介護現場の人手不足は深刻化する一方で、高い日本語能力と温厚な人柄で注目を集めているのがミャンマーの特定技能外国人です。しかし、『本当にうちの施設に合うの?』『受け入れ手続きが複雑そう…』といった不安も尽きないのではないでしょうか。
この記事では、ミャンマー人の特定技能(介護)の魅力から具体的な受け入れの流れ、メリットや注意点まで、あなたの疑問を解消し、確かな採用へと導く情報をお届けします。
株式会社BKUのご紹介
株式会社BKUは、ミャンマーの送り出し機関と日本国内の登録支援機関を運営する人材紹介会社です。ミャンマー人材の文化・言語などの理解はもちろん、外国人材の紹介から採用、入国手続きまで一貫してサポートできることが当社の強みです。
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この記事の監修者

伊勢明敏
株式会社BKU代表取締役|日本で光学機器メーカーで研究職として4年間従事。その後ミャンマーに移住して、株式会社BKUを創業。9年間の在住中では、外国語大学と仏教大学にてミャンマーの言語・文化を専門的に学習。ミャンマーの言語・文化・制度すべてに精通した人材紹介から、累計400名以上の技能実習生・特定技能人材の送り出し実績を持つ。
ミャンマーの特定技能(介護)を受け入れる3ステップ
ミャンマーから特定技能(介護)の人材を受け入れをスムーズに進めるためには、各ステップにおけるポイントを正確に把握し、計画的に準備を進めることが不可欠と言えるでしょう。ここでは、特定技能の介護分野の外国人を採用するための3つのステップを具体的に解説していきます。
出典:日本商工会議所「外国人材活用BOOK」
ステップ1:最適な人材の採用
特定技能外国人材を募集する際には、企業側も「選ばれる立場」であるという意識を持つことが肝心です。そのため、給与や賞与、その他の処遇を具体的に、そして明確に示す必要があります。
法律で定められている通り、報酬は日本人と同等以上でなければならず、社会保障や労働保険への加入も日本人と同様です。さらに、特定技能の在留資格を持っている外国人は、介護分野の範囲内であれば転職が認められているため、もし待遇が悪ければ他の施設に移ってしまう可能性も念頭に置く必要があります。
また、日本で働ける期間が原則5年と限られていることもあり、彼らは給与水準に強い関心を持つ傾向があります。したがって、給与があまりにも低いと、そもそも応募者が集まらないことも考えなければなりません。
①日本語能力の評価
応募者の日本語能力はN4レベルでも在留資格取得が可能ですが、現時点の能力だけでなく、学習期間や日本在住期間と比較した「伸びしろ」も評価基準に含めるべきです。
社内に応募者と同じ母国語を話す社員がいれば面接に同席してもらい、母国語でも質問することで、日本語だけでは十分に伝えられない応募者の真意や本音を把握しやすくなります。
外国人材、特にアジア系人材は家族の意向を重視する傾向があります。家族の反対による内定辞退を防ぐため、面接時に家族の意向を確認することが推奨されます。
ステップ2:採用決定後の手続き
採用が決まると、まず受け入れ機関と本人が雇用契約を結び、支援計画が策定され、事前ガイダンスが行われます。
その後、海外在住者であれば在留資格認定証明書を取得し、母国でビザを得て来日。入国後は生活オリエンテーションや日本語学習などの支援を受けながら仕事の開始が可能です。採用の流れを分かりやすくしたものが以下になります。
出典:日本商工会議所「外国人材活用BOOK」
ステップ3:即戦力としての就労開始
入国準備に関する各種手続きが完了すると、最終ステップである就労開始の段階へと移行します。この段階で最も重要なことは、日本の介護現場で即戦力として活躍できるよう、受け入れ施設側が万全のサポート体制を整えることです。なぜなら、異文化環境での新しい生活と仕事にスムーズに適応するためには、業務に関する指導だけでなく、生活面や精神面でのサポートも不可欠だからです。
具体的には、日本の介護保険制度や施設のルール、具体的な介護技術に関する丁寧なオリエンテーション、そして日本語能力のさらなる向上を支援するための学習機会の提供などが挙げられます。また、住居の手配や銀行口座の開設、地域コミュニティへの参加促進といった生活面でのサポートも安心して日本での生活をスタートさせる上で非常に重要です。このように、受け入れ施設が手厚いをサポートすることが必要になります。
日本で働くミャンマーの特定技能(介護)は多いのか?
