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病院でも外国人労働者は受け入れ可能?特定技能生を受け入れる前に知っておくべきこと

深刻化する医療人材不足に対応するため、多くの病院が外国人材の採用を検討しています。2019年4月に新設された在留資格「特定技能」では、看護助手として外国人材を受け入れることが可能となり、注目を集めています。

本記事では、介護分野における特定技能制度の概要から、採用のメリット・デメリット、技能実習制度との違いまで、病院経営者や人事担当者が知っておくべき情報を詳しく解説します。

目次

病院で働く特定技能の看護助手とは

 

医療現場における人材不足は年々深刻化しており、特に看護補助業務を担う人材の確保が課題となっています。そこで注目されているのが、特定技能制度を活用した外国人看護助手の採用と考えらえれています。看護助手は、介護分野における特定技能の職種の1つで、看護師の指示のもと、患者の身の回りの世話や病室の環境整備など、医療行為以外の業務を担当します。ここでは、介護分野における特定技能の看護助手の制度概要と現状について詳しく見ていきましょう。

特定技能の概要と役割

特定技能は、2019年4月に新設された在留資格制度に基づく職種の一つです。

看護助手として働く外国人材は、患者の食事介助、入浴介助、排せつ介助といった基本的な身体介護に加え、ベッドメイキングや病室の環境整備、医療器具の準備や片付けなど、看護業務の補助的な役割を担います。これらの業務は医療行為には該当せず、看護師の指示のもとで実施される補助的な業務に限定されています。

医療現場では、看護師が本来の医療業務に専念できるよう、看護助手による業務支援が不可欠となっています。介護分野における特定技能では、日本語能力試験N4以上の合格と看護助手実務能力試験の合格が要件となっており、一定の専門知識とコミュニケーション能力を備えた人材を確保することができるでしょう。

在留資格「特定技能」の外国人労働者数推移

特定技能の在留資格による外国人労働者は、制度開始から着実に増加しています。2019年の制度開始時には数十人程度でしたが、2024年には1,000人を超える規模まで成長しました。特に、フィリピン、ベトナム、インドネシアからの人材が多く、これらの国々では日本の医療・介護分野への就労に高い関心が寄せられています。

受け入れ施設数も年々増加傾向にあり、大規模病院から地域の中小病院まで、様々な医療機関が外国人看護助手の採用を進めています。特に、地方都市の病院では深刻な人材不足に直面しており、特定技能制度を活用した外国人材の採用が人材確保の重要な選択肢となるでしょう。

2025年には最大27万人の看護師不足

2025年に向けて、日本の医療現場における人材不足は更なる深刻化が予想されています。厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会の「中間とりまとめ概要版」によると、2025年には最大で27万人の看護師が不足すると試算されています(※1)。

この人材不足に対応するためには、看護師の業務効率化と共に、看護助手による支援体制の強化が不可欠でしょう。特定技能制度を活用した外国人看護助手の受け入れは、この課題に対する有効な解決策の一つとして期待されていますが、病院経営者は、中長期的な人材戦略の中で、外国人材の活用を積極的に検討する必要があるでしょう。

※1引用元:医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会「中間とりまとめ概要版」

 特定技能における「介護士」と「看護助手」の違いについて

 

特定技能制度において、医療・介護分野では「介護士」と「看護助手」の職種が設けられています。これらは一見似ているようですが、業務内容や就労場所、必要な資格要件に重要な違いがあります。ここでは、両者の違いを詳しく解説し、それぞれの特徴を明確にしていきましょう。

特定技能における「介護士」と「看護助手」は何が違う?

介護分野における特定技能の「介護士」と「看護助手」の最も大きな違いは、その業務内容と就労場所でしょう。「介護士」は主に介護施設での身体介護を担当し、特別養護老人ホームや老人保健施設などで働きます。一方、特定技能生の看護助手は病院や診療所での看護補助業務を行い、医療現場特有の環境での業務が中心と考えられます。

▼業務内容
・介護士 :介護施設での身体介護(食事・入浴・排泄介助など)
・看護助手:病院・診療所での看護補助(医療行為なし)
▼勤務場所
・介護士 :介護施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設など)
・看護助手:病院・診療所・クリニック

必要な資格・試験については、両者とも日本語能力試験N4以上の合格が求められますが、専門試験が異なります。介護士は介護技能評価試験の合格が必要である一方、看護助手では看護助手実務能力試験の合格が求められます。これらの試験は、それぞれの現場で必要とされる専門知識や技能を評価するものです。

▼必要な資格・試験
・介護:介護技能試験合格 & 日本語能力検定N4以上
・看護助手:看護助手実務能力試験合格 & 日本語能力検定N4以上

特定技能生の受け入れ可能な介護施設は?

