ミャンマー特定技能/技能実習人材の送出し・DX活用なら株式会社BKU

【介護分野】技能実習制度とは?固有要件と受け入れポイントを徹底解説!

近年、日本の介護業界では人手不足が深刻化しており、その解決策として注目されているのが外国人材の活用です。なかでも技能実習制度を利用した外国人介護人材の受け入れは、多くの介護事業者にとって重要な選択肢となっています。本記事では、介護分野における技能実習制度の概要から、受け入れ要件、そして成功のポイントまでを詳しく解説しますので、外国人材の採用を検討されている介護事業者の方々にとって、制度理解のための道標となるでしょう。

目次

外国人の技能実習制度とは?制度の目的や概要について

外国人の技能実習制度とは?

技能実習制度とは、開発途上国等の外国人を受け入れ、日本の産業・職業上の技能等を修得してもらい、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に活かすことを目的とした制度です。この制度は単なる労働力不足の解消を目的としたものではなく、国際貢献の一環として位置づけられています。しかしながら、実態としては労働力不足を補う側面が強くなっていることも否めません。

特に介護業界においては深刻な人材不足を背景に、2017年に技能実習の対象職種に「介護」が追加されたことで、外国人が日本の介護施設で働きながら技能を習得できるようになったのです。では、どのような仕組みで技能実習は運営されているのでしょうか。制度の詳細に踏み込む前に、まず基本的な枠組みについて理解しておくことが重要です。

技能実習制度の仕組みについて

技能実習制度は、主に「企業単独型」と「団体監理型」という2つの受け入れ形態があり介護分野では、ほとんどが団体監理型で受け入れられています。

企業単独型

  • 日本企業が海外の関連企業(現地法人、合弁企業、取引先企業など)から直接、従業員を技能実習生として受け入れる形態
  • 監理団体を介さず、企業が直接実習生の受入れと監理を行う
団体監理型

  • 非営利の監理団体(事業協同組合、商工会、職業訓練法人など)が技能実習生を受け入れ、その監理団体の傘下にある実習実施企業で実際の技能実習を行う形態

技能実習の期間は、原則として最長5年間で第1号技能実習(1年目)、第2号技能実習(2年目・3年目)、第3号技能実習(4年目・5年目)と段階的に進んでいき、各段階で求められる技能水準や日本語能力も異なるため、計画的な受け入れと育成が必要となります。また、技能実習生を受け入れるためには、外国人技能実習機構(OTIT)への技能実習計画の申請と認定が必要です。

技能実習計画の申請時に記載する必要がある項目

  • 技能の内容
  • 指導体制
  • 待遇

さらに、介護分野では後述する固有要件も満たす必要があるのです。

「特定技能」や「介護」と、技能実習の違いとは

外国人材の受け入れ制度には、技能実習以外にも「特定技能」という在留資格があり、技能実習は前述のとおり国際貢献を主としていますが、特定技能は「人手不足対策」として創設された制度です。特定技能1号は、知識または経験を必要とする業務に従事する外国人向けの資格で介護分野もその対象となっています。

技能実習と特定技能の大きな違いの一つは、就労の自由度です。

技能実習生

  • 原則として受け入れ先の変更はできない
  • 「技能の修得」が目的
特定技能外国人

  • 一定の条件下で転職が可能
  • 「即戦力としての活用」が前提

介護分野に特化して言えば、技能実習では段階的に業務範囲が広がっていくのに対し、特定技能では最初から幅広い介護業務に従事することが可能です。ただし、いずれも一定の日本語能力や介護技能が求められる点は共通しています。

政府はどう見てる?介護技能実習生の受け入れへの基本的な考え方

政府は介護分野における技能実習制度の導入に際して、「介護サービスの特性に基づく適切な対応」と「技能実習制度の趣旨を踏まえた対応」という2つの視点を重視しています。介護サービスは、要介護者の尊厳を保持し能力に応じた日常生活を営むことができるよう、専門的なサービスを提供する必要があり、利用者の安全と質の高いサービス提供を確保することが最優先事項です。

一方で、技能実習制度の本来の目的である「開発途上国への技能移転」という視点も重要で、介護技術を母国に持ち帰り、高齢化が進む母国の介護分野の発展に寄与することが期待されています。これらの観点から、政府は介護分野の技能実習について、単に人手不足を補うだけでなく、適切な実習環境の確保と質の高い技能移転を両立させることを基本方針としています。これを実現するために、後述する「介護固有要件」などの特別な条件が設けられているのです。

【2025年3月時点】介護分野での技能実習の現状

介護分野での技能実習の現状

介護分野における技能実習制度は、2017年11月の制度開始から約7年半が経過し着実に浸透しており、2025年3月現在、多くの介護施設が技能実習生を受け入れ、人材不足に悩む介護業界で外国人材の活用は欠かせない選択肢となっています。日本政府も「外国人材受入れ・共生のための総合的対応策」を策定し、介護分野における外国人材の受入れを積極的に推進しています。このような背景のもと、技能実習生の受け入れ状況はどのように推移しているのでしょうか。