ミャンマーからの特定技能(介護)が「実際にどれくらいの方が日本で活躍しているのだろうか?」という点は、非常に気になるポイントではないでしょうか。ここでは、公的なデータをもとに、日本におけるミャンマー人材の現状を解説します。
ミャンマーは特定技能の国別ランキングで4位
※出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」
特定技能の在留外国人数は2024年12月の時点で283,634人います。このうち、ミャンマー国籍の方は27,337人で、国籍・地域別で見ると第4位です。この数字から、ミャンマーは特定技能制度において、日本で働く外国人材の主要な送り出し国の一つであることが分かります。
特定技能(介護)ではミャンマーが国別ランキング2位
介護分野に絞って見ると、ミャンマー人材の状況はどうでしょうか。これが非常に興味深いことが分かります。
特定技能の「介護」分野における在留外国人は2024年12月の時点で44,367人います。このうちミャンマー国籍の方は11,717人です。国籍・地域別では第2位にランクインしています。介護分野における上位国は以下の通りです。
1位 | インドネシア | 12,242人 |
2位 | ミャンマー | 11,717人 |
3位 | ベトナム | 8,910人 |
4位 | フィリピン | 4,538人 |
5位 | ネパール | 3,602人 |
※出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」
ここで、もう一つ注目すべきことは、各国における特定技能人材のうち、介護分野が占める割合です。第1位のインドネシアでは、特定技能(介護)に従事する方の割合は約20%でした。
一方、介護分野で第2位のミャンマーに目を向けると、ミャンマー出身の特定技能27,337人のうち、実に約半数の50%にあたる11,717人が介護分野で活躍しています。
この高い割合は、受け入れ施設にとって、豊富な人材から意欲的な人を採用できる可能性が高いことを示しています。
日本語力で選ばれる特定技能(介護)のミャンマー人
介護現場で外国人材を受け入れる際、施設側が重視する点の一つに「日本語能力」があります。なぜなら、利用者様とのコミュニケーションはもちろん、スタッフ間の連携でも、円滑な意思疎通は不可欠だからです。
そんな介護分野で、ミャンマーの方の日本語力の高さは注目されています。ここでは、ミャンマー人が話す日本語の特徴などについて掘り下げていきます。
【年17万人の応募】ミャンマーの日本語試験の人数
ミャンマーにおける日本語学習熱の高まりは、日本語能力試験(JLPT)の応募者数にも顕著に表れています。日本語能力試験(JLPT)とは、日本語を母語としない人たちの日本語コミュニケーション能力を測定し、認定する試験です。

2024年に実施された日本語能力試験には、年間17万9,658人の応募がありました。これは、首位の中国(約33万5,000人)に続く第2位の多さです。
この数字は、ミャンマー国内で日本語を学ぶ人が非常に多く、日本での就労や留学への関心が高いことを示しています。特定技能(介護)の日本語レベルは高いことが求められるため、こうした日本語学習者が多いのは強みといえます。
【発音が抜群】なぜ彼らの日本語は聞きやすいのか?