特定技能生の受け入れが可能な介護施設については、介護保険法に基づく介護サービスを提供する施設が対象となるでしょう。具体的な施設要件や受け入れ条件については、解説記事「特定技能「介護」受け入れ可能施設|完全ガイド」をご参照ください。

特定技能として雇用した外国人材は5年後どうなる?

特定技能生の在留期間は最長5年となっていますが、その後のキャリアパスについては、介護福祉士の資格取得による在留資格の変更など、様々な選択肢があります。

病院における外国人看護師の受け入れ状況

 

医療の国際化が進む中、日本の病院における外国人看護師の受け入れは重要な課題と考えられています。特に経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の受け入れ制度は、先駆的な取り組みとして注目されてきましたが、その現状には様々な課題が存在します。ここでは、外国人看護師の受け入れ状況と、直面している課題について詳しく見ていきましょう。

外国人看護師候補者の受け入れが伸び悩んでいる

国際厚生事業団の報告によると、近年、外国人看護師候補者の受け入れ数は伸び悩んでいます(※2)。この背景には、言語の壁や文化の違い、そして日本の看護師国家試験の難しさなど、複数の要因が絡み合っており、特に日本語での専門的なコミュニケーションや医療用語の習得に時間がかかることが、大きな課題となっていると考えられています。

外国人看護師候補者を受け入れる病院側も、教育体制の整備や生活支援など、様々な負担を強いられています。また、候補者が看護師国家試験に合格するまでの間、補助的な業務しか担当できないことも、受け入れ施設の経営的な課題となっているので、このような状況を改善するため、より効果的な支援体制の構築が求められるでしょう。

※2引用元:国際厚生事業団「外国人看護師候補者数が近年頭打ちに」

【2024年3月最新】外国人看護師の国家試験合格率は?

2024年3月に実施された第113回看護師国家試験の結果によると、全体の受験者数63,301人に対し、合格者数は55,557人で、合格率は87.8%でした(※3)。一方、EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師候補者については、受験者数294人に対し、合格者数はわずか17人で、合格率は5.8%にとどまっています。

この著しい合格率の差は、日本語による専門的な試験問題への対応の難しさを如実に示しています。特に、医療現場特有の専門用語や複雑な症例に関する問題は、日本語を母国語としない受験者にとって大きな壁と考えられています。一部の医療機関では独自の学習支援プログラムを実施するなど、様々な改善の取り組みが行われています。

(※3)引用元:厚生労働省 「第113回看護師国家試験における経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の合格者数と受入施設名を公表します」2024年3月

なぜ外国人看護師候補者数が近年頭打ちに

国際厚生事業団の分析によると、外国人看護師候補者数が頭打ちとなっている要因は複数存在します(※4)。母国での看護師としての経験を持つ候補者にとって、日本での資格取得までの道のりが長く厳しいと考えられます。日本の医療現場特有の文化や習慣への適応に時間がかかることも、大きな課題となっています。

さらに、アジア諸国の経済発展に伴い、母国での看護師の待遇が改善されていることも、日本への看護師候補者の応募が減少している要因の一つと考えられています。このような状況を踏まえ、日本の医療機関は特定技能制度など、新たな人材確保の手段を模索し始めています。

(※4)引用元:国際厚生事業団「外国人看護師候補者数が近年頭打ちに」

病院が特定技能外国人を採用するメリット5選

 

医療人材の確保が困難を極める中、特定技能外国人の採用は病院経営において重要な選択肢になると考えらえれます。この制度を活用することで得られる具体的なメリットについて解説していきます。採用を検討する病院にとって、これらのメリットは意思決定の重要な判断材料となるでしょう。

