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【外国人技能実習生の介護指導ガイド】効果的な指導法と現場で必要な体制づくりとは

近年、日本の介護現場における深刻な人材不足を背景に外国人技能実習制度を活用した人材確保が注目されています。2017年11月の法改正により介護分野でも技能実習生の受け入れが可能となり、多くの介護施設が外国人材の活用に踏み切っています。しかし、言語や文化の違いから生じる指導上の課題は少なくありません。

本記事では、介護分野における外国人技能実習生への効果的な指導方法や、制度を活用する際の要件、指導員に求められる資格などについて詳しく解説します。実際の指導現場で活用できる具体的な方法論から法的要件まで幅広く網羅し介護事業所の皆様の人材育成に役立つ情報をお届けします。

目次

技能実習制度の概要や仕組みについて

技能実習制度の仕組みや概要について

外国人技能実習制度は、日本の技術・技能・知識を開発途上国等へ移転し、その国の経済発展を担う人材育成を目的とした国際貢献の制度です。この制度を介護分野で活用する際には一般的な技能実習の枠組みに加え、介護特有の要件や注意点を理解しておく必要があります。

実習生を受け入れる施設側も単なる人手不足解消の手段ではなく、国際貢献という本来の目的を踏まえた運用が求められるでしょう。介護の現場では特に、言語や文化の壁を超えて高齢者の尊厳を守る介護技術を伝えることの難しさがあります。

そこで、制度の基本から介護分野特有の要件まで段階的に理解を深めていきましょう。

技能実習制度とは?

技能実習制度は外国人が日本の産業等に関する技能等を修得するための制度です。開発途上地域等への技能等の移転を図り、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としています。この制度は単なる労働力の確保を目的としたものではなく実習生が母国に技能を持ち帰り、その国の発展に寄与することを主眼としています。

技能実習生は原則として最長5年間、日本の企業・農家・介護施設などで実習を行いながら技能を修得します。受入れ形態には、企業単独型と団体監理型の2種類があり、介護分野では主に監理団体を通じた団体監理型での受入れが多くなっています。実習内容は1号、2号、3号と段階的に分かれており、実習期間に応じて難易度の高い技能を修得していくことが期待されています(※1)。

技能実習制度では実習生が入国する前から計画的な技能修得プログラムの策定が必要です。また、入国後も継続的な指導・支援体制を構築し、言語面や生活面でのサポートも欠かせません。受入れ施設には技能実習責任者や技能実習指導員の選任も義務付けられており制度運用には一定の体制整備が求められるのです。

※1引用元:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」201611

「特定技能」や「介護」と、技能実習の違いとは

介護分野における外国人材の受入れ制度には、主に「技能実習」「特定技能」「介護」の三つの在留資格があります(※2)。それぞれの制度は目的や要件が異なるため、受入れ施設はその違いを正確に理解する必要があります。

▼在留資格「技能実習」「特定技能」「介護」の目的

技能実習 国際貢献が主目的

母国への技能移転を重視

特定技能 人材不足対応を目的とした就労資格労働者としての側面が強い
介護 介護福祉士の資格を持つ外国人を対象より専門性の高い人材の定着を図る

特定技能と技能実習の大きな違いは転職の自由度です。技能実習では原則として実習先を変更することができませんが、特定技能では同一業種内での転職が認められています。

また、特定技能は日本語能力試験N4以上(基本的な日本語を理解することができる) などの要件がありますが、技能実習はより基礎的な日本語能力から始めることが可能です。

技能実習制度は最長5年間という期間制限がありますが、特定技能1号から2号へ移行することで長期的な就労も可能になります。

このように、それぞれの制度には特徴があり施設の状況や目的に応じて適切な制度を選択することが重要です。多くの場合、技能実習から始めて特定技能へ移行するというキャリアパスを描くことも可能であり、長期的な人材育成という観点からは両制度を連携させた運用も有効でしょう。

※2引用元:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」

【政府視点】介護の技能実習生受け入れに対する基本的な考え方

厚生労働省社会・援護局が示す「技能実習『介護』における固有要件」(※3)では、介護サービスの質の担保と実習生の保護という二つの観点から基本方針が定められています。

政府の介護技能実習生受け入れに対する考え方

  • 単なる人手不足解消策ではなくアジア地域全体の高齢化を見据えた国際貢献の一環
  • 実習生が日本で修得した介護技術や知識を母国に持ち帰り、その国の高齢者ケアの発展に寄与することを期待

政府は実習先となる介護施設に対しても計画的な技能移転が行われる体制を求めています。具体的には、介護福祉士の資格を持つ指導員の配置や実習実施計画に基づいた段階的な技能修得プログラムの実施などが求められます。

これらの要件は、介護の質を維持しつつ実習生の権利を保護するためのものであり、受入れ施設はこれらの要件を満たす体制を整備する必要があるのです。

※3引用元:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」201611

【2025年3月時点】介護分野での技能実習の現状

介護分野における技能実習制度は2017年11月の開始以来、着実に実習生数を増やしてきました。2025年3月時点では、新型コロナウイルス感染症の影響から一時的に入国が制限された時期を経て再び受入れ数が増加傾向にあります。特にベトナム、インドネシア、フィリピンからの実習生が多くを占め、アジア諸国を中心に多様な国籍の実習生が日本の介護現場で学んでいます。

実習生の受入れ状況や課題の詳細については、別記事「【介護分野】技能実習制度とは?固有要件と受け入れポイントを徹底解説!」の「【2025年3月時点】介護分野での技能実習の現状」で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。

介護職の技能実習における4つの固有要件とは?