ミャンマー人の日本語は、しばしば「発音がきれいで聞き取りやすい」と評価されます。これには、ミャンマー語と日本語のある特徴が関係しているのです。日本語は、基本的に「主語(S)・目的語(O)・動詞(V)」という語順(SOV型)で成り立ちます。「私は(S) ご飯を(O) 食べます(V)」といった形です。
一方、英語は「主語(S)・動詞(V)・目的語(O)」というSVO型で、目的語と動詞の位置が日本語とは逆です。この語順の違いが、日本人が英語を習得しにくいと感じる大きな理由の一つとなります。
ミャンマー語は日本語と同じSOV型の語順を持っています。この共通点があるため、ミャンマー人にとって日本語は習得しやすい言語なのです。

※出典:株式会社BKU「データでわかるミャンマーが注目されている理由5選」
もちろん個人差はありますが、言語的な親和性が高いことは有利に働きます。介護現場では、利用者様との細やかなコミュニケーションが求められるからです。そのため、聞き取りやすい日本語は非常に重要なスキルとなります。
【動画で実証】ミャンマー人の流暢な日本語を公開
百聞は一見にしかず、といいます。実際にミャンマーの方が話す日本語を聞いていただくのが、その流暢さを理解いただく方法でしょう。ミャンマーの方のインタビュー動画を公開していますので、ぜひご覧ください。下記の方は、日本語能力試験(JLPT)のN3取得者です。
ミャンマーの方は標準語だけでなく、配属先の地域の方言にも柔軟に対応し、自然に使いこなすケースも少なくありません。介護施設のH様は、このように言っています。
女性9名を受け入れました。職場がパッと明るくなって、華があるようになりました。彼女たちが休みだと、利用者さんも寂しがるほどです。最初は離島の方言に戸惑ったようですが、すぐにマスターしてコミュニケーションをとるようになりました。これからも技術を伸ばしていってほしいと思います。
※出典:株式会社BKU「過去のミャンマー受け入れ企業の声」より引用
このように、ミャンマー人材は日本語学習への高い意欲、言語的な親和性、そして優れた適応力を備えています。そのため、介護現場で求められるコミュニケーション能力を十分に発揮できる可能性を秘めています。
特定技能(介護)と好相性!ミャンマー人の性格3選
外国人材を受け入れる際、スキルや日本語能力はもちろん、その国の人々の性格や文化も気になるところでしょう。特に介護は人との関わりが中心となるため、思いやりや協調性といった資質が求められます。ここでは、ミャンマーの方々の性格の中から、介護職と相性が良いとされる点を3つ紹介します。
性格①:寄付率が世界で1位!思いやりがある
ミャンマーの人々の「思いやり」を象徴するデータとして「世界寄付指数」があります。世界寄付指数は、「人助け」「寄付」「ボランティア」の3つの指標で評価されますが、ミャンマーは2015年度に「世界寄付指数」の第1位に輝いています。日本は残念ながら145ケ国中、102位でした。

※出典:英国のチャリティ団体 「世界寄付指数」
これは、ミャンマーが敬虔な仏教国であり、他人への施しや徳を積むことを大切にする文化が深く根付いていることの現れといえるでしょう。日常生活の中で自然と他人を気遣い、助け合う精神が育まれています。
この「人を思いやる心」は、施設の利用者様に寄り添い、心からのケアを提供することが求められる介護の仕事において、非常に重要な資質です。
性格②:優しいマナーが満載!温厚で協調性がある
ミャンマーの人々は、一般的に温厚で協調性が高いといわれています。日常生活のさまざまな場面で、その優しさやマナーの良さが垣間見えるのです。例えば、日本ではあまり見られないような、以下の優しいマナーがあります。
「バスの中では、老人や女性に座席を譲る光景は、一度乗れば必ず目にします。バスで立っている人の手荷物を座っている人が持ってあげることも、ミャンマー独自の優しいマナーの一つです。」
※出典:株式会社BKU「【必読】ミャンマー人材の特徴や付き合い方」
こうした行動は、他人を尊重し、周囲と調和を保とうとする彼らの国民性をよく表しています。介護現場では、利用者様はもちろん、他のスタッフとの円滑なチームワークが不可欠です。ミャンマー人の温厚で協調性のある性格は、施設全体の雰囲気を和やかにし、よりよいケアの提供に貢献するでしょう。
