに不慣れな外国人職員にとって、着任初期のサポート体制はとても重要です。その支援策のひとつとして注目されているのが、「メンター制度」「OJT(On the Job Training)」体制の整備を支援する補助事業です。

この制度では、経験豊富な職員が外国人職員の相談役や指導担当者として伴走する体制を作り、その配置や研修にかかる費用を自治体や支援団体が補助します。たとえば、月1回の面談設定、業務マニュアルの共有、相互評価を取り入れたOJTスケジュールの策定などが、具体的な支援対象に含まれることがあります。

厚生労働省が公表した「令和4年度外国人職員の就労定着状況調査」では、メンター制度の導入が離職防止に一定の効果をもたらしていることが確認されており、制度活用の効果がデータでも裏付けられています。

日本語能力向上に使える補助金とは

外国人職員が介護現場で安定的に活躍するには、日本語の運用能力が不可欠です。とくに、利用者や同僚との円滑なコミュニケーションや、記録業務における正確な日本語理解は、介護の質に直結します。こうした課題に対応するため、多くの自治体では日本語教育に特化した補助金制度を整備しています。

たとえば、東京都では、雇用主が提供する日本語研修に対して講師謝金や教材費の一部が補助される制度があり、施設内研修だけでなく外部講座の受講費用にも対応しています。補助額や対象となる経費は自治体ごとに異なるものの、多くの場合、職員一人あたり数万円規模の支援が受けられます。

このような制度を活用することで、職員の語学力向上と職場の安心感が同時に得られ、結果として離職率の低下にもつながります。申請の際は、研修計画や対象者の情報を記載した申請書類の提出が求められるため、事前準備をしっかりと行うことが大切です。

介護現場で活躍する海外人材向け国家試験の合格支援

外国人介護職員が長期的に働き続けるには、介護福祉士国家資格の取得が大きなカギとなります。なぜなら、この資格を取得すれば「在留資格『介護』」への変更が可能になり、5年を超える安定した在留が認められるためです。

こうした背景から、多くの施設や団体では、外国人職員の国家試験合格を後押しする支援制度を導入しています。具体的には、国家試験対策講座の受講費、模擬試験受験料、参考書や学習教材の購入費などが補助対象となり、なかには受験にかかる交通費や宿泊費を支援するケースもあります。

たとえば、民間の教育機関「ZENKEN」では、外国人向けの国家試験対策講座が提供されており、分かりやすい日本語や実技重視のカリキュラムが組まれています。受講生の合格率も年々上昇しており、受講後に就労継続につながる事例も増えています。

各自治体による外国人介護人材の受け入れ支援事例

各自治体による外国人介護人材の受け入れ支援事例

外国人介護人材の受け入れ促進と定着支援は、国だけでなく地方自治体でも重点的に取り組まれているテーマです。特に介護人材の不足が深刻な地域では、自治体独自の補助金制度や生活支援策を展開し、地域の実情に合わせたサポートを行っています。ここでは、各地の先進事例や特徴的な支援策を紹介し、実際にどのように補助金制度が活用されているのかを整理します。

山梨県「やまなしKAIGOマスター事業」の介護人材定着支援

山梨県では、「やまなしKAIGOマスター事業(※35)」として、外国人介護人材のスキルアップと定着支援に取り組んでいます。この事業では、外国人職員に対して介護技術や日本語の研修を実施し、一定の水準に達した者に対して“KAIGOマスター”の認定を行うというユニークな制度です。

この認定制度は、外国人職員にとって“目標設定”の役割を果たすと同時に、達成後のキャリアパス構築にもつながる点で大きな意義があります。また、県内の介護事業者は、この制度を通じて「外国人職員を中長期的な戦力として育成する」意識を強めており、研修や評価体制の整備が進んでいます。

実績としては、制度導入後に定着率が改善し、離職率が大幅に減少したという報告も出ており、スキルとやりがいの両面から支援する取り組みとして注目されています。

※35参考:山梨県「やまなしKAIGOマスター」

静岡県「外国人介護職員キャリアアップ支援」事業費補助金

外国人職員の定着には、働きやすい職場環境の整備と同時に、キャリアアップの支援が重要な鍵を握ります。静岡県ではこの点に着目し、外国人職員のスキル向上を目的とした資格取得支援制度を設けています(※36)。