介護職種の技能実習には他の職種にはない「固有要件」が設けられています。これは介護が人の尊厳に関わる仕事であることを踏まえ、サービスの質と実習生の保護を両立するために設けられた特別な基準です。

固有要件の詳細については、別記事「【介護分野】技能実習制度とは?固有要件と受け入れポイントを徹底解説!」の「介護職の技能実習における4つの固有要件とは?」で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。

【指導前に確認】介護業における外国人技能実習生が直面する4つの課題

介護業における外国人技能実習生が直面する4つの課題

外国人技能実習生を介護現場で指導する前に彼らが直面する課題を十分に理解しておくことが重要です。言語や文化の違いから生じる様々な困難は適切な指導なしでは乗り越えられません。実習生が日本の介護現場で戸惑うことなく技能を修得できるよう、指導する側が課題を認識し対応策を準備しておくことが求められます。

異なる言語環境で専門的な介護技術を学ぶ実習生の立場に立ち、どのような支援が必要かを考えることが効果的な指導の第一歩となるでしょう。

言葉の壁|日本語の理解不足による業務ミスをなくす

外国人技能実習生が介護現場で直面する最大の課題は「言葉の壁」です。介護は利用者との細やかなコミュニケーションが求められる仕事であり、言語の理解不足はサービスの質だけでなく安全面にも影響を及ぼします。特に専門用語や敬語、方言、高齢者特有の話し方などは基本的な日本語を理解していても難しい場合が多いのです。

実習生は入国時にN4相当以上の日本語能力を有していますが、これは日常生活の基本的なコミュニケーションを可能にするレベルであり、介護現場の複雑な状況に対応するには不十分なことが多いです。例えば、「おむつ交換」「体位変換」「嚥下」といった専門用語や、「~していただけますか」などの敬語表現は、教科書では学びにくい表現です。

この言葉の壁を解消するためには施設側の工夫が欠かせません。

言葉の壁を解消するための対応策

  • 「やさしい日本語」の活用
  • 介護用語の辞書や対訳集を作成
  • 視覚的な教材の活用
  • 実際の業務を動画で撮影する
  • 定期的な日本語学習の時間を設ける
説明する際は複雑な言い回しを避け短い文で端的に伝えたり、実習生が常に参照できるように対話集を準備しておきましょう。
さらに、手順書にイラストや写真を添えることで言葉だけでは伝わりにくい内容も理解しやすくなります。
また、実際の業務を動画で撮影しモデルケースとして見せることも効果的です。
日々の業務の中では実習生に復唱してもらうことで理解度を確認したり、定期的な日本語学習の時間を設けたりすることも言葉の壁を徐々に解消していくために重要なアプローチとなるでしょう。

文化・価値観の違い|日本式の介護に適応する

外国人技能実習生が直面する二つ目の課題は文化や価値観の違いによる戸惑いです。介護は単なる技術ではなく、その国の文化や価値観が深く反映される仕事です。日本の介護現場では「自立支援」の考え方が重視され、できることは自分でやってもらうという方針が一般的ですが出身国によっては「手厚くサービスする」ことが良い介護と考えられていることも少なくありません。

また、入浴介助や排泄介助などのプライバシーに関わる場面では宗教観や文化的背景から抵抗感を持つ実習生もいます。例えば、イスラム教国出身の実習生の場合、異性介護に強い抵抗感を示すことがあります。さらに、日本特有の「察する文化」や「阿吽の呼吸」といった非言語コミュニケーションの理解も難しい部分です。

文化・価値観の違いへの対応策

  • 「なぜそうするのか」を理論的に説明する
  • 実習生の文化的背景を尊重し配慮する
  • 文化の違いを互いに学び合う機会を設ける
  • 定期的な面談を行う

例えば、自立支援の介護が利用者の尊厳を守り残存能力の維持につながることを理論的に説明することで理解が深まります。

また、実習生の母国の文化や介護事情について発表してもらう場を作ることで、相互理解が深まるだけでなく、実習生自身も自国と日本の違いを客観的に捉えられるようになります。文化的な戸惑いや疑問を拾い上げ、丁寧に対応していくことが実習生が日本式の介護に適応していくための支援となるでしょう。

身体介助への抵抗感|母国との違いを理解する

技能実習生が直面する三つ目の課題は身体介助に対する抵抗感です。特に入浴介助や排泄介助などの直接的な身体接触を伴う介護行為については、文化的・宗教的背景から抵抗を感じる実習生が少なくありません。多くのアジア諸国では高齢者ケアは家族が行うものという考え方が根強く、他人の身体に触れることに対する心理的障壁が高い場合があります。

また、国によっては男女の役割分担が明確で異性の身体に触れることに強い抵抗感を持つ実習生も存在します。例えば、イスラム教国出身の実習生は、異性の入浴介助や排泄介助を行うことに宗教上の抵抗を感じることがあります。

このような文化的背景を理解せずに指導を行うと、実習生に過度なストレスを与えてしまう可能性があります。

身体介助への抵抗感を減らすための対応策

  • 段階的な指導アプローチ
  • 同性介護の原則をできる限り尊重する

この課題に対応するにはいきなり直接的な身体介助から始めるのではなく、まずは間接的な介助から始め徐々に直接的な介助へと移行することで心理的抵抗を減らすことができます。例えば、入浴介助であれば、最初は脱衣所での衣服の着脱補助から始め慣れてきたら浴室での見守りへと進むといった段階を踏むことが大切です。

また、実習生の宗教的・文化的背景に配慮した業務分担を行うことも重要です。実習生に対してはなぜ身体介助が必要なのか、その行為が利用者の尊厳を守りQOLを向上させることにつながるのかを丁寧に説明することで、専門職としての意識を育むことができるでしょう。

母国と日本の介護の違いを理解し、専門職としての視点を養うことが身体介助への抵抗感を徐々に解消していく鍵となります。

報告・連絡・相談|日本の一般常識やビジネス作法を理解する

外国人技能実習生が直面する四つ目の課題は日本特有の「報告・連絡・相談」(ホウレンソウ)文化の理解と実践です。日本の職場では、業務の進捗や問題点を適切に報告し必要な情報を関係者に連絡、判断に迷った際には相談することが当然のように求められます。

しかし、多くの国ではこのような明確な報告体制がなく、問題が発生した際に自己解決を試みたり、報告すべきことを報告しなかったりする文化背景を持つ実習生も少なくありません。

特に介護現場では利用者の状態変化を見逃さず適切に報告することが安全管理の基本となります。例えば、食事の摂取量の減少や表情の変化、皮膚の状態など、些細な変化でも報告することの重要性を理解してもらう必要があります。

また、分からないことをそのままにせず積極的に質問する姿勢も育てなければなりません。

報告・連絡・相談の重要性を理解してもらうための対応策

  • 「報告・連絡・相談」の具体的な場面と方法を明確に示す
  • 質問しやすい雰囲気づくり(定期的な面談)