性格③:テレビ朝日と共同制作!親日家である
ミャンマーは、親日的な国の一つとして知られています。経済的なつながりから、日本に対して非常に良いイメージを持つ方が多いといわれています。なぜなら、日本は長年にわたりミャンマーへ経済支援を行なってきたからです。
例えば、日本貿易会の情報によると、過去にはミャンマーの歳出額の約10%に相当する金額1,540億円を支援していた時期もありました。こうした日本の国際協力が、ミャンマー国民の親日感情を育む一因となっています。実際にミャンマーを訪れた日本人からは、次のような声も聞かれています。
「タクシーに乗っていて日本人だということを話すと『日本人のおかげで今のミャンマーがある。ミャンマーの車はトヨタ製ばかりだ。教育のレベルも高いしマナーがとても良い。本当に本当にありがとう』と、正直恥ずかしくなるくらいの過剰なリスペクトを浴びます。」
※出典:株式会社BKU「視察に備えてのミャンマー基本情報」
また、日本のテレビ局であるテレビ朝日がミャンマーの国営放送と共同番組を制作するなど、文化的な交流も活発です。
このような親日的なミャンマーの方の国民性は、日本の文化や習慣への適応がスムーズになり、日本人のスタッフや利用者様との良好な関係構築も期待できます。
ミャンマー人を特定技能(介護)で招く3つのメリット
ここまで、日本でのミャンマー人材の活躍状況、日本語力、そして彼らの性格について見てきました。これらを踏まえ、介護事業者様がミャンマー人材を特定技能(介護)で受け入れることには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、注目すべき3つのポイントを解説します。
メリット①:【平均年齢27歳】若手の採用が見込める
日本の介護業界が直面する大きな課題の一つが、職員の高齢化と若手人材の不足です。介護労働安定センターによると、日本の介護職員の平均年齢は「49.4歳」でした。
一方で、ミャンマーは非常に若い労働力がある国です。国際協力銀行の調べによると、ミャンマー人の平均年齢は約27歳。これは、日本の介護現場にとって、若い採用を見込める大きなメリットとなります。
若手人材の採用は、施設の活性化や将来的な人材育成の観点からも非常に重要です。体力があり、新しい技術の習得にも柔軟な若い世代が加わることは、職場に新しい風を吹き込みます。
メリット②:【特定技能試験が頻繁】人材が豊富にいる
特定技能(介護)の人材を受け入れるには、候補者が「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」に合格している必要があります。ミャンマーでは、これらの試験が頻繁に実施されています。以下は2025年5月の試験予定日の表です。

※出典:出入国在留管理庁「特定技能に係る試験の実施予定」
5月のGW以外は、すべて試験実施予定となっています。前述のとおり、ミャンマーでは年間約17万人が日本語能力試験に応募するなど、日本語学習熱も非常に高い状況です。
これらの状況から、特定技能(介護)の資格を持つ、あるいは取得を目指す人材が豊富に存在するといえます。これは、受け入れ施設が候補者を選考するうえで、より多くの選択肢の中から適した人材を見つけられる可能性が高いことを意味します。
メリット③:【高い向上心】即戦力が期待できる
ミャンマーの方々が日本で働くことを目指す大きな動機の一つに、経済的な理由があります。日本とミャンマーの間には、給与水準に大きな差があります。例えば、都市部であるヤンゴンにおけるミャンマー人の一般的な月収は、およそ2万円から3万円程度。これは、日本の給与水準と比較すると、およそ10分の1程度です。一方で、ミャンマーの物価は日本の3分の1程度とされています。
つまり、給与水準に比べて物価が相対的に高く、現地での生活は決して楽ではない現状があります。こうした背景から、日本で働くことは、彼らにとって経済的な安定と、よりよい生活を手に入れるチャンスとなります。
「日本で着実に技術を身につけたい」「家族の生活を支えたい」という強い意志を持って来日する方が多いのです。このような高い向上心を持つ人材は、新しい知識や技術を積極的に吸収し、早期に戦力となることが期待できます。
ミャンマー人が日本に来る理由は?