慢性的な介護・看護補助職の人手不足に対応

特定技能1号の在留資格を持つ外国人材は、最長5年間の就労が可能でしょう。特にミャンマー、フィリピン、ベトナムからの人材は、日本での就労意欲が高く、安定した人材確保につながっています。医療現場における慢性的な人手不足は、患者へのケアの質に直接影響を及ぼす重大な問題ですが、特定技能外国人の採用により、この課題に対して持続的な解決策を提供することが可能となるでしょう。

実際に特定技能外国人を採用している病院からは、「基本的な介護技術を身につけた人材を確保できる」「シフト管理が安定する」といった肯定的な声が多く聞かれています。また、彼らの真摯な勤務態度や向上心の高さは、職場の活性化にもつながっているとの報告もあります。

採用コストの抑制

特定技能外国人の採用における大きな利点は、直接雇用が可能という点でしょう。技能実習制度では監理団体を介する必要があり、それに伴う費用が発生しますが、特定技能制度ではそのコストを削減することができます。また、一定期間の就労が見込めることから、採用活動の頻度を抑えることも可能となり、人材採用に関わる総合的なコストの低減につながると考えられます。

医療機関の経営において、人件費は最も大きな支出項目の一つでしょう。特定技能外国人の採用により、必要な人材を確保しながら、コストを適切にコントロールすることが可能となります。さらに、彼らの多くは母国での医療・介護関連の経験を持っているため、基本的な業務に関する研修期間を短縮できることも、コスト面でのメリットとなると考えられます。

離職率の低さ

この特徴は、病院における人材の安定性確保に大きく貢献しています。特定技能外国人材の大きな特徴として、日本での生活基盤を築くことを目的としているため、雇用契約の維持に対する意識が高いことが挙げられます。頻繁な人材の入れ替えが減少することで、病院の採用負担が軽減されるだけでなく、継続的なケアの質の維持にもつながるでしょう。

実際の病院での導入事例を見ると、特定技能外国人の1年以内の離職率は日本人スタッフと比較して低い傾向にあります。これは、彼らが日本での就労に対して明確な目的意識を持っていること、また、病院側のサポート体制が充実していることなどが要因として考えられます。安定した就労環境は、患者ケアの質の向上にも良い影響を与えることでしょう。

患者へのケア品質の向上

特定技能外国人材は、看護助手実務能力試験に合格していることが要件となっているため、一定の介護スキルを備えていると考えられます。この基礎的な知識と技術は、病院における介護・看護補助の質を維持する上で重要な要素となるでしょう。さらに、異なる文化背景を持つスタッフの存在は、国際的な医療サービスの提供にもつながっています。

多様な文化的背景を持つ患者が増加している現代の医療現場において、外国人スタッフの存在は言語面でのサポートや文化的な理解の促進に貢献することでしょう。また、彼らの真摯な勤務態度や細やかな気配りは、患者からも高い評価を得ており、医療サービスの質的向上に寄与しています。

介護福祉士へのキャリアパス

特定技能制度の重要な特徴として、長期的なキャリア形成の可能性が挙げられます。特定技能生として就労しながら介護福祉士の資格を取得することで、在留資格を「特定技能」から「介護」に変更し、無期限の在留が可能となるでしょう。この明確なキャリアパスの存在は、外国人材のモチベーション維持と技能向上に大きく貢献しています。

医療機関にとっても、将来的な正看護師や介護福祉士の育成という観点から、人材育成の長期的な戦略を立てることが可能となるでしょう。実際に、多くの病院では特定技能外国人材に対して、資格取得支援プログラムを提供するなど、積極的なキャリア支援を行っています。

病院が特定技能外国人を採用するデメリット4選

 

特定技能外国人の採用には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題や懸念点も存在します。これらのデメリットを事前に理解し、適切な対策を講じることが、成功的な外国人材の受け入れにつながるでしょう。ここでは、主要なデメリットとその対応策について詳しく解説していきます。

意思疎通の難しさ

言語や文化の違いによるコミュニケーションの課題は、特定技能外国人を採用する上で最も大きな懸念事項の一つです。日本語能力試験N4以上の資格を持っているとはいえ、医療現場特有の専門用語や、患者との細やかなコミュニケーションには相応の時間と訓練が必要でしょう。特に緊急時の対応や複雑な指示の伝達において、誤解が生じるリスクは無視できません。