例えば、「いつ」「何を」「誰に」報告するのかを具体的に示した報告基準表を作成し、実習生がいつでも参照できるようにしておくと効果的です。また、報告書や連絡ノートの記入例を示し、表現の型を学べるようにすることも有効です。

さらに、多くの実習生は「迷惑をかけたくない」「失敗を指摘されたくない」という思いから質問を躊躇することがあります。些細な疑問でも安心して相談できる関係性を構築することが、適切な報告・連絡・相談の習慣を身につけるためには欠かせません。「分からないことを聞くのは恥ずかしいことではなく、プロフェッショナルとして当然の行動である」という価値観を共有することで、実習生の職業意識を高めることにもつながるでしょう。

【具体例】介護業における外国人技能実習生の指導方法を解説

介護業における外国人技能実習生の指導方法を解説

外国人技能実習生に介護技術を効果的に指導するためには言語や文化の壁を越える工夫が必要です。特に専門的な技術を伝える際には、言葉だけに頼らず視覚的な教材や実践的な演習を組み合わせることが重要となります。

ここでは、日常的な介護業務の中から代表的な3つのケースを取り上げ、効果的な指導方法を具体的に解説します。

ケース①|ベッドメイキングの指導方法

ベッドメイキングは介護の基本技術の一つであり実習生が最初に学ぶ業務の一つです。この技術は比較的言語の壁が低く視覚的に理解しやすいため、指導の入り口として適しています。効果的な指導のためには以下のステップで行うことが有効です。

具体的な指導方法

  1. 多言語または「やさしい日本語」で書かれた手順書を用意する
  2. 指導員が実際の動作を見せる
  3. 指導員と実習生で一緒に行う
  4. 実習生一人で行う

まず、指導開始前に準備すべきものとして、多言語または「やさしい日本語」で書かれた手順書を用意しましょう。イラストや写真を多用し、各ステップが視覚的に理解できるよう工夫します。実際の指導では、「見せる→説明する→一緒にやる→見守る」という流れを基本とします。

最初のデモンストレーションでは言葉で説明しすぎずに動作を見せることが重要です。

次に、簡潔な「やさしい日本語」で各手順を説明します。「シーツをピンと張る」「四隅をきれいに三角に折る」といった専門的な表現は避け、「シーツを強く引っ張る」「角をこのように折る」といった簡易な表現にします。

指導員と実習生が一緒にベッドメイキングを行う段階では、実習生の手を取って正しい動作を体感してもらうことが効果的です。

最後の実習生が一人でベッドメイキングを行う練習では指導員はすぐに介入せず見守る姿勢を大切にします。完了後には必ず肯定的なフィードバックと改善点の指摘をバランスよく行いましょう。

ケース②|排泄介助の教え方

排泄介助は、実習生にとって文化的・心理的な抵抗感を伴いやすい業務です。また、利用者のプライバシーや尊厳に直接関わる重要な介護技術でもあります。このような特性を踏まえ段階的かつ配慮ある指導が必要です。

排泄介助の教え方

  1. 排泄介助の意義と目的について丁寧に説明する
  2. 排泄に関する専門用語や表現を学ぶ
  3. 人形やモデルを使ったシミュレーション練習を行う
  4. 実際の介助場面を見学する
  5. 比較的容易なケースで見守りか一部介助を行ってもらう
  6. 徐々に難易度を上げていく

指導の初期段階では排泄が人間の尊厳に関わる重要な生理機能であること、適切な介助が利用者の健康維持とQOL向上に直結することを理解してもらいます。同時に、日本の介護における「自立支援」の考え方、つまり「できることは自分で行ってもらう」という原則も伝えておくことが重要です。

実際の技術指導に入る前に、「便秘」「下痢」「失禁」「尿量」「便の性状」など、報告に必要な用語を実習生が理解し、適切に使えるようにしておくことが大切です。また、利用者に対して使う声かけの表現(「トイレに行きませんか」「お手伝いしますね」など)も練習しておきましょう。

最初は人形やモデルを使い手順や注意点を確認します。

次に、実際の介助場面を見学してもらい指導員の動作や声かけを観察します。

その後、比較的容易なケース(例:見守り中心の方や一部介助の方)から実習を始め、徐々に難易度を上げていくことが有効です。排泄介助の指導では技術面だけでなく、プライバシーへの配慮や羞恥心への対応も重要なポイントです。「ドアやカーテンを必ず閉める」「露出を最小限にする」「声かけを忘れない」といった配慮の具体例を示し、利用者の尊厳を守る姿勢を育みます。

また、実習生自身の心理的抵抗感にも配慮が必要です。実習生の文化的背景や宗教上の制約を尊重し、例えば同性介護を基本とするなどの配慮を行います。実習生が抵抗感を示す場合は無理強いせず、心理的準備ができるまで段階的に進めることが大切です。

定期的な面談を通じて心理的負担を確認し、必要に応じてサポートを行うことで、実習生が専門職としての意識を高めながら排泄介助に取り組める環境を整えましょう。

ケース③|利用者とのコミュニケーション

介護現場における利用者とのコミュニケーションは単なる日常会話ではなく利用者の状態把握や信頼関係構築のための重要な技術です。外国人実習生にとって、言語の壁に加え、高齢者特有の話し方や方言、非言語コミュニケーションの理解など多くの課題があります。効果的な指導のためには基本から応用まで段階的なアプローチが必要です。

利用者とのコミュニケーションの取り方に対する対策

  1. 基本的な挨拶や声かけのフレーズを習得する
  2. 利用者からの質問や訴えに対する応答パターンを学ぶ
  3. ロールプレイングを行う

まずは、「おはようございます」「お変わりありませんか」「何かお手伝いしましょうか」といった日常的に使用する表現を場面ごとにリスト化して練習します。この際、単に言葉を覚えるだけでなく適切な声のトーン、表情、姿勢なども含めて指導することが重要です。

次に、「痛い」「トイレ」「寒い」といった典型的な訴えに対する適切な応答と必要な場合の報告の仕方を具体的に示します。また、聞き取れなかった場合や理解できなかった場合の対応方法も教えておくことが重要です。「すみません、もう一度お願いします」「〇〇さん(先輩職員)に確認してきます」といった表現を身につけておくと、コミュニケーション上のトラブルを減らすことができます。

実際の指導では指導員が利用者役となり、様々な状況を想定した会話練習を行いましょう。

介護の技能実習生を指導する指導員に資格は必要?