出典:厚生労働省「外国人労働者数の推移」
上記の画像は、日本における外国人労働者数の推移を国籍別に示した表です。ミャンマーの令和6年10月の対前年増加率が61%と突出しています。ミャンマーの方々は、なぜ母国を離れてまで日本で働くことを選ぶのでしょうか。その背景には、経済的な理由だけでなく、より複雑な国内情勢も影響していると考えられます。ミャンマーでは2021年2月のクーデター以降、国軍と民主派勢力との間で内戦状態が続いています。そのため、国内の治安や経済状況は依然として不安定です。
このような状況下では、国内で安定した職を見つけることは難しく、将来への不安を感じる人も少なくありません。
もちろん、日本で働く理由は一人ひとり異なります。経済的な豊かさを求める気持ち、日本の文化や技術への憧れ、キャリアアップを目指す意欲など、さまざまな思いがあるでしょう。しかし、母国の不安定な情勢が、海外での就労という選択を後押ししている側面も否定できません。
日本で働くことを決意したミャンマーの方々は、内戦という困難な状況を乗り越え、新たな環境で生活を切り開こうという強い意志を持っています。彼らにとって日本での仕事は、単なる収入源であるだけでなく、自身の未来を築き、家族を支えるための重要なステップなのです。
そのため、受け入れの事業者様としては、ミャンマーの方の背景を理解し、温かく迎え入れる姿勢が大切です。それが結果として、双方にとって良い関係構築につながります。
ミャンマー人を特定技能(介護)で雇うための2つの注意点
ミャンマー人材の受け入れには多くのメリットがあります。一方で、スムーズな受け入れのためには、事前に知っておくべき注意点の把握が必要です。ここでは、受け入れ施設が留意しておきたい2つの注意点を解説します。
注意点①:日本の食文化との違いを把握する
外国人材を受け入れる際、生活習慣の違いの中でも特に影響が大きいのが「食文化」です。ミャンマーと日本の食文化には異なる点があり、この違いを理解しておくことは役に立ちます。
ミャンマー料理は、一般的に油を多く使う傾向があります。外務省のウェブサイトでは、こんな表現がされていました。
「地理的にもそうですが、ミャンマー料理は言ってみれば、ちょうどインド料理と中華料理の間。スパイシーだけど辛すぎず、日本人の口にもよく合ってとてもおいしいです。ただ基本的に油を大量に使うため、カロリーは高いですね。おかずも味付けが濃いのでご飯がすすんでついつい食べ過ぎてしまって、ミャンマーでかなり太ってしまいました。」
※出典:外務省「ミャンマー語の専門家にインタビュー」
こういう食文化の違いがあるため、ミャンマーから来たばかりの方には、日本の比較的あっさりとした味付けや油の使用量が少ない食事に、最初は戸惑いを感じる方もいるかもしれません。もちろん、個人の嗜好はさまざまであり、日本食をすぐに気に入る方もいますが、食文化の違いは認識しておくべきでしょう。
ミャンマー料理の雰囲気をより具体的に掴んでいただくために、BS日テレの公式YouTubeチャンネルで公開されている「ミャンマー大使館のレシピ」動画が参考になります。もし良かったら、ご視聴ください。
注意点②:スマートカードの存在を認識する
ミャンマー人材の受け入れ手続きにおいて、特にミャンマー側で重要な役割を果たすのが「スマートカード」です。
スマートカードは、ミャンマー国籍の方が海外へ出稼ぎ労働者として出国する際に必須となる身分証明書です。ミャンマー政府は、このスマートカードシステムを通じて、海外で働く自国民の状況を把握し、保護することを目的としています。
万が一、スマートカードの発行が遅れたり、何らかの不備があったりすると、ミャンマーからの出国ができない、あるいは大幅に遅れるといった事態に繋がりかねません。これは、受け入れ側の事業者様にとっても、計画していた人材の受け入れスケジュールに大きな影響を与える可能性があります。