この課題に対応するため、多くの病院では独自の日本語教育プログラムや、医療用語の学習支援を実施しています。また、視覚的な指示マニュアルの作成や、バイリンガルスタッフによるサポート体制の構築など、様々な工夫が行われており、一定の効果を上げていますが、導入と維持には相応の負担が伴うことも事実でしょう。

教育・研修の負担

特定技能外国人は即戦力として期待されているものの、日本の医療現場特有の運営方式や業務フローへの適応には、体系的な教育・研修が不可欠です。病院独自の規則や手順、安全管理体制、感染対策など、様々な分野での教育が必要となり、さらに教育・研修プログラムの開発と実施には、多大な時間と人的リソースも必要でしょう。

特に教育担当者の負担は大きく、通常業務と並行して外国人スタッフの指導を行う必要があるでしょう。また、文化的な違いから生じる業務上の認識の違いを埋めていくためには、きめ細かな指導と継続的なフォローアップが求められるので、教育体制の整備と維持は、病院にとって大きな運営課題となっています。

転職リスク

特定技能制度では、在留資格の範囲内であれば転職が認められているため、より良い労働条件を求めて他の医療機関へ移ることが可能でしょう。この制度的な特徴は、病院側にとって人材流出のリスクとなり、特に、教育投資を行って戦力として育成した人材が転職するケースは、病院経営に大きな影響を与える可能性があると考えられます。

このリスクを軽減するためには、適切な待遇の提供はもちろんのこと、キャリアパスの明確化や、働きやすい職場環境の整備が重要でしょう。また、定期的な面談を通じて職場での課題や要望を把握し、早期に対応することで、人材の定着率を高める取り組みが必要です。

給与・コストの問題

特定技能外国人に対しては、日本人と同等以上の給与水準を確保することが求められるでしょう。これは、最低賃金を上回る給与設定が必要となることを意味し、病院側の人件費負担が増加する要因と考えられます。また、住宅支援や生活支援など、付帯的なコストも考慮しなければなりません。

さらに、福利厚生面での対応も重要です。医療保険や年金といった基本的な社会保障に加え、住宅支援や生活支援など、様々な面でのサポートが必要となり、これらの支援体制の整備には、相応の経済的負担が伴うでしょう。病院経営の観点からは、これらのコストを適切にマネジメントしつつ、効果的な人材活用を図ることが求められています。

病院における特定技能生と技能実習生の受け入れの違いは?

 

医療人材の確保において、特定技能制度と技能実習制度は異なる特徴を持つ制度として並立しています。両制度の違いを正確に理解することは、病院が自らの状況に最適な人材確保の方法を選択する上で重要でしょう。ここでは、両制度の主要な違いについて、実務的な観点から詳しく解説していきます。

受け入れの仕組みの違い

特定技能制度と技能実習制度は、その受け入れの仕組みにおいて大きな違いがあります。特定技能制度では、医療機関が外国人材を直接雇用することが可能であり、より柔軟な採用形態を取ることができるでしょう。一方、技能実習制度では、監理団体を介した受け入れが必須となり、その手続きや運営には一定の制約が伴います。

▼特定技能
・医療機関が外国人材を直接雇用可能。
・柔軟な採用形態。
・最長5年間の就労が可能。
・転職が認められている。

受け入れ期間についても違いがあり、特定技能1号の場合、最長5年間の就労が可能ですが、技能実習制度では原則として最長3年間(一部の要件を満たせば最長5年間)となっています。また、特定技能制度では就労開始後の転職が認められていますが、技能実習制度では原則として実習実施者の変更は認められていません。これらの違いは、病院の人材戦略に大きな影響を与える要素となるでしょう。

▼技能実習
・監理団体を介しての受け入れが必須。
・最長3年間(一部5年間)。
・転職不可(実習実施者の変更は原則禁止)。

業務範囲とスキルの違い

特定技能制度と技能実習制度では、認められる業務範囲とその前提となるスキル要件に違いがあります。特定技能外国人は、看護助手実務能力試験に合格していることが要件となり、より専門的な看護補助業務に従事することが期待されると考えられます。実務経験がなくても、試験に合格していれば就労が可能でしょう。