介護の技能実習生を指導する指導員に資格は必要?

外国人技能実習生を受け入れる介護施設では適切な指導体制を整えることが制度運用の前提条件となります。特に、技能実習指導員の選任は重要な要件の一つであり、介護分野特有の資格要件が定められています(※4)。技能実習生が質の高い介護技術を修得するためには、専門的な知識と経験を持つ指導員による計画的な指導が不可欠です。

では、具体的にどのような資格や要件が指導員に求められるのでしょうか。

※4引用元:JITCO「外国人技能実習制度とは」実習実施者に関する要件

介護職種における技能実習指導員の選任要件とは

介護職種の技能実習指導員には一般的な技能実習指導員の要件に加え、介護特有の資格要件が設けられています。これは介護が人の尊厳に関わる専門的な業務であることを踏まえ、指導の質を担保するために設けられた特別な条件です。

介護職種における技能実習指導員の選任要件

  • 介護福祉士の資格を有する者
  • 技能実習生5名につき1名以上の指導員を配置する
  • 「技能実習指導員講習」の受講

介護職種の技能実習指導員は単に経験豊富というだけでは不十分であり国家資格である介護福祉士の取得が求められます。これは専門的な知識と技術に基づいた指導を行うための基本的な要件です。

さらに、介護福祉士の資格を持つことに加えて、「技能実習生5名につき1名以上」の割合で指導員を配置することが義務付けられています。

また、技能実習指導員講習は技能実習制度の趣旨や関係法令、指導方法などについて学ぶもので指導員としての基本的な知識を身につけるために設けられています。講習を受講していない場合、技能実習計画の認定が下りないこともあるため注意が必要です。

介護職種における技能実習指導員の役割

  • 技能実習計画に基づいた段階的な指導を行う
  • 実習生の習熟度を評価しフィードバックを行う
  • 定期的な面談で実習生をサポートする

指導員は技能実習計画に基づいた段階的な指導を行い、実習生の習熟度を評価し適切なフィードバックを提供することも重要な責務です。

また、実習日誌の確認や定期的な面談を通じて実習生の悩みや課題を把握し必要に応じてサポートを行うことも求められます。

適切な資格と経験を持つ指導員による計画的な指導があってこそ実習生は日本の介護の理念や技術を正しく理解し、母国に持ち帰ることができるのです。そのため、受入れ施設は指導員の選任にあたって資格要件を満たすだけでなく、指導意欲や実習生との相性なども考慮した人選を行うことが望ましいでしょう。

【入国後に実施】技能実習内容に関する要件とは

外国人技能実習生が入国した後、介護施設は適切な実習内容を提供する必要があります。介護職種の技能実習内容については一定の要件が定められており、これに基づいた計画的な指導が求められます。

介護分野における技能実習内容に関する要件

  1. 技能実習計画に基づいた指導
  2. 指導員の配置
  3. 業務範囲の制限
  4. 段階的な技能習得
  5. 日本語能力の要件
  6. 記録と評価
  7. 実践と座学のバランス

例えば、食事介助から入浴介助へと段階的に進む明確な実習計画の策定や、実習生が一人で夜勤を任されるようなことがない適切な指導員配置が必要です。

また、日本語での「お願いします」「痛いです」といった利用者とのコミュニケーションに必要なN4・N3レベルの日本語能力と、「今日のAさんは食事を半分しか摂取できませんでした」などの記録作成能力も重要です。

計画的かつ段階的な実習内容の設計と適切な評価・フィードバックの仕組みを構築することが実習制度の成功には不可欠なのです。

事業所にも要件が?介護事業所の体制における要件とは?

外国人技能実習生を受け入れる介護事業所には、指導員個人の資格要件だけでなく組織としての体制要件も課せられています。これらの要件は実習生が安心して技能を修得できる環境を整えるとともに、利用者に提供する介護サービスの質を維持するために設けられたものです。

介護事業所の体制における要件

  • 「技能実習責任者」の選任
  • 「技能実習責任者講習」の受講
  • 技能実習生5名につき介護福祉士の資格を有する技能実習指導員を1名以上配置
  • 外国人技能実習生の人権を擁護する体制の整備
  • 介護サービスの質の確保
  • 計画的な日本語学習支援体制の整備

事業所に求められる体制要件は、施設長などの管理職から「技能実習責任者」を選任しJITCO主催の講習を受講する必要があります。

また、「実習生5名に対して介護福祉士1名以上」という明確な指導員配置基準の遵守(例:15名の実習生受入れには最低3名の有資格者が必要)、「セクハラ相談窓口設置」や「母国語での相談カード配布」などの人権擁護体制構築も必要です。

そして、「利用者の安全確保のため実習生は夜間の単独業務は行わない」といった介護サービスの質の確保、「週2回の日本語学習時間確保」や「介護の日本語テキスト常備」などの体系的な語学支援体制の整備が含まれます。

実習生を一時的な労働力として見るのではなく、将来的に母国の介護を支える人材として育成するという視点を持ち組織全体で支援する体制を構築することが求められるのです。

介護の技能実習生の指導員に資格は必要なのか?

介護分野における外国人技能実習生の指導員には、明確な資格要件が定められています。結論から言えば、介護職種の技能実習指導員には「介護福祉士の資格」が必須です。これは他の技能実習職種と比較しても特徴的な要件であり、介護が人の生命と尊厳に関わる専門性の高い業務であることを反映しています。

介護福祉士の資格が求められる理由

  • 介護に関する専門的知識と技術を有している必要がある
  • 「尊厳の保持」や「自立支援」といった介護の根本的な理念についても深く理解している必要がある

ただし、介護福祉士の資格を持っていれば誰でも自動的に良い指導員になれるわけではありません。実際の指導場面では、専門知識・技術に加えて、異文化理解や多文化共生の視点、効果的な指導法、コミュニケーション能力なども重要となります。そのため、技能実習指導員には「技能実習指導員講習」の受講も求められます。この講習では、技能実習制度の趣旨や関係法令、指導法などについて学ぶことができます。

介護福祉士の資格を持ち、適切な講習を受けた指導員による計画的な指導があってこそ、実習生は日本の介護の理念と技術を正しく理解し、将来的に母国の介護の質向上に貢献できる人材へと成長することができるのです。

介護の技能実習責任者が受講する講習とは?