そのため、採用を決定し、入国準備を進める際には、提携しているミャンマーの送出機関や日本の登録支援機関を通じて、スマートカードの申請・発行状況が適切かを確認することが重要です。スマートカードの手続きを管理することが円滑な人材受け入れに繋がります。
【技能実習 or 特定技能】ミャンマー介護士の給与・評判を比較
ミャンマーから介護人材を受け入れる際、多くの事業者様が「技能実習」と「特定技能」のどちらの制度を利用すべきか悩まれることでしょう。この2つの制度は、目的や要件、そして人材の待遇面でも違いがあります。ここでは、特に「給与」と「現場での評判」という2つの観点から、ミャンマー人の介護士の状況を比較し、それぞれの特徴を明らかにしていきます。
・「技能実習」は日本の技術や知識を開発途上国へ移転することを目的とした国際貢献の制度
・「特定技能」は国内の人手不足が深刻な分野において即戦力となる外国人材を受け入れることを目的とした制度
この目的の違いが、給与などにも影響していきます。
実際の手取りは?ミャンマー介護士の給与を比較
給与は、外国人材が日本で働く上で非常に重要な要素であり、受け入れ側にとっても人材確保や定着に関わる大切なポイントです。技能実習生と特定技能外国人では、給与水準にどのような違いがあるのでしょうか。
出入国在留管理庁の「令和4年度における外国人の活動状況に関する届出の概要等」によると、技能実習(介護)と特定技能(介護)の月収は以下の通りになります。
在留資格 | 月額報酬 |
技能実習(介護) | 166,049円~185,113円 |
特定技能(介護) | 223,531円 |
※金額は地域や施設、経験年数によって変動します。
上記のデータからも分かる通り、一般的に特定技能の方が技能実習よりも給与水準が高い傾向にあります。これは、特定技能が「即戦力」として期待されているためです。
受け入れ事業者様にとってはコスト増となるかもしれませんが、特定技能(介護)の外国人は、「一人夜勤ができる」というメリットがあります。 給料の差は夜勤の有無にも関係します。
技能実習生は、基本的に夜勤はできません。しかし、特定技能(介護)は夜勤ができるため、日本人職員の夜勤負担を軽減し、ひいては全職員の法定休日の確保がしやすくなるというメリットに繋がります。以下の表は「法定休日の例」になります。
※出典:厚生労働省「介護労働者の労働条件の改善ポイント」
労働基準法第35条では「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。(4週間を通じ4日の休日を与えることも認められます。)」と定められており、この「休日」とは原則として暦日(午前0時から午後12時まで)の休業を指します。
したがって、いわゆる「夜勤明け」の日は、法定休日には該当しません。 特定技能外国人が夜勤シフトを担うことで、他の職員が確実に暦日での休日を取得しやすくなり、コンプライアンスを遵守しながら、職員の健康維持とワークライフバランスの向上にも貢献できるのです。一人夜勤ができることは、特定技能外国人が技能実習生よりも給与は高い傾向を十分に補う大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、いくら特定技能外国人は即戦力だとしても、新しい職場環境や利用者様一人ひとりの特性、緊急時の対応などに慣れるまでは一定の時間が必要です。 特に夜勤のように一人で多くの判断と対応が求められる業務については、最初のうちは経験豊富な職員がサポートに入ったり、緊急時の連絡体制を再確認するなど、安心して業務に取り組めるような配慮が不可欠です。この「慣れるまで」の期間をしっかりとサポートすることで、特定技能外国人はその能力を最大限に発揮し、安定した介護サービスの提供に貢献してくれます。