【2024年最新】外国人労働者数は過去最高値を達成

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、2024年10月末時点で日本における外国人労働者数は200万人を突破し過去最高を記録しました(※1)。これは介護分野においても顕著であり、特に技能実習生と特定技能外国人の増加が目立ちます。

国別では、ベトナム、インドネシア、フィリピンからの人材が多く、これらの国々は介護分野の技能実習生の主要な送り出し国となっています。また、地域別に見ると東京・大阪などの大都市圏だけでなく、地方都市においても外国人介護人材の受け入れが進んでおり、技能実習生が地域の介護サービスを支える重要な存在となっているのです。

※1引用元:厚生労働省 「「外国人雇用状況」の届出情報まとめ【本文】(令和6年10月末時点)」

【2023年度最新】介護職の技能実習計画申請件数は1.4万件

外国人技能実習機構(OTIT)の統計によると、2023年度の介護職の技能実習計画の認定申請件数は約1.4万件に達しました(※2)。この数字はコロナ前の水準を大きく上回るものであり、介護分野における技能実習制度の浸透を物語っています。認定率も高水準を維持しており、適切な計画を立てることでほとんどの場合は認定を受けることができますが、審査は厳格で特に介護固有要件の充足状況については詳細なチェックが行われます。

また、技能実習計画の認定後の実地検査も強化されており、制度の適正な運用が厳しく求められますので、計画と異なる業務内容や、適切な指導体制が整っていない場合には、改善指導や最悪の場合は認定取消となる可能性があるので注意が必要です。

※2引用元:外国人技能実習機構「職業別 技能実習計画認定件数(令和5年度)」2024年3月

介護職における技能実習生の受入れ状況

現在、介護分野の技能実習生は全国で約3万人が活躍しており、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入所系施設での受け入れが多く、次いで通所系サービス、訪問系サービスとなっています。技能実習生の評価は総じて高く、「熱心に学ぶ姿勢」「丁寧な対応」「明るい人柄で利用者に喜ばれている」などのポジティブな評価が多く寄せられている一方で、「言語面でのコミュニケーションに課題がある」「文化の違いによる戸惑いがある」といった課題も指摘されています。

技能実習から特定技能への移行も増えており、技能実習修了後も日本で介護職として働き続けるキャリアパスが確立されつつあり、長期的な人材確保につながるとともに、より高度な技能を持つ外国人介護人材の育成が可能となっています。

受け入れ企業の外国籍労働者に対するの受け入れ方針は?

介護事業者の間では外国人材の受け入れ方針に変化が見られます。かつては「人手不足の緊急対応」として消極的に受け入れる施設も多くありましたが、現在では「多様性のある職場づくり」「グローバル人材の育成」といった積極的な方針を掲げる事業者が増えています。

特に注目すべきは、「外国人材活用推進室」などの専門部署を設置する大手法人の増加です。これらの法人では、外国人材の採用から育成、定着までを一貫してサポートする体制を構築し成功率を高めており、技能実習生の受け入れ経験を通じて、言語や文化の壁を乗り越えるためのノウハウが蓄積されています。例えば、「やさしい日本語」を職場全体で共有することを目的とした国際交流イベントを定期的に開催したり、色々な取り組みが広がっています。このような工夫により外国人材と日本人スタッフの相互理解が深まり、職場の活性化につながっているのです。

介護職の技能実習における4つの固有要件とは?

介護職の技能実習における4つの固有要件とは?

介護分野の技能実習には、他の職種にはない「介護固有要件」が設けられています(※3)。これは、介護サービスの特性を踏まえ、利用者の安全とサービスの質を確保するために設けられた特別な条件です。介護施設が技能実習生を受け入れるためには、これらの要件を全て満たす必要があります。介護固有要件は、厚生労働省令で明確に規定されており、外国人技能実習機構(OTIT)による技能実習計画の認定審査でも重点的にチェックされる項目です。要件を満たさない場合、技能実習計画は認定されないため事前に十分な理解と準備が必要となります。

介護職の技能実習における4つの固有要件

  1. コミュニケーション能力の確保
  2. 適切な実習実施者の設定
  3. 適切な実習体制の確保
  4. 監理団体による監理の徹底

それぞれ見ていきましょう。

※3引用元:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」2016年11月

固有要件1:コミュニケーション能力の確保

介護サービスは、利用者との信頼関係に基づく対人サービスでありコミュニケーション能力は極めて重要です。技能実習生には、利用者や家族、他の職員との適切なコミュニケーションが取れる日本語能力が求められます。具体的には、第1号技能実習生(1年目)はN4レベル相当、第2号技能実習生(2年目以降)はN3レベル相当の日本語能力が必要です。これは単に試験に合格していればよいというわけではなく、実際の介護現場で必要な日本語コミュニケーション能力があるかどうかが重視されます。

また、技能実習生自身の能力だけでなく、受け入れ側の配慮も重要です。「やさしい日本語」の使用や多言語対応の指示書・マニュアルの整備、通訳者の配置などの環境整備も、この要件を満たすための重要な取り組みとなります。