介護の技能実習責任者が受講する講習とは?

外国人技能実習制度において、実習実施者(受入れ施設)には「技能実習責任者」の選任が義務付けられています(※5)。介護分野でも例外ではなく、技能実習責任者は実習全体の管理監督を行う重要な役割を担い、その役割を適切に果たすために技能実習責任者には特定の講習の受講が求められています。この講習は単なる形式的なものではなく実習制度の適正な運用と実習生の権利保護、さらには質の高い技能移転を実現するための実質的な研修です。

ここでは、介護分野の技能実習責任者が受講すべき講習の内容や目的、申し込み方法に加え、講習後の理解度テストについても詳しく解説します。

※5引用元:公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会「技能実習責任者等講習」

技能実習責任者講習とは?受講の目的と対象者を解説

技能実習責任者講習は、外国人技能実習制度における「技能実習責任者」を務める者が受講する義務的な講習です。この講習は実習の適正な実施を確保し、実習生の権利を保護するとともに質の高い技能移転を実現するために設けられています。

技能実習責任者講習の主な目的

  • 技能実習制度の趣旨や関係法令の理解を深めるため
  • 実習実施に関する知識を習得するため
  • 実習生のメンタルヘルスケアを行うため

責任者として必要な基本的知識を習得することが目的です。単に制度の仕組みを学ぶだけでなく、実習生の人権擁護や適正な労働条件の確保など、実習を適正に進めるための実践的な内容も含まれています。特に2017年の法改正以降、技能実習制度は「適正な実施」と「実習生の保護」がより強化されており、責任者にはこれらの点に関する深い理解が求められています。

受講対象者

  • 実習実施者(受入れ施設)において技能実習責任者に選任される予定の者
  • 既に選任されている者

技能実習責任者は事業所において実習の管理監督を行う立場であり、通常は施設長や介護主任など一定の権限を持つ管理職が務めることが多いです。講習は技能実習計画の認定申請前に受講することが原則ですが、やむを得ない事情がある場合は計画認定後1年以内に受講することも認められています。

技能実習責任者講習の概要

  • 全国労働基準関係団体連合会(全基連)や外国人技能実習機構(OTIT)が主催
  • 受講料は約9,200円(税込、2025年3月現在)
  • 講習時間は約7時間(休憩時間を含む)
  • 講習の受講後には「修了証」が発行される

発行される修了証は技能実習計画の認定申請の際に必要な書類です。修了証の有効期間は3年間であり、この期間を超えると再受講が必要となります。これは制度や法令の変更に対応するための措置であり、常に最新の知識を持って実習を管理することが求められます。

技能実習責任者講習の内容

  • 技能実習法令
  • 労働関係法令
  • 人権・労務管理・メンタルヘルス

介護分野に特化した内容というよりは技能実習制度全般に関する内容が中心です。しかし、近年は介護分野の実習生受入れが増加していることから、介護特有の事例や注意点も取り上げられるようになっています。

講習で得られた知識を実践に活かし、実習生が安心して技能を修得できる環境を整えることが技能実習責任者に求められる役割なのです。

介護職種の技能実習指導員講習のカリキュラム内容とは?

介護職種の技能実習指導員も他の職種と同様に「技能実習指導員講習」の受講が求められます。この講習は技能実習生に直接指導を行う立場として必要な知識を習得するために設けられており、カリキュラムは技能実習制度の基本から具体的な指導法まで幅広い内容をカバーしています。

技能実習指導員講習のカリキュラムは大きく分けて、「共通科目」と「専門科目」で構成されています。

共通科目

  • 技能実習制度の理解
  • 実習生の人権擁護と適正な労務管理
  • 異文化理解とコミュニケーション

共通科目は職種を問わず全ての指導員が学ぶ内容で、技能実習制度の趣旨や法的枠組み、実習生の労務管理や生活指導、異文化理解などが含まれます。技能実習が単なる労働力確保の手段ではなく、国際貢献としての技能移転が主目的であることを理解することが重要です。

専門科目

  • 介護職種特有の指導ポイント
  • 介護技術の評価方法

専門科目は介護職種特有の内容に焦点を当て、介護技術の指導法や介護現場特有の課題とその対応策などが扱われます。

例えば、言語の壁を超えた介護技術の伝え方や、身体介助への抵抗感を持つ実習生への対応、日本式介護の考え方の伝え方などが含まれます。実際の指導現場での事例を交えながら、効果的な指導法を学ぶことができます。

講習の形式は、講義だけでなくグループディスカッションやロールプレイングなどの演習も取り入れられています。実習生への効果的な指導に必要な知識とスキルを習得する貴重な機会として積極的に活用することが望ましいでしょう。

申し込み方法と必要書類|受講前に準備すべきこと

技能実習責任者講習や技能実習指導員講習を受講するためには事前の準備と適切な申し込み手続きが必要です。

ここでは、講習の申し込み方法や必要書類、受講前に準備しておくべきことについて詳しく解説します。

講習の申し込み方法

  • 「ウェブサイト」もしくは「書面」
  • 全国労働基準関係団体連合会(全基連)や外国人技能実習機構(OTIT)などの実施機関のウェブサイトから申し込み

ウェブサイトや書面で、希望する講習日と会場(オンライン講習の場合はその旨)、受講者情報(氏名、生年月日、所属事業所等)、連絡先などの基本情報を入力します。

申し込み必要書類

  • 受講申込書
  • 実習実施者情報
  • 受講料の振込証明書(写し)
  • オンライン環境の確認書(オンライン講習の場合)

これらの書類は実施機関のウェブサイトからダウンロードできることが多いです。

受講料(2025年3月現在)

  • 技能実習責任者講習は約9,200円(税込)
  • 技能実習指導員講習は約9,700円(税込)