▼特定技能
・看護助手実務能力試験に合格する必要があり、専門的な看護補助業務に従事。
・実務経験がなくても、試験合格で就労可能。

一方、技能実習生の場合、基本的な介護技能の習得から始まり、段階的に業務範囲を広げていくことが想定されるでしょう。技能実習制度は、技能移転による国際貢献という側面も持ち合わせているため、体系的な技能習得のプロセスが重視されています。このような業務範囲とスキル要件の違いは、それぞれの制度における教育・研修の方針にも影響を与えるでしょう。

▼技能実習
・基本的な介護技能から始まり、段階的に業務範囲を広げる。
・技能移転を目的とし、体系的な技能習得のプロセスが重視される。

日本語能力の違い

両制度において求められる日本語能力にも、重要な違いが存在します。特定技能制度では、日本語能力試験N4以上の資格保持が要件となっていますが、これは実務的なコミュニケーションに必要な基礎的な日本語能力を担保すると考えらえれています。医療現場での円滑なコミュニケーションのため、多くの病院では独自の日本語教育プログラムを提供しています。

▼特定技能
・日本語能力試験N4以上が要件。
・実務的なコミュニケーション能力が求められ、多くの病院で独自の日本語教育が提供される。

技能実習制度においても同様にN4以上の日本語能力が求められますが、実習開始時点での要件は比較的緩やかと考えらえれています。ただし、実習期間中に日本語能力の向上が期待され、特に医療・介護分野では、患者とのコミュニケーションに必要な日本語能力の習得が重視されています。両制度とも、現場での実践的な日本語運用能力の向上が重要な課題でしょう。

▼技能実習
・N4以上が求められ、実習期間中に日本語能力の向上が期待される。
・医療・介護分野では、患者とのコミュニケーションに必要な日本語の習得が重要。

雇用期間とキャリアパスの違い

特定技能制度と技能実習制度では、雇用期間とキャリアパスの設計に大きな違いがあります。特定技能制度では、最長5年間の就労期間中に介護福祉士の資格を取得することで、在留資格「介護」への移行が可能となり、より長期的なキャリア形成を見据えることができるでしょう。この制度的特徴は、外国人材のモチベーション維持と技能向上に重要な役割を果たしています。

▼特定技能
・最長5年間の就労期間中に介護福祉士の資格を取得し、「介護」の在留資格に移行可能。
・長期的なキャリア形成が可能。

技能実習制度では、原則として最長3年間(一部5年間)の実習期間が設定されており、その間に段階的な技能習得が求めらるでしょう。実習修了後は、特定技能への移行や、母国での技能活用が期待されています。両制度のキャリアパスの違いは、病院における人材育成戦略にも大きな影響を与える要素と考えられます。

▼技能実習
・最長3年間(一部5年間)の実習期間。
・実習修了後は、特定技能への移行や、母国での技能活用が期待される。

採用コストと経済的メリット

特定技能制度と技能実習制度では、採用に関わるコスト構造が大きく異なります。特定技能制度の場合、監理団体を介さない直接雇用が可能なため、初期費用を抑えることができるしょう。また、即戦力となる人材を採用できることから、教育・研修にかかるコストも比較的抑制することが可能と考えられます。ただし、同等の日本人労働者と同等以上の給与水準を確保する必要があり、この点は経営上の考慮事項となるでしょう。

▼特定技能
・監理団体を介さず、直接雇用が可能で初期費用を抑えられる。
・即戦力となる人材を採用できるが、日本人労働者と同等以上の給与が必要。

一方、技能実習制度では、監理団体への支払いや、段階的な技能習得に伴う教育コストなど、より多くの初期投資が必要となります。しかし、技能実習生は実習期間中の転職が制限されているため、人材の定着という観点からは安定性が高いと言えます。また、国際貢献の一環として様々な助成金や支援制度を活用できる可能性もあり、長期的な視点では経済的なメリットを見出すことができるでしょう。

▼技能実習
・監理団体への支払い、段階的な教育にコストがかかる。
・実習生の定着性が高く、国際貢献として助成金や支援制度を活用可能。

どちらを選ぶべき?病院における特定技能生と技能実習生を選ぶ基準

 

医療機関が外国人材を受け入れる際、特定技能制度と技能実習制度のどちらを選択するかは、病院の状況や目的によって慎重に判断する必要があります。それぞれの制度には固有の特徴があり、病院の人材戦略や経営方針に合わせて最適な選択を行うことが重要でしょう。ここでは、両制度の選択基準について、実践的な観点から解説していきます。