固有要件2:適切な実習実施者の対象範囲の設定

技能実習生を受け入れられる介護施設は限定されおり、具体的には介護福祉士国家試験の実務経験ルートの要件を満たす介護施設に限られます。これは、適切な指導体制と一定水準の介護サービスが提供されている施設でなければならないという考えに基づいています。

対象施設

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 指定介護療養型医療施設
  • 認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)
  • 特定施設入居者生活介護事業所
対象外の施設

  • 訪問介護などの訪問系サービス

訪問サービスは実習生が単独で利用者宅を訪問することになり、常時の監督が物理的に困難です。指導員が同行しなければ適切な技能指導や安全確保が行えないため対象外となっています。

また、実習実施者(受け入れ施設)には、過去3年間に「労働関係法令や入管法令違反などがない」「技能実習生に対する人権侵害行為などもない」ことが条件となっています。これらの要件は、技能実習生が適切な環境で実習できることを保証するためのものです。

固有要件3:適切な実習体制の確保

技能実習生が適切に技能を修得するためには、十分な指導体制が整っていなければなりません。

実習指導員

  • 介護福祉士の資格を有する者または3年以上の実務経験を有する者
  • 技能実習生5人につき1人以上配置

介護は利用者の安全と生命に関わる専門的な知識や正しい技術が必要な為、実習指導員は介護福祉士の資格保持者や実務経験者でなければなりません。また、介護現場では予期せぬ事態が起こるリスクもあります。技能実習生が行う介護業務を適切に監督・把握する為、指導員一人あたりの担当人数に上限を設ける必要があります。

生活指導員

  • 生活面での相談・指導を行う担当者を配置

外国人技能実習生にとって、言語や文化の違う日本での生活は様々な困難を伴います。ホームシックや文化的な違いからくるストレスへの対応を行い、生活環境に関する悩みや問題の相談窓口となる生活指導員の配置し精神的サポートを行うことが重要です。

固有要件4:監理団体による監理の徹底

団体監理型の技能実習では監理団体の役割が極めて重要です。特に介護分野ではサービスの質と技能実習生の権利保護の両面から、より厳格な監理が求められます。

監理団体

介護福祉士の資格を有する者または3年以上の実務経験を有する者を、監査指導員または訪問指導員として配置

また、監理団体は定期的に実習実施者を訪問して技能実習の実施状況を確認しなければなりません。通常の技能実習では3か月に1回以上の訪問が求められますが、介護分野では必要に応じて追加的な訪問も行うことが推奨されています。さらに、技能実習生から相談があった場合に適切に対応できる体制も必要で、母国語での相談対応ができるよう、通訳の配置や多言語対応の相談窓口の設置などが求められます。

必要な日本語レベルは?介護職の技能実習における2つの日本語能力要件

介護職の技能実習における2つの日本語能力要件

介護分野の技能実習では利用者とのコミュニケーションが介護サービスの質に直結するため、日本語能力が特に重視されます。第1号技能実習(入国後1年目)と第2号技能実習(2年目以降)では、要求される日本語能力に差があります(※4)。これは、技能実習生が段階的に技能を習得し、より複雑な業務を担当していくことを想定しているためです。

それでは、各段階で求められる日本語能力について詳しく解説します。

※4引用元:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」2016年11月

第1号技能実習(1年目)はN4合格レベル

第1号技能実習生には、日本語能力試験N4合格レベル相当の日本語能力が求められます。N4レベルとは、「基本的な日本語を理解することができる」レベルで、技能実習生は入国前に日本語を学習し、以下の能力に達している必要があります。

第1号技能実習生に必要な日本語能力

  • 基本的な文法や約1,500語程度の語彙を理解できる
  • 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる
  • ゆっくりはっきり話されれば、日常的な会話の内容をほぼ理解できる

ただし、N4試験に合格していることが絶対条件ではなく、同等レベルの日本語能力があることが証明できれば問題ありません。これは、第1号技能実習は基本的な介護業務(身体介護を除く)が中心となり、日常会話レベルの日本語能力があれば実習を開始することができるからです。しかし、実際の現場では予測不能な状況も発生するため、できるだけN4以上の日本語能力を持つ技能実習生を受け入れることが望ましいでしょう。

第2号技能実習(2年目)はN3合格レベル

第2号技能実習に移行するためには、日本語能力試験N3合格レベル相当の日本語能力が求められます。N3レベルとは、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルで、具体的には以下のような能力が含まれます。

第2号技能実習生に必要な日本語能力

  • やや複雑な文法や約3,000語程度の語彙を理解できる
  • 日常的な場面で自然なスピードの会話をほぼ理解できる
  • 新聞の見出しなど、基本的な文章を理解できる

第2号技能実習では、身体介護を含むより幅広い介護業務に携わるため、より高度な日本語コミュニケーション能力が必要となります。特に、利用者の微妙な体調変化を察知し、適切に報告・対応するためには、一定以上の日本語理解力が不可欠です。その為、技能実習生は第1号技能実習期間中に日本語学習を継続し、第2号への移行までにN3レベルに達する必要があり、受け入れ施設側でも、業務時間外の日本語学習支援や、日本語教室への通学支援などを行うことが望ましいでしょう。

【一覧紹介】介護職の技能実習性が勤務可能な施設は?