申し込み時の注意点として講習の人気日程は早期に定員に達することがあるため、余裕を持って申し込むことをお勧めします。特に年度末や年度始めは受講希望者が集中する傾向があります。

また、オンライン講習を選択する場合は、安定したインターネット環境とカメラ・マイク機能を備えたパソコンが必要となるため、事前に環境を整えておくことが大切です。

受講前に準備しておくこと

  • 「技能実習制度の基本的な知識」を持っておく
  • 「自施設の実習計画の内容」を把握しておく

講習では制度の詳細について学びますが基本的な仕組みや用語について事前に理解しておくと、より効果的に学習できます。厚生労働省や外国人技能実習機構のウェブサイトには制度の概要や関連資料が掲載されていますので、これらを一読しておくとよいでしょう。

また、講習では一般的な内容が中心となりますが自施設での実際の運用に当てはめて考えることで、より実践的な理解が深まります。特に、技能実習指導員講習では自施設での指導計画や評価方法について質問されることもあるため、事前に整理しておくと安心です。

受講当日の持ち物

  • 身分証明書(運転免許証や健康保険証など)
  • 申込完了メールのプリントアウト
  • 筆記用具
  • メモ帳

以上のように、講習の申し込みから受講まで計画的かつ丁寧に準備を進めることが重要です。これらの手続きを適切に行うことでスムーズな講習受講が可能となり、ひいては実習生の受入れ体制の整備にもつながるでしょう。

技能実習責任者講習の理解度テストとは?

技能実習責任者講習の理解度テストとは?

技能実習責任者講習を受講する際、単に講義を聴講するだけではなく、学んだ内容の定着度を測るための「理解度テスト」が実施されます(※6)。このテストは技能実習制度の適正な運用と実習生保護の観点から、責任者として必要な知識が確実に身についているかを確認するための重要なプロセスです。講習の最終段階で行われるこのテストは形式的な手続きではなく、実際の現場で責任者としての役割を適切に果たすための基礎知識の確認という実質的な意味を持っています。

※6引用元:厚生労働省「第8章 養成講習」

理解度テストは技能実習責任者講習と何が違う?

技能実習責任者講習は知識習得のためのプロセスであるのに対し、理解度テストはその知識が確実に定着しているかを測定するためのものです。技能実習責任者講習で学んだ後に理解度テストを行い、これらの学んだ内容が確実に理解されているかを客観的に測定します。講習内容の中から出題されるため、講習中にしっかりとメモを取り、要点を押さえておくことが重要です。

理解度テスト

  • 技能実習責任者講習の受講後に行う確認テスト
  • マークシート方式(一部記述もあり)
  • 講習で取り上げられた重要ポイントから出題
  • 合格基準は全問題の7割程度(基準に達しない場合は当日に再テスト)
  • 合格者には「修了証」が発行される

技能実習責任者講習を受講しただけでは修了証は発行されず、理解度テストに合格して初めて修了証が交付されるのです。この修了証は技能実習計画の認定申請に必要な書類であるため、テストへの対策は単なる学習のためだけでなく実習生受入れの準備として重要な意味を持ちます。

テストに合格することだけを目的とするのではなく、その先にある実習生の適切な受入れと技能移転の質の向上という本来の目的を見据えて真摯に取り組むことが求められいます。

技能実習責任者講習の理解度テストの内容と出題範囲

技能実習責任者講習の理解度テストは、講習で扱われた内容から幅広く出題されますが、特に重要度の高いテーマに焦点が当てられる傾向があります。このテストを効果的に準備するためには、出題範囲と主な内容を把握しておくことが重要です。

▼理解度テストの内容と出題範囲

技能実習制度の法的枠組み
  • 技能実習法の基本理念や目的
  • 技能実習の類型(団体監理型・企業単独型)の違い
  • 技能実習計画の認定要件など
実習生の保護
  • 人権侵害の防止措置や相談
  • 支援体制の整備
  • 母国語による情報提供の義務など
労務管理
  • 労働関係法令の適用や労働条件の明示
  • 安全衛生管理
  • 賃金支払いの適正化など
実習計画の管理運営
  • 技能実習計画の作成・変更・実施方法
  • 実習実施者の義務や禁止行為
  • 監理団体との連携方法など

これらはいずれも技能実習責任者として押さえておくべき基本的な知識です。

介護職種特有の内容としては、介護職種の固有要件(介護福祉士の資格を有する指導員の配置基準など)や、介護サービスの質の確保に関する事項が含まれることがあります。ただし、基本的には職種を問わない一般的な内容が中心となります。

出題形式

  • 正誤問題
  • 選択問題
  • 記述式問題(一部)

テストの内容と出題範囲を事前に把握し、講習中はこれらの重要ポイントを中心にメモを取り理解を深めておくことが効果的な対策につながります。テストの目的は単なる知識の暗記を確認することではなく、実際の業務において適切な判断ができる力を身につけているかを測ることにあることを忘れないようにしましょう。

試験対策のポイント|頻出問題と合格のコツ

技能実習責任者講習の理解度テストに向けた効果的な対策を立てるためには、頻出問題の傾向を把握し重点的に学習することが重要です。

ここではテスト対策のポイントと合格するためのコツを詳しく解説します。

頻出問題

  • 技能実習制度の目的
  • 技能実習生の法的地位と権利
  • 禁止行為と罰則
  • 技能実習計画

技能実習制度は単なる労働力確保ではなく、開発途上国等への国際貢献として「技能等の移転」を図ることが主目的であるという点が繰り返し問われるでしょう。

次に技能実習生は日本国内において労働関係法令が適用される労働者であり、最低賃金法や労働基準法などが当然に適用されることを理解しているかが問われます。

また、旅券・在留カードの取上げ、強制貯金、違約金の定め、労働契約の不当な解除など、技能実習法に規定された禁止行為とその罰則について正確に理解しているか、技能実習計画の認定基準や変更手続き、実施状況の報告義務などについての理解が問われます。

理解度テストに合格するコツ

  • 講習での集中力の維持
  • 効果的なノートの取り方
  • 休憩時間の活用(講師に質問する)
  • 簡単な問題から解く
  • 日頃からの情報収集

講習は約7時間と長時間にわたりますが、その内容がそのままテストに反映されるため講義中の集中力が合否を左右します。

特に講師が強調するポイント、重要なキーワードや数字(例:罰則の金額、日数の基準など)、「〜しなければならない」「〜してはならない」といった義務や禁止事項を中心にメモすることが効率的です。

また、技能実習制度は法改正や運用の見直しが行われることがあるため、厚生労働省や外国人技能実習機構のウェブサイトなどで最新情報をチェックしておくことで、より的確に問題に対応できるようになります。

理解度テストは単なる知識の暗記を問うものではなく、実際の実習現場での適切な判断力や対応力を測るものです。そのため、単に答えを覚えるのではなく、制度の趣旨や背景、実習生保護の重要性などを本質的に理解することが、真の意味での合格への近道となります。

技能実習指導員が不在の場合はどうなる?