病院が「特定技能生」を選ぶべきケース

即戦力となる人材を必要としている病院にとって、特定技能制度は魅力的な選択肢となります。

特に、看護助手実務能力試験に合格している人材を採用できることから、比較的短期間で戦力化が可能でしょう。また、患者とのコミュニケーションが重要な業務において、一定の日本語能力を持つ人材を確保できる点も大きなメリットなので、転職のリスクは存在するものの、適切な待遇と職場環境を整備することで、長期的な人材確保につながる可能性があると考えらえれています。

採用コストを抑えたい病院にとっても、特定技能制度は有効な選択肢となります。監理団体を介さない直接雇用が可能なため、初期費用を抑制することができる上、即戦力人材の採用により、教育・研修期間を短縮できることも、経営上のメリットとなるでしょう。キャリアパスの設計が容易であり、将来的な介護福祉士の育成も視野に入れた人材戦略を立てることができます。

▼病院が「特定技能生」を選ぶべきケース
・即戦力が欲しい: 試験合格者を採用し、短期間で戦力化可能。
・日本語がある程度できる人材が必要: 患者とのコミュニケーションに対応可能。
・コストを抑えたい: 直接雇用で初期費用が抑えられる。
・長期的なキャリア形成を目指す: 介護福祉士資格取得を視野に入れた人材戦略が可能。

病院が「技能実習生」を選ぶべきケース

技能移転による国際貢献を重視し、体系的な人材育成を行う余裕がある病院には、技能実習制度が適しています。

監理団体のサポートを活用できることで、受け入れに関する事務手続きや生活支援の負担の軽減が可能と考えられます。また、段階的な技能習得を通じて、病院独自の業務フローや文化に適応した人材を育成することが可能でしょう。転職が制限されているため、育成投資の回収という観点からも安定性が高いと言えます。

特に、介護福祉士の育成を長期的な目標として掲げている病院にとって、技能実習制度は有効な選択肢となると考えられます。実習期間中に基礎的な技能を習得し、その後特定技能への移行を経て、最終的に介護福祉士資格の取得を目指すというキャリアパスを設計することができるでしょう。また、国際貢献の側面から、様々な支援制度を活用できる可能性もあります。

▼病院が「技能実習生」を選ぶべきケース
・国際貢献を重視: 技能移転と人材育成を重視。
・段階的に育てたい: 病院の業務に合わせた育成が可能。
・安定性が求められる: 転職制限で人材の定着が期待できる。
・長期的に介護福祉士を育てたい: 基本技能習得後、特定技能を経て資格取得を目指せる。

外国人看護師が病院での業務で困ること

 

医療現場における外国人看護師の活躍が期待される一方で、様々な課題に直面しているのが現状です。これらの課題を理解し、適切な支援体制を整備することは、医療機関にとって重要な責務と考えられています。ここでは、外国人看護師が実際の業務において直面している課題について、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきましょう。

医療用語・専門用語の理解が難しい

日本の医療現場で使用される専門用語は、外国人看護師にとって大きな壁となっています。漢字を使用した医療用語は、読み方や意味の理解が特に困難な上、似通った表現が多く存在することも、混乱の原因と考えらえれます。例えば、「投薬」と「与薬」、「処置」と「手当」など、微妙な使い分けが求められる用語の理解には時間がかかるでしょう。

医療現場では、緊急時の迅速な対応が求められるため、専門用語の正確な理解は必須です。多くの病院では、医療用語の学習支援プログラムや、視覚的な補助教材の活用など、様々な工夫を行っていますが、医学の進歩に伴い新しい用語が次々と登場する中、継続的な学習支援の必要性は高まる一方と考えらえれるでしょう。

日本特有の表現・敬語の使い方が難しい

医療現場における接遇は、患者との信頼関係構築において重要な要素でしょう。しかし、「〜してください」「〜いただけますか?」といった敬語表現の適切な使用は、外国人看護師にとって大きな課題となっています。特に、場面や相手に応じた敬語のレベル調整が難しく、時として患者とのコミュニケーションに支障をきたすこともあると考えられます。