介護職の技能実習生が勤務可能な施設は?

技能実習制度における介護職種の特徴として、勤務可能な施設が限定されていることが挙げられます。これは、適切な実習環境と指導体制を確保するためのものであり、基本的には介護福祉士国家試験の実務経験ルートの要件を満たす介護施設が対象となります(※5)。

介護保険法関連施設

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 指定介護療養型医療施設
  • 認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)
  • 特定施設入居者生活介護事業所
  • 通所介護事業所(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション事業所(デイケア)
  • 短期入所生活介護事業所(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護事業所
障害者総合支援法関連施設

  • 障害者支援施設
  • 障害福祉サービス事業所(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助を行うもの)
生活保護法関連施設

  • 救護施設
  • 更生施設
その他の施設

  • 軽費老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 地域密着型通所介護事業所

一方、訪問系サービス(訪問介護、訪問入浴介護など)は、基本的に技能実習の対象外とされています。これは、単独での訪問により利用者宅で介護を行うことが多く、適切な指導体制の確保が難しいためです。

なお、施設の種類だけでなく、その施設が適切な実習環境を提供できるかどうかも重要です。過去3年間に労働関係法令違反や入管法令違反がないこと、技能実習生に対する人権侵害行為がないことなども、受け入れ条件となっています。

※5引用元:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」2016年11月

介護職の技能実習生はいつから「夜勤」ができる?

介護職の技能実習生はいつから「夜勤」ができる?

介護現場において夜勤は重要な業務の一つですが、技能実習生が夜勤に従事できるようになるまでには一定の条件があり、第1号技能実習生(入国後1年目)は原則として夜勤に従事することができません。これは、日本語能力や介護技能がまだ十分でない段階で、少人数体制となる夜間帯に配置することは、利用者の安全確保の観点から適切ではないという考えによるものです。

第2号技能実習生(2年目以降)については、以下の条件を全て満たす場合に限り、夜勤に従事することが可能となります。

第2号技能実習生が夜勤に従事できる条件

  1. 日本語能力試験N3以上に合格していること(または同等以上の能力を有すると認められること)
  2. 介護職種技能実習評価試験専門級に合格していること
  3. 夜勤時に指導者(介護福祉士等)との連絡体制が確保されていること
  4. 利用者の安全確保のための措置が講じられていること
  5. 技能実習計画に夜勤が含まれており、その旨が明記されていること

これらの条件は、技能実習生が夜勤業務を安全に遂行できる能力を有していることを確認するためのものです。特に、緊急時に適切な対応ができる日本語能力と介護技能が求められます。

また、技能実習生に夜勤を行わせる場合でも、適切な労働条件(割増賃金の支払い、十分な休息時間の確保など)を遵守する必要があり、技能実習生だからといって、不当に長時間の夜勤や連続夜勤を強いることは許されません。

【具体例付き】介護技能実習生の受け入れマニュアル

介護技能実習生の受け入れマニュアル

介護分野の技能実習生を受け入れるためには、準備から受け入れ後のフォローまで様々な段階で適切な対応が必要です。ここでは、受け入れの流れに沿って実践的なポイントを解説します。技能実習生の受け入れプロセスは、大きく「採用時」「受入時」「在留資格変更時」「業務指導時」の4つの段階に分けることができます(※6)。

※6引用元:日本介護福祉士養成施設協会「外国人介護人材を受け入れる介護施設職員のためのハンドブック」2019年3月

採用時|介護技能実習生の留意事項

技能実習生の採用では、まず信頼できる監理団体を選ぶことが重要です。監理団体の質によって、受け入れ後の支援体制や問題発生時の対応が大きく異なりますので、以下のポイントに注意して監理団体を選びましょう。

信頼できる監理団体の選び方

  1. 介護分野の受け入れ実績があるか
  2. 介護の知識を持つ監査指導員・訪問指導員がいるか
  3. 技能実習生の母国語での相談対応が可能か
  4. アフターフォロー体制が整っているか

また、採用面接時には技能実習生の日本語能力や介護への意欲・適性を確認することが重要ですので、オンライン面接などを活用して直接コミュニケーションを取ることをお勧めします。

さらに、技能実習計画の作成にも注意が必要です。計画には、実習の目標、指導内容、スケジュールなどを具体的に記載し、特に介護固有要件を満たしていることを明確に示す必要があります。

受入時|介護技能実習生の受け入れ準備

技能実習生が来日する前に、受け入れ準備を整えることが大切です。

居住環境の整備

  • 清潔で安全な住居を確保する
  • 必要な家具・家電を準備する
  • インターネット環境を整える
  • 最寄りの公共交通機関や生活施設(スーパー、病院など)へのアクセス方法を説明する資料を準備する
職場環境の整備

  • 多言語対応の業務マニュアルや指示書を作成する
  • 「やさしい日本語」を使った説明資料を準備する
  • 職場内の案内表示を多言語化する
  • 技能実習生専用のロッカーや休憩スペースを確保する
受け入れ体制の整備