現場のリアルな声:ミャンマー介護士の評判を比較
給与だけでなく、実際にミャンマー介護士を受け入れている現場からの評判も気になるところです。
技能実習生については、株式会社BKU「ミャンマー受け入れ企業の声」で紹介されているように、介護施設S様の証言では、技能実習生の勤務ぶりが非常に良好だったため、3年間の実習を経て、特定技能の在留資格に切り替えて引き続き雇用しているそうです。ただし、技能実習はあくまで「実習」であるため、日本語能力や介護スキルには個人差があり、受け入れ後の教育・指導が重要となります。
一方、特定技能のミャンマー人材については、以下のような評判がありました。
受け入れ前は、言葉や文化の違いもあり「お互いに上手く馴染めるのか」、「コミュニケーションが取れるのか」と、いろいろな不安がありました。ですが、一緒に過ごしていく中で、仕事に対する姿勢や利用者さんへの対応など、一生懸命に学ぼうとされる姿は私たち受け入れる側にとっても、とても良い刺激になっています。 反対に見習う事が沢山あると感じています。これからも共に成長していける仲間として、一緒に頑張りたいと思います。
広島県・健康福祉局「介護分野における外国人材受入れガイドブック」
特定技能で来日するミャンマー人材は、言葉や文化の壁に対する初期の不安を、持ち前の勤勉さや学習意欲で乗り越え、現場に良い影響を与えているという声が聞かれます。以上のことから、ミャンマー人の介護士は、技能実習生でも特定技能外国人でも評判が良いことが分かりました。
もっと詳しく、技能実習生と特定技能外国人の違いを知りたい方は、記事「介護分野での特定技能と技能実習の違いは?制度から選定方法まで徹底解説」を参照ください。
まとめ
ミャンマーから特定技能(介護)の人材を受け入れるプロセスは、3つのステップで構成されています。まず、企業は「選ばれる立場」として明確な待遇を示し、日本語の「伸びしろ」や家族の意向を考慮して最適な人材を選びます。採用決定後は、雇用契約締結、支援計画策定、在留資格関連の手続きを経て、入国後のオリエンテーション等を通じて就労開始となるのです。この際、受け入れ施設は日本の介護現場で即戦力として活躍できるよう、業務指導や日本語学習支援、生活・精神面での手厚いサポート体制を整えることが重要です。
現在、ミャンマーは特定技能の在留者数で上位に位置し、特に介護分野ではインドネシアに次ぐ第2位と、多くの人材が日本で活躍しています。これは、ミャンマー国内での日本語学習熱の高さや、ミャンマー語と日本語の語順が同じであることによる習得のしやすさが背景にあります。また、ミャンマーの人々は「世界寄付指数」で1位になるほど「思いやり」が深く、温厚で協調性があり親日的な国民性を持つため、介護職との相性が良いです。
ミャンマー人材を受け入れるメリットとしては、平均年齢が約27歳と若く、若手人材の採用が見込めること、特定技能試験が頻繁に実施され日本語学習者も多いため人材が豊富であること、そして経済的理由や家族を支えたいという強い動機から向上心が高く、即戦力としての活躍が期待できることなどが挙げられます。彼らが日本で働く背景には、経済的な理由やキャリアアップに加え、2021年以降の不安定な国内情勢も影響しており、日本での就労は大きなチャンスとなっています。
ただし、受け入れに際しては、油を多く使うミャンマーの食文化と日本の違いへの配慮や、ミャンマー出国時に必須となる「スマートカード」の発行手続きをスムーズに進めるための確認が必要です。また、技能実習制度と比較すると、特定技能は給与水準が高い傾向にありますが、その分「即戦力」として夜勤も可能となり、日本人職員の負担軽減に繋がるメリットがあります。以上が、ミャンマー人の特定技能(介護)の解説でした。