また、日本特有の曖昧な表現や、遠回しな言い方も理解が困難でしょう。例えば、患者が痛みを「ちょっと…」と表現した場合、その程度を正確に把握することが難しいケースがありますが、言語面での課題に対しては、定期的なコミュニケーション研修や、実践的な場面を想定したロールプレイなどを通じて、段階的なスキル向上を図る必要があります。

方言・地域特有の言い回しの理解が難しい

標準的な日本語でのコミュニケーションに加えて、地域特有の方言や言い回しの理解も大きな課題となっています。特に高齢の患者は方言を多用する傾向があり、その理解には相当の時間と経験が必要でしょう。例えば、同じ症状を表す言葉でも、地域によって全く異なる表現が使用されることがあり、適切な対応が困難となる場合があと考えられます。

この課題に対しては、地域の方言集や音声教材の活用、地域の医療スタッフによる勉強会の開催など、様々な取り組みが行われています。また、患者との日常的なコミュニケーションを通じて、徐々に地域の言葉に慣れていくというプロセスも重要でしょう。方言の理解は、地域に根ざした医療サービスを提供する上で欠かせない要素と考えらえれます。

日本特有の医療制度への適応に時間がかかる

日本の医療制度は世界的に見ても独特な特徴を持っており、外国人看護師にとって、その理解と適応には相当の時間を要します。例えば、保険診療と自由診療の区分、診療報酬制度の仕組み、電子カルテシステムの運用など、母国とは大きく異なる制度やシステムへの対応が求められ、特に医療記録の作成方法や、各種書類の取り扱いについては、詳細なルールの理解が必要と考えられます。

また、日本特有の医療安全管理体制や感染対策の考え方も、外国人看護師には新しい学びとなるでしょう。これらの制度やルールは、患者の安全と医療の質を確保する上で重要な要素であり、確実な理解と実践が求められます。多くの医療機関では、段階的な研修プログラムを通じて、制度面での理解促進を図っていきましょう。

長時間労働に慣れない

日本の医療現場における勤務体制は、多くの外国人看護師にとって大きな課題となっています。シフト勤務の複雑さや、突発的な残業の発生など、母国とは異なる労働環境への適応が求められるでしょう。特に、「仕事優先」の考え方が強い日本の職場文化において、プライベートとの両立に苦慮するケースが少なくありません。

また、夜勤を含む変則的な勤務シフトは、生活リズムの維持を困難にする要因となっています。外国人看護師の中には、このような勤務形態に身体的・精神的な負担を感じる人も多く、適切なワークライフバランスの確保が重要な課題と考えられています。医療機関側には、勤務シフトの調整や休憩時間の確保など、働きやすい環境づくりに向けた配慮が求められるでしょう。

宗教・文化的な違い

文化的背景の違いは、医療現場における様々な場面で課題と考えられます。特に宗教に関連する制約は、業務遂行に直接的な影響を与えることがあります。例えば、イスラム教徒の看護師の場合、一日五回の礼拝時間の確保や、断食月(ラマダン)期間中の勤務調整など、特別な配慮が必要となったり、特定の医療行為や患者との接触に関して、宗教上の制約がある場合もあるでしょう。

食事に関する制限も重要な課題です。ハラール食やベジタリアン食など、特定の食事制限がある場合、病院の食堂利用や夜勤時の食事対応などで困難が生じることがあるでしょう。これらの文化的・宗教的な課題に対しては、相互理解と柔軟な対応が不可欠と考えられます。医療機関には、多様な文化的背景を持つスタッフが共に働きやすい環境づくりが求められています。

特定技能が看護助手として働く4つの条件

 

特定技能が「看護助手」として日本で働くためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。これらの条件は、医療現場での円滑な業務遂行を確保するために設定されており、病院側も採用時に十分な確認が求められるでしょう。ここでは、各条件の詳細と、その重要性について解説していきます。

日本語能力試験(JLPT)N4以上

看護助手として働くためには、まず特定技能生として日本語でのコミュニケーション能力が不可欠でしょう。医療現場では患者さんや医療スタッフとの円滑なコミュニケーションが求められるため、日本語能力試験N4以上の資格が必要と考えられています。

N4レベルは、基本的な日本語を理解し、日常的なコミュニケーションが可能なレベルに相当しますが、具体的には、基本的な文法や漢字約300字程度の読み書き、そして日常的な場面でのコミュニケーションができることが求められるでしょう。医療現場特有の専門用語や敬語については、就労開始後に実務を通じて習得していくことが期待されます。