  • 実習指導員(介護福祉士または3年以上の実務経験者)を配置する
  • 生活指導員を選任し、役割を明確にする
  • 技能実習生をサポートする「メンター」制度を導入する
  • 緊急時の連絡体制を整える
来日時の対応

  • 空港への出迎えを手配する
  • 住居への案内と基本的な生活ルールの説明を行う
  • 生活に必要な物品の購入をサポートする
  • 市区町村での住民登録や銀行口座開設などの手続きを支援する

在留資格変更時|「技能実習」の在留資格変更方法

技能実習生の在留資格に関する手続きは、主に監理団体が行いますが実習実施者も基本的な流れを理解しておくことが重要です。特に、第1号から第2号、第2号から第3号への在留資格変更にはいくつかの重要なステップがあります。

第1号から第2号への移行技能実習評価試験(介護初級)の合格と日本語能力試験N3レベル以上の証明が必要

また、新たな技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構に申請・認定を受ける必要があり、これらの手続きは在留期間満了の3ヶ月前までに開始することが望ましいでしょう。

第2号から第3号への移行技能実習評価試験(介護専門級)の合格に加え、第3号技能実習を行う優良な実習実施者・監理団体の基準を満たしていることが条件

具体的には、技能実習生の待遇や指導体制、法令遵守状況などが評価され、一定以上の点数を獲得する必要があります。また、在留資格変更手続きには時間がかかるため、計画的に準備を進めることが重要です。監理団体と緊密に連携し必要な書類や条件を事前に確認しておきましょう。手続きの遅れによって実習生が一時帰国を余儀なくされるケースもあるため、慎重な対応が求められます。

業務指導時|介護技能実習生の働きやすい環境づくり

技能実習生が効果的に技能を習得し、安心して働くためには適切な環境づくりが不可欠です。

技能実習生の環境づくり

  • 段階的な業務レベル
  • コミュニケーション支援
  • メンタルヘルスケア

まずは、基本的な業務から始め徐々に複雑な業務へと移行していくことで、技能実習生の自信と能力を着実に高めることができます。加えて、言語に自信がない状態での対人サービスは大きな精神的負担となる為、コミュニケーション支援も重要です。業務で使用する専門用語の説明や、申し送りなどの場面での配慮をしましょう。

また、定期的な面談を実施し、業務上の悩みや生活面での課題を早期に発見・解決することも大切です。技能実習生が質問や相談をしやすい雰囲気を作ることで、潜在的な問題を未然に防ぐことができます。技能実習生が安心して働ける環境づくりは、実習の成功に直結する重要な要素なのです。

介護企業が技能実習生の受け入れを成功させる4つのポイント

介護企業が技能実習生の受け入れを成功させる4つのポイント

これらは単なる制度上の要件を満たすだけでなく、技能実習生が充実した実習生活を送り、確実に技能を習得できるようにするための実践的なポイントです。成功事例を持つ介護事業者の経験から、特に重要な4つのポイントをご紹介します。技能実習制度の本来の目的である「人づくり」を達成しつつ、受け入れ側にとっても有益な関係を構築するために、ぜひ参考にしてください。

受け入れ可能な施設をまず確認すること

介護職種の技能実習生を受け入れるためには、まず自施設が受け入れ対象となっているかを確認することが最初のステップです。対象となるのは、介護福祉士国家試験の実務経験対象となる施設・事業所であり、具体的には以下のような施設が含まれます。

実務経験対象となる施設・事業所

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 指定介護療養型医療施設
  • 認知症グループホーム
  • デイサービスセンター
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(一定の要件を満たすもの)
  • 訪問介護事業所(第2号技能実習以降、一定の要件を満たす場合のみ)

特に訪問系サービスについては、第1号技能実習期間中は原則として従事できないなど特別な条件があります。また、居宅介護支援事業所やケアマネジメント業務は技能実習の対象外となっているため注意が必要です。自施設が対象となっているか不明な場合は、外国人技能実習機構や監理団体に確認することをお勧めします。受け入れ可能な施設であることを確認した上で、次のステップに進みましょう。

技能実習生の受け入れ可能な人数枠を確認すること

技能実習生の受け入れ人数には上限が設けられている為、事前に確認することが重要です。基本的に常勤職員総数の20%以内という制限がありますが、優良な実習実施者として認定されると、その上限が常勤職員総数の30%まで拡大されます。

優良な実習実施者として認定されると、常勤職員が20名の施設の場合、通常は最大4名(20名×20%)の技能実習生を受け入れることが可能だが、優良な実習実施者であれば最大6名(20名×30%)まで受け入れ可能となる

また、技能実習生と特定技能外国人を同時に受け入れる場合は、それぞれの在留資格ごとに人数枠が適用されることに注意が必要です。

技能実習生と特定技能外国人を同時に受け入れると、技能実習生の受け入れ枠が4名で、特定技能外国人の受け入れ枠も4名ある場合、合計で最大8名の外国人材を受け入れることが可能となる

受け入れ人数枠は、施設の規模や体制によって適切に設定されています(※7)。無理な受け入れは技能実習生への指導の質低下につながる恐れがあるため、自施設の指導体制を考慮した上で、適切な人数を受け入れましょう。