とくに注目すべきは、「外国人介護職員キャリアアップ支援事業費補助金」の存在です。この制度は、静岡県が主催する集合研修を修了し、知事が「特に優秀」と認定した外国人職員が、さらなる研修を受ける際に、その受講費用を全額補助するというものです。対象となる研修は、「介護職員初任者研修」や「実務者研修」、また社会福祉協議会が実施する専門研修などで、必要性と専門性の高い内容が揃っています。

たとえば、初任者研修の費用は通常5〜7万円程度かかる場合もありますが、この制度を利用すれば1人あたり5万円を上限に全額補助されるため、金銭的なハードルを大きく下げることができます。また、補助対象法人も、当該職員が在籍している事業所全体に及ぶため、法人単位での人材育成計画として活用できるのも大きな利点です。

※36参考:静岡県「外国人介護職員キャリアアップ支援事業費補助金」

東京都「TOKYO特定技能Jobマッチング」事業

東京都が実施する「特定技能外国人受入支援事業(※37)」は、介護分野を含む特定技能外国人の受け入れ促進と定着支援を目的とした包括的な取り組みです。具体的には、外国人材と事業者を結ぶマッチング支援、日本語能力向上のための教材提供・研修支援、生活面での相談体制整備など、多方面から支援を行っています。

また、採用や受け入れに不安を抱える事業者に向けた個別相談や、支援制度に関する情報発信も強化しています。これにより、外国人材の早期離職リスクを軽減し、安定的な雇用を実現しています。事業者と外国人双方にとって安心できる環境を整備するこの制度は、都内での外国人介護人材活用のモデルケースとなっています。

※37参考:TOKYO特定技能Jobマッチング

長野県「住居借上支援補助金」

長野県が実施する「住居借上支援補助金(※38)」は、外国人介護職員の生活基盤を整えるための支援制度です。対象は、県内の介護事業所で雇用された在留資格「介護」「技能実習」「特定技能1号」を持つ外国人職員で、事業所が借り上げた住居にかかる費用の一部を補助します。補助額は、家賃・共益費から入居者の自己負担額や他制度からの補助を差し引いた額の1/2以内で、上限は月額15,000円です。1施設あたり年間最大20万円まで交付されます。

この制度により、外国人職員の経済的負担を軽減し、地域での長期的な定着を後押ししています。受け入れ事業所にとっても人材確保と雇用継続に向けた有効な支援策となっています。

※38参考:長野県外国人介護人材住居借上支援事業の実施について

補助金活用における注意点とよくある疑問

補助金活用における注意点とよくある疑問

補助金制度は、適切に活用すれば事業者・外国人職員双方にとって大きなメリットがあります。しかし一方で、申請や交付において誤解やトラブルが起きやすいのも事実です。とくに「在留資格との関係性」や「補助対象の範囲」「返還義務が発生するケース」など、注意すべきポイントを押さえておくことで、制度活用の失敗を防ぐことができます。ここでは、介護事業者がよく直面する疑問と注意点を整理します。

在留資格に応じた補助金制度の使い分けは?

外国人介護人材向けの補助制度は、その人が持つ「在留資格」によって申請できる制度が異なります。そのため、適切な制度を選択することが補助金を受け取るうえでの第一歩となります。

たとえば、「特定技能1号」の外国人を雇用する場合は、「外国人介護従事者受入支援事業」や「受入施設等環境整備事業」が対象になることが多いです。一方、「EPA候補者」の場合は、JICWELS(国際厚生事業団)が提供する「EPA介護福祉士候補者支援事業」が適用されます。また、「技能実習生」については、技能実習制度に基づいた補助枠が別途設けられていることが一般的です。

このように、在留資格の違いに応じて、制度の申請先や必要書類、補助対象経費も変わってくるため、まずは雇用する外国人職員の資格を明確に把握したうえで、自治体や厚労省の窓口に相談すると安心です。

補助対象外となる費用

補助金制度には“対象外”となる費用も多数あります。対象とならない費用を誤って申請してしまうと、審査で却下されたり、最悪の場合、補助金の一部または全部を返還しなければならない事態にもつながります。

たとえば、以下のような費用は多くの制度で補助対象外とされています:

  • 一般の採用活動にかかる広告費や人材紹介料

  • 外国人職員以外の既存職員に対する教育費

  • 飲食費や懇親会費などの福利厚生的支出

  • 設備投資費(備品や建物改修など)で外国人雇用と直接関係がないもの

このような費用は、「直接的な受入支援・定着支援」との関連性が不明瞭とされ、補助金の目的に沿わない支出とみなされます。申請前には、交付要綱を必ず確認し、必要に応じて自治体窓口に事前相談することをおすすめします。

補助金不交付・返還となるケースとその理由

補助金制度の中には、他の助成制度と併用が可能なものもありますが、同一の支出項目に対して複数制度を申請することは原則として認められていません。これは、税金の二重支出を避けるためであり、「補助対象経費のダブり」がないか、審査時には非常に厳格にチェックされます。

たとえば、日本語教育費に対して国の補助金と都道府県の補助金を同時に充当してしまうと、審査後や報告時に「不適正受給」と判断されるおそれがあり、補助金の不交付決定や全額返還を求められる可能性もあります。

また、制度によって補助率や補助上限額が異なるため、支出の振り分けや会計管理にも注意が必要です。とくに初めて制度を活用する場合や、複数の制度を併用しようとする場合は、事前に自治体の窓口に相談しながら進めることが、安全かつ確実な運用につながります。

補助金と他制度との併用は?

基本的には、「支出項目が重複しない」範囲であれば、複数の補助金や助成金制度の併用は可能です。重要なのは、支出ごとに適切な制度を選定し、それぞれの制度要件に沿って申請書や報告書を整備することです。

「都道府県の補助金で通訳体制整備費を申請し、国の制度で日本語教育費を補助してもらう」といったケースは、多くの自治体で認められています。ただし、経費区分が曖昧だと後からトラブルになる可能性があるため、明細管理と根拠資料の保管がカギとなります。

制度によっては、「他制度との併用ができるが、他の補助金等によって支給された経費分は控除される」といったルールもあるため、個々の制度の交付要綱をしっかり確認することが大切です。併用時の事前相談が推奨されている場合は、遠慮なく窓口に問い合わせましょう。的確な申請につながり、事業の成功確率も高まります。

補助金交付後に必要な報告義務とチェック体制

補助金が交付された後は、所定の期間内に「実績報告」を提出しなければなりません。これは、交付された資金が適切に使用されたかを証明するためのもので、制度を利用する上で非常に重要なステップです。報告を怠った場合、次年度以降の申請に影響が出る可能性もあります。

具体的には、報告書の中に支出明細、領収書の写し、活動内容の記録、成果物(例:研修資料やマニュアルなど)を添付する必要があります。場合によっては、進捗報告や中間報告が義務付けられることもあり、制度によって提出回数や内容は異なります。

また、自治体や監査機関が後日訪問調査を行う場合もあり、補助金の使途について口頭説明や追加資料の提出を求められることもあります。そのため、補助対象経費とその他経費を明確に分け、記録を丁寧に残しておくことが、トラブル回避につながります。

外国人介護人材の補助金制度を理解し、受け入れを成功させよう

外国人介護人材の補助金制度を理解し、受け入れを成功させよう

外国人介護人材の受け入れは、もはや一部の先進的な施設だけの取り組みではなく、全国的な介護人材不足に対応するための現実的かつ重要な選択肢となっています。補助金制度を活用することで、施設側の負担を大幅に軽減しながら、安定的な雇用と定着支援を図ることが可能です。

本記事で解説したとおり、補助金には国・自治体が提供するものや、在留資格別、地域別など、さまざまな種類が存在し、それぞれに対象条件や活用目的が異なります。自施設の状況や雇用対象となる外国人の在留資格、雇用目的に合わせて、適切な制度を選択することが重要です。

また、補助金は“申請して終わり”ではなく、審査、交付、実績報告までを一貫して正確に運用する必要があります。不備や誤解による返還リスクを回避するためにも、事前に交付要綱や制度概要を十分に理解し、必要であれば専門機関や自治体窓口と連携を取りましょう。

外国人介護職員の受け入れは、単に“人手を補う”ものではなく、“多様性を力に変える”取り組みでもあります。補助金制度を上手に活用しながら、現場にとっても、職員にとっても、持続可能で温かな介護現場づくりを目指していきませんか。