看護助手実務能力認定試験の合格

看護助手として必要な知識と技能を有していることを証明するため、看護助手実務能力認定試験に合格することが求められます。

この試験では、基本的な看護補助業務に関する知識や技能が評価され、具体的には、患者の移動介助、清拭や入浴介助、食事介助などの基本的なケア技術、そして医療安全や感染予防に関する知識が試験範囲となります。合格することで、看護助手として必要な基本的スキルを備えていることが認められ、日本の医療現場での就労が可能となるでしょう。

雇用契約(病院と直接契約)

特定技能の在留資格で就労するためには、医療機関との直接の雇用契約が必要です。この契約では、日本人と同等以上の待遇を保証することが求められ、具体的には、給与水準、労働時間、休暇制度などについて、日本の労働関係法令に準拠した条件を設定する必要があるでしょう。また、社会保険への加入も必須となります。

医療機関は、これらの雇用条件を明確に示した雇用契約書を作成し、外国人材との間で締結する事となります。

在留資格「特定技能1号」の取得

最終的に、特定技能1号の在留資格を取得が必要です。この在留資格は最長5年間の在留期間が認められ、更新も可能です。取得にあたっては、出入国在留管理局に必要書類を提出し、審査を受ける必要があるでしょう。

必要書類には、雇用契約書、日本語能力証明書、技能試験合格証明書などが含まれ、また、医療機関側も特定技能外国人の受入れに関する基準を満たしていることを証明する必要があります。

特定技能生を「看護助手」として採用する方法

 

医療機関が特定技能生を看護助手として採用する際には、大きく分けて二つの方法があります。それぞれの特徴と手続きの流れを理解することで、自院に適した採用方法を選択することができるでしょう。ここでは、それぞれの採用方法について詳しく解説していきます。

国内にいる試験合格者を直接採用

国内での直接採用は、すでに日本に在留している外国人材を採用する方法です。この方法では、技能実習生から特定技能への在留資格変更や、留学生からの資格変更などが典型的なケースとなるでしょう。

直接採用のメリットは、面接や技能確認を直接行えることです。応募者の日本語能力や実務能力を直接確認できるため、ミスマッチのリスクを低減でき、すでに日本での生活に慣れている人材を採用できるため、就労開始後の環境適応がスムーズになると考えられます。採用までの流れとしては、求人広告の掲載や人材紹介会社の活用、医療機関同士のネットワークを通じた採用などが一般的でしょう。

▼国内にいる試験合格者を直接採用
・対象: 日本にいる外国人材。
・メリット: 面接で直接能力確認でき、環境適応が早い。
・手続き: 求人広告や紹介会社で採用。

登録支援機関の活用

もう一つの方法は、登録支援機関を活用した採用です。登録支援機関は、外国人材の採用から入国後の支援まで、一貫したサポートを提供する専門機関です。特に海外から直接採用する場合には、登録支援機関の活用が効果的と考えられます。支援機関は現地での候補者選考から、在留資格申請手続き、入国後の生活支援まで、包括的なサービスを提供します。

医療機関側の事務負担を大幅に軽減できるメリットがあるでしょう。また、支援機関の持つネットワークを活用することで、質の高い人材の確保も期待できます。登録支援機関の選定にあたっては、実績や支援内容、費用などを十分に比較検討することが重要と考えられます。

▼登録支援機関の活用
・対象: 国内、海外の両方で採用したい場合。
・メリット: 支援機関が採用から生活支援までサポート。
・手続き: 支援機関を通じて採用活動。

特定技能生を病院で採用しよう

 

医療現場における人材不足の解決策として、病院勤務として特定技能を採用することは有効な選択肢の一つです。

しかし、採用にあたっては慎重な準備と計画が必要で、自院の受入れ体制を整備することが重要でしょう。具体的には、外国人材向けの研修プログラムの準備、コミュニケーション支援体制の構築、生活支援の整備などが必要と考えられます。また、既存のスタッフへの説明と理解促進も欠かせません。

外国人材の受入れは、単なる人材確保だけでなく、職場の国際化や多様性の促進にもつながる為、長期的な視点を持って、計画的に進めていくことが成功の鍵となるでしょう。