※7引用元:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」2016年11月

技能実習生の教育・指導体制を整える

技能実習生に対する教育・指導体制の整備は成功の鍵を握る重要な要素です。

教育・指導のための具体策

  • 多言語対応のマニュアルや教材の準備
  • 視覚的に理解しやすい写真や図を活用
  • 定期的な評価とフィードバックの仕組み
  • 個別面談を実施し、技能の習得状況や課題を共有する

言語・文化の壁を乗り越えるための基盤作りが不可欠です。教育・指導のための具体的なツールとして、多言語対応のマニュアルや言葉以外に写真や図を活用するのも有効です。特に、介護現場で頻繁に使用される用語や表現をまとめた「介護用語集」は、技能実習生のコミュニケーション支援に役立ちます。

また、個別面談や定期的な評価で技能実習生個人の理解度や技術面の課題を共有し、進捗を可視化させることで実習生自身の達成感とモチベーションに繋がります。これらの教育・指導体制を整えることで、技能実習生は安心して技能を習得することができるでしょう。

受け入れ後のサポート体制と労働環境の整備

技能実習生を受け入れた後のサポート体制も重要です。

サポート体制

  • 日本語学習の支援
  • メンタルヘルスケア
  • 日本文化への理解を深めるための機会提供
  • キャリアパスの提示

第1号から第2号への移行には日本語能力試験N3レベル以上が必要なため、計画的な学習支援が重要となります。業務時間内に日本語学習の時間を設けたり、日本語学習アプリや教材を提供したりするなど継続的な学習環境を整えましょう。

技能実習生は言語や文化の違いから、様々なストレスを抱えやすい傾向があります。定期的な面談や相談窓口の設置、同国出身者との交流機会の提供などを通じて、メンタル面のサポートを行うことが大切です。

また、地域の行事への参加や日本文化体験イベントの開催など、日本の文化や習慣に触れる機会を設けることで、技能実習生の日本社会への適応を促進することができます。

さらに、技能実習終了後のキャリアについて、例えば特定技能への移行や本国でのキャリア展望などを具体的に示すことで、技能実習生のモチベーション維持につながります。技能実習生が将来を見据えて意欲的に実習に取り組める環境を整えることが、受け入れ成功のポイントとなるのです。

配置基準に規定はある?介護技能実習生に掛かる配置基準の現状

介護技能実習生に掛かる配置基準の現状

介護サービスには、サービスの質と安全を確保するために人員配置基準が設けられています。配置基準への算入可否は、施設運営の効率性に直接影響するため正確な理解が必要で、介護職種の技能実習生の配置基準への算入については、実習の段階(第1号、第2号、第3号)や業務内容によって条件が異なります(※8)。また、配置基準に算入するためには、いくつかの要件を満たす必要があるので、技能実習生の配置基準に関する現状と詳細な条件について解説します。

※8引用元:厚生労働省「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱いについて」2023年9月

介護技能実習生は人員配置基準に算入できるのか?

介護技能実習生は、一定の条件を満たせば人員配置基準に算入することができますが、全ての技能実習生が自動的に算入できるわけではなく実習の段階や日本語能力、業務内容などによって条件が異なります。

第1号技能実習生(1年目)

  • 入国直後の講習期間(2か月以内)を除き、人員配置基準に算入することができるがサービスの種類によっては追加の条件がある
  • 訪問介護では第1号技能実習期間中は業務に従事できないため、配置基準にも算入できない
第2号技能実習生(2〜3年目)と第3号技能実習生(4〜5年目)

  • より幅広い業務に従事できるため、多くのサービスで人員配置基準に参入することができる
  • 全ての技能実習生が常に人員配置基準に参入できるわけではない

算入のためには、「業務を適切に行うために必要な知識や技術を習得していること」「利用者とコミュニケーションが取れること」など、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件を満たした上で、初めて人員配置基準に算入することができるのです。

技能実習1号・2号・3号による配置基準の違い

技能実習の段階によって配置基準への算入条件は異なります。それぞれの段階における違いを詳しく見ていきましょう。

第1号技能実習生(1年目)

  • 入国後の講習期間(通常2か月以内)は配置基準に算入できない
  • 夜勤業務や訪問介護業務には従事できない

講習期間終了後は、基本的な身体介護や生活支援などの業務に従事できるようになるため、一定の条件を満たせば配置基準に算入することができます。

第2号技能実習生(2〜3年目)

  • 夜勤業務にも一定の条件を満たせば従事できるようになる
  • 訪問介護についても、一定の条件(常勤職員が同行する等)を満たせば従事できる

N3レベル以上の日本語能力を有し、介護技能評価試験(初級)に合格していることが前提です。

第3号技能実習生(4〜5年目)

  • 実質的に日本人職員と同等の業務が可能な場合が多い
  • ほとんどの介護業務に従事することができる

介護技能評価試験(専門級)に合格していることが前提となり、配置基準についても第2号と同様に幅広く算入可能です。このように、技能実習の段階が進むにつれて、従事できる業務範囲が広がり配置基準への算入可能性も高まっていきます。