技能実習指導員が不在の場合はどうなる?

技能実習制度において、技能実習指導員は実習生に直接技術指導を行う重要な存在です。特に介護職種では、介護福祉士の資格を持つ指導員の配置が固有要件として定められており、この要件を満たせない場合には様々な問題が発生する可能性があります。

では、指導員が退職や病気などの理由で突然不在となった場合、実習はどうなるのでしょうか。技能実習計画への影響や代替措置の可能性、リスクとその対策について理解しておくことは、実習実施者として重要な視点です。

ここでは、指導員不在時の対応方法から監査時のリスク対策まで、実践的な内容を解説します。不測の事態に備え、事前に準備しておくべき体制整備についても考えていきましょう。

指導員がいないと技能実習計画はどうなる?

技能実習法第16条では、技能実習計画の認定基準として「技能実習を行わせる事業所の設備が、技能実習を行わせるのに必要な水準を満たしていること」が挙げられており、この「設備」には人的体制も含まれると解釈されています。つまり、介護福祉士の資格を持つ技能実習指導員の不在は、この認定基準を満たさない状態となり、最悪の場合、技能実習計画の認定取消しにつながる可能性があるのです。

技能実習指導員に欠員が出た場合

  • 欠員が出た14日以内に技能実習計画の変更届を提出する必要がある
  • 技能実習計画の一時中断や、最悪の場合は実習生の帰国
  • 指導員の欠員が長期化すると技能実習計画の不正実施とみなされる
  • サービスの質の低下や安全上の問題につながる

特に問題となるのが、代わりの技能実習指導員を直ちに確保できない場合です。介護職種では介護福祉士の資格が必須であるため、資格保持者を急に採用することは容易ではありません。このような状況では、技能実習計画の一時中断や、最悪の場合は実習生の帰国という事態も考えられます。

技能実習計画の一時中断については、明確な規定はありませんが、実務上は監理団体を通じて外国人技能実習機構に相談し、一定期間の猶予が認められるケースもあります。ただし、この期間中も実習生の適正な処遇(賃金の支払いなど)は確保する必要があります。

このように、技能実習指導員の不在は技能実習計画の実施に重大な影響を及ぼす可能性があります。特に介護職種では「介護福祉士」という国家資格を持つ指導員の配置が必須であり、この要件が満たされない状態での実習継続は様々なリスクをはらんでいます。実習実施者(受入れ施設)としては、指導員の急な不在に備えた体制づくりを事前に検討しておくことが重要です。

指導員の急な不在への対策

  • 介護福祉士の資格を持つ職員を複数名確保する
  • 指導員の健康管理に配慮する
  • 緊急時の代替要員を確保しておく

技能実習指導員の不在は単なる人員体制の問題ではなく、技能実習制度の根幹に関わる問題です。指導員を通じて質の高い技能を移転するという制度の主旨を理解し、適切な指導体制を維持することが、実習実施者としての責務であることを認識しておく必要があるでしょう。

※7引用元:厚生労働省「技能実習制度 運用要領 」(1) 技能実習指導員に関するもの 

技能実習指導員の代替措置|臨時の指導者は認められる?

技能実習指導員が突然不在となった場合、介護職種においては介護福祉士の資格を持たない者を臨時の技能実習指導員として正式に認めることはできません。しかし、暫定的な対応として一定の条件下で補助的な指導を行うことは可能な場合があります。

まず、技能実習法及び関連法令上の規定を確認すると、介護職種の技能実習指導員は「介護福祉士の資格を有する者」であることが明確に要件として定められています。この要件は技能実習計画認定の基準となっており、原則として例外は認められていません。つまり、法令上は介護福祉士の資格を持たない者を正式な技能実習指導員として認めることはできないのです。

しかし、実務上の運用においては、短期間の緊急事態に対する暫定措置として、一定の条件下で補助的な指導体制が認められる場合があります。旭会グローバル協同組合の「技能実習計画の変更について」(※8)の資料によれば、技能実習指導員の変更が生じた場合は速やかに変更届を提出する必要がありますが、短期間の不在に対しては以下のような対応が実務上行われることがあります。

技能実習指導員の短期間の不在時の対応

  • 監理団体への相談と報告
  • 暫定的な補助指導者の設置
  • 介護福祉士の資格を持つ正規の技能実習指導員を確保するまでの間、介護経験が豊富な職員(例:実務者研修修了者や介護福祉士試験受験資格を持つ者など)が補助的に指導を担当
  • 外部の介護福祉士の一時的な協力
  • 技能実習計画の一時的な変更

ただし、これらの暫定措置はあくまで短期間(通常は1〜2ヶ月程度)の対応であり、長期にわたって正規の技能実習指導員不在の状態を続けることはできません。

また、暫定措置を講じる場合でも、その旨を変更届に明記し正規の指導員確保に向けた計画も併せて提出することが求められることが多いです。そもそも代替措置が必要となる事態を避けるため、複数の介護福祉士を確保しておくなどの予防策が重要です。

技能実習指導員の代替措置は、制度の趣旨である「適正な技能等の修得」を確保するための例外的な対応であり安易に運用すべきものではありません。実習実施者として、常に適切な指導体制を維持するための努力を続けることが技能実習制度の健全な運営につながるのです。