施設運営を効率的に行うためには、これらの違いを正確に理解し、適切な人員配置を行うことが重要です。

技能実習生が配置基準に算入されるための4つの条件

技能実習生を人員配置基準に算入するためには、以下の4つの条件を満たす必要があります。

技能実習生が配置基準に参入されるための4つの条件

  1. 実習実施計画に基づいた業務に従事していること
  2. 必要な知識・技術を習得していること
  3. 利用者とコミュニケーションが取れること
  4. 適切な指導体制が確保されていること

これらの条件を満たすことで、技能実習生は人員配置基準に算入することができます。ただし、条件を満たしていることを客観的に証明できるよう、指導記録や評価結果などの記録を適切に保管しておくことをお勧めします。

技能実習生の配置基準に関する3つの注意点

介護技能実習生の配置基準への算入に関しては、いくつかの重要な注意点があります。これらの点を事前に理解しておくことで、算入に関するトラブルを防ぐことができます。

技能実習生の配置基準に関する3つの注意点

  1. サービス種別ごとの特有の条件を確認する
  2. 夜勤業務への配置には特別な条件がある
  3. 配置基準算入の証明資料を準備しておく

これらの注意点を踏まえ、適切に技能実習生を配置基準に算入することで、施設運営の効率化と適正な人員配置の両立が可能となります。ただし、配置基準への算入を優先するあまり、技能実習本来の目的である技能習得がおろそかにならないよう注意することも重要です。

技能実習生と特定技能外国人の配置基準の違い

技能実習生と特定技能外国人は、どちらも介護現場で働く外国人材ですが配置基準への算入について異なる点があり、これらの違いを理解することで、より適切な人材活用が可能になります。技能実習生の場合、前述の通り段階(第1号、第2号、第3号)によって従事できる業務範囲や配置基準への算入条件が異なります。

第1号技能実習生

  • 入国後の講習期間中は配置基準に算入できない
  • 夜勤や訪問介護にも従事できない
  • 技能実習計画に記載された業務のみに従事できる
特定技能外国人(介護)

  • 入国後すぐに人員配置基準に参入できる
  • 日本語能力試験N4以上と介護技能評価試験合格という要件を満たしていれば、幅広い介護業務に従事できる
  • 夜勤業務は本人の同意など一定の条件のもとで従事可能

人数枠についても違いがあり、技能実習生は常勤職員総数の20%(優良な実習実施者は30%)という上限がありますが、特定技能外国人にも同様の上限があります。ただし、両者の上限は別々に計算されるため、例えば常勤職員が20名の施設では、技能実習生最大4名、特定技能外国人最大4名、合計8名の外国人材を受け入れることができる計算になります。

このように、技能実習生と特定技能外国人では制度の性格や目的が異なるため、配置基準への算入条件も異なります。それぞれの特性を理解し、施設の状況に応じて適切な外国人材の活用を検討することが重要です。

外国人材への指導は難しい?介護企業が技能実習生を指導する際の5つの注意点

介護企業が技能実習生を指導する際の5つの注意点

外国人技能実習生の指導は、言語や文化の違いから日本人職員の指導とは異なる難しさがありますが、適切な方法で指導を行えば技能実習生は着実に成長し、貴重な戦力となります。ここでは、技能実習生を指導する際の5つの重要な注意点について詳しく解説します。これらの注意点は、実際に技能実習生を受け入れている介護施設の経験から導き出されたものです。言語や文化の壁を乗り越え効果的な指導を行うためのポイントとして、ぜひ参考にしてください。

【政府の参考情報】介護職種の優良な実習実施者に関する条件

本題に入る前に、政府が定める「介護職種の優良な実習実施者」の条件について触れておきましょう。優良な実習実施者と認定されると、第3号技能実習生の受け入れが可能になるほか、受け入れ人数枠の拡大(常勤職員総数の20%→30%)など、様々なメリットがあるのです。優良な実習実施者の条件には、法令遵守状況、技能実習の実施状況、技能実習生の待遇などの項目があり、得点評価によって判断されます(※9)。特に介護職種では、以下のような項目が重視されています。

優良な実習指導者の条件

  • 技能実習指導員の資質(介護福祉士としての経験年数や指導経験など)
  • 技能実習生の待遇(給与水準、社会保険の適用状況など)
  • 日本語学習支援体制(学習時間の確保、教材の提供など)
  • 生活支援体制(住居環境、緊急時対応体制など)
  • 技能検定の合格実績

これらの条件を意識して技能実習生の受け入れ体制を整備することで、優良な実習実施者としての認定を目指すことができます。また、これらの条件は技能実習生に対する適切な指導と支援の基盤となるものであり、以下で解説する5つの注意点とも密接に関連しています。

※9引用元:厚生労働省「第3 介護職種の優良な実習実施者に関するもの」

注意点1:言葉の壁を考慮し、わかりやすい指導を心がける

技能実習生への指導で最も大きな課題となるのは言語の壁です。専門用語が多い介護現場では実習生が理解できていないにもかかわらず、理解したふりをしてしまうケースが少なくありません。これは危険な状況を招く可能性があります。特に第1号技能実習生は日本語能力試験N4レベル(基本的な日本語を理解できる程度)であり、複雑な表現や専門用語を理解するのが難しいことがあるので工夫が必要です。

効果的な指導のための工夫

  • 簡潔で明確な言葉を使う
  • 専門用語を使う場合は、その意味を丁寧に説明する
  • 視覚的な補助教材の活用
  • 理解度を確認しながら進める

このように、言語の壁を乗り越えるためには指導側の工夫と配慮が不可欠です。一方的な説明で終わらせるのではなく、実習生の理解度に合わせた柔軟な指導を行いましょう。

注意点2:文化の違いを理解し、適切な接し方をする

介護技能実習生は、日本とは異なる文化的背景を持っています。この文化的差異を理解せずに指導を行うと、思わぬ誤解や軋轢が生じかねません。たとえば、多くのアジア諸国では目上の人に対して意見することを控える傾向があるため、質問がなくても理解できているとは限らないのです。特に介護現場では、入浴や排泄介助など、文化によってはタブー視される行為も含まれることがあります。

文化の違いに対する対応策

  • 出身国の文化や習慣、価値観について学ぶ
  • 日本の文化や慣習について説明する

文化の違いを互いに尊重する姿勢が、信頼関係構築の鍵となります。実習生の文化的背景を否定するのではなく、それを理解した上で日本の介護現場に適応していくためのサポートを行うことが、指導者に求められる重要な役割です。

注意点3:叱責・強い指導は逆効果!メンタルケアを意識する

技能実習生は、母国を離れ言語や文化の異なる環境で生活するという大きなストレスを抱えています。そのような状況下での厳しい叱責や強い口調での指導は、学習意欲の低下やメンタルヘルスの悪化につながる可能性が高く、実習生の定着率にも直結します。

メンタスヘルスを良い状態に保つために

  • 実習生の心理状態に配慮する
  • 実習生が抱える悩みやストレスを定期的に把握する

心理的に安全な環境で学べることが、技能の習得だけでなく実習プログラム全体の成功にとって不可欠な要素なのです。実習生を単なる労働力としてではなく、将来の介護人材として育成するという視点を持ち、長期的な成長を見据えた温かい指導を心がけましょう。

注意点4:介護技術の指導は実演を交えて、繰り返し教える

言語の壁がある技能実習生にとって、視覚的な学習は理解を深める上で大きな助けとなるからです。

効果的な技術指導の方法

  1. 指導者が模範となる動作を見せる
  2. 理由を説明する
  3. 実習生に実践させる機会を十分に設ける
  4. 実習生の理解度や技術の習得状況を客観的に評価する
  5. 上記のサイクルを繰り返す

確実な技術の定着を図ることが、介護技能実習生の指導において重要なポイントとなるのです。

注意点5:相談しやすい環境を整え、定期的にフォローする

技能実習生が抱える問題や疑問を早期に発見し、解決するためには相談しやすい環境づくりが欠かせません。言語の壁や文化的背景から、実習生は問題があっても自ら声を上げにくい傾向があるため、指導側からの積極的なアプローチが求められます。

指導者に求められる環境づくり

  • いつでも質問や相談ができる体制を整える
  • 定期的な個別面談の時間を設ける
  • 実習生の小さな変化や表情に注意を払う
  • 技能の習得状況を定期的に確認し、適切なフィードバックを行う

相談しやすい環境と定期的なフォローは、実習生の安心感につながり学習意欲の向上や定着率の改善にも寄与します。「何か困っていることはないか」と能動的に働きかける姿勢が、実習生と受入れ企業双方にとって実りある実習期間を実現する鍵となります。

介護技能実習生の受け入れの際は要件を必ずチェック

介護技能実習生の受け入れの際は要件を必ずチェック

介護分野における技能実習生の受入れには特定の要件が設けられています。単に法令遵守という観点だけでなく、実習生にとって実りある技能実習を実現するための基盤となるからです。

受け入れ要件

  • 介護職種の技能実習を行うためには、実習実施者(受入れ企業)が介護等の業務を行う介護施設である
  • 技能実習指導員は介護職種の業務に従事した経験が3年以上あり、介護福祉士の資格を有する者
  • 実習実施者が介護等の業務を行う事業所に実習を行わせる場合は、技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を配置する
  • 生活指導員は専任の指導員を1名以上配置し、技能実習生が日常生活を円滑に送れるようサポートする
  • 実習生が従事する業務内容は移乗介助、食事介助、排泄介助など、介護福祉士が行う業務のうち、医療行為に当たらないものが対象
  • 技能実習計画には技能の内容、指導体制、待遇などの業務内容を明確に記載し認定を受ける必要がある
  • 日本語能力は入国時にN4程度(基本的な日本語を理解できるレベル)以上の能力を有していること

要件の一つひとつに意味があり、それらを理解し尊重することが介護技能実習制度の適切な運用につながります。受入れを検討する際にはこれらの要件を綿密にチェックし、必要な体制を整えることを強くお勧めします。