※8引用元:引用元:旭会グローバル協同組合「技能実習計画の変更について」

監査時に指導員不在が発覚したら?考えられるリスクと対策

監査時に指導員不在が発覚することは、技能実習制度の根幹を揺るがす重大な違反とみなされます。このような事態が発生した場合、受入企業は改善命令や業務停止命令など、厳しい行政処分を受ける可能性があるでしょう。最悪の場合、技能実習計画の認定取消しとなり実習生の在留資格にも影響を及ぼす事態に発展します。

考えられるリスク

  • 行政処分として改善命令が出される
  • 実習計画の認定取消し

改善命令では是正すべき事項と期限が示され、その間は新たな実習生の受入れが制限されることがあります。改善が見られない場合は、最長1年の業務停止命令に発展する可能性もあります。さらに深刻な違反と判断された場合は実習生は帰国を余儀なくされるケースもあるのです。

指導員不在の状況を作らないための対策

  • 複数の指導員を配置する
  • シフト調整を行う
  • 指導記録や実習日誌を丁寧に作成・保管しておく

主担当と副担当を設けることで、主担当が不在の場合でも実習指導の継続性を確保できます。

また、監査の事前通知があった場合は該当日に指導員が確実に勤務するようシフト調整を行うことも重要な対応策となるでしょう。

さらに、日頃から指導記録や実習日誌を丁寧に作成・保管しておくことで、一時的な不在があっても継続的な指導が行われていることを証明できます。

このように、指導員不在のリスクを軽減するためには、日常的な体制整備と緊急時の対応策の両方を準備しておくことが不可欠です。特に介護分野では利用者の安全に直結するため、監査対応は単なる形式的なものではなく、実習生の成長と利用者サービスの質を保証するための重要な取り組みとして捉える必要があります。

※9参考:弁護士法人 咲くやこの花法律事務所企業法務の法律相談サービス「技能実習生や特定技能外国人の解雇のルールや注意点を解説」

指導員不在を防ぐために施設が準備すべきこととは?

介護施設が指導員不在のリスクを防ぐためには、複層的な体制構築が不可欠です。

指導員不在の状況を作らないための対策

  • 複数の指導員を配置する
  • シフト調整を行う
  • 指導記録や実習日誌を丁寧に作成・保管しておく

このように、指導員不在を防ぐためには、人員配置の工夫、シフト管理の徹底、記録システムの整備など複数の視点からの対策が必要です。加えて、指導員の役割や責任を組織全体で共有し、実習生指導を特定の個人に依存しない体制づくりも重要でしょう。

こうした多角的なアプローチにより、持続可能な技能実習指導体制の構築が可能となるのです。

※10参考:エヌ・ビー・シー協同組合「技能実習指導員とは?役割と選任のポイントを解説」

【直接指導だけじゃない】介護分野で働く外国人技能実習生のための学習テキスト

介護分野で働く外国人技能実習生のための学習テキスト

外国人技能実習生への効果的な指導においては直接的な実技指導だけでなく、自主学習を支援する教材の活用も重要な要素です。特に介護分野では専門用語や利用者とのコミュニケーションに関する日本語能力が求められるため、適切な学習リソースの提供が実習生の成長を加速させます。

現在では、多様な無料テキストやeラーニング教材が開発されており、これらを効果的に活用することで、指導の質と効率を向上させることが可能です。

ここでは、介護分野の外国人技能実習生のために活用できる様々な学習テキストやデジタル教材について紹介します。

【無料で使える】外国人技能実習生向けの介護テキスト4選

外国人技能実習生の学習をサポートするためには質の高い教材の提供が不可欠です。特に無料で利用できる公的機関が提供するテキストは、信頼性と質の高さから積極的に活用すべきでしょう。

外国人技能実習生向けの介護テキスト4選

  • にほんごをまなぼう
  • つながるひろがる にほんごでのくらし
  • 日本語教材・日本語教育アプリ
  • ひろがる

▼「にほんごをまなぼう」(※11)

厚生労働省が作成しているこのテキストは介護現場で必要な基本的な日本語表現を易しく解説しており、実習生の日常業務における言語の壁を低減する効果が期待できます。

▼「つながるひろがる にほんごでのくらし」(※12)

文部科学省が提供しており、このリソースは日常生活に必要な日本語だけでなく、文化的背景や生活習慣についても学べる内容となっています。イラストや写真を多用した視覚的な構成は、言語学習の初期段階にある実習生にとって理解しやすい特徴といえます。

▼「日本語教材・日本語教育アプリ」(※13)

外国人技能実習機構が運営するこのアプリは、技能実習制度に特化した内容となっており実習生のニーズに直接応える内容です。特職種別の専門用語集や実務に関連した会話例は、介護の現場ですぐに活用できる実用性の高さが特徴です。さらに、モバイルアプリとして提供されているため、実習生が空き時間に手軽に学習できる利便性も兼ね備えています。

▼「ひろがる」(※14)

独立行政法人国際交流基金関西国際センター提供のこちらは日本語学習と日本文化理解を融合させたコンテンツが特徴です。生活場面や職場でのコミュニケーションを動画で学べる点は、実習生にとって非常に理解しやすく効果的でしょう。これらの無料テキストを組み合わせて活用することで、実習生の総合的な日本語能力と介護スキルの向上を効率的に支援することができるのです。

※11引用元:厚生労働省「にほんごをまなぼう」

※12引用元:文部科学省「つながるひろがる にほんごでのくらし」

※13引用元:外国人技能実習機構「日本語教材・日本語教育アプリ」

※14引用元:独立行政法人国際交流基金関西国際センター「ひろがる」

外国人介護技能実習生向けのeラーニング教材はある?

デジタル技術の発展により外国人技能実習生向けのeラーニング教材も充実してきています。

外国人介護技能実習生向けのeラーニング教材

  • 外国人介護士教育のための基礎eラーニング講座
  • 外国人介護従事者向けにeラーニング研修をやさしい日本語に再編集

▼MANABEL JAPANが提供する「外国人介護士教育のための基礎eラーニング講座」(※15)

特徴的なのは多言語対応と視覚的な教材設計により、言語の壁を最小限に抑えながら専門知識を習得できる点です。実習生は自分のペースで繰り返し学習することが可能となり、理解度に合わせた学びを実現できるでしょう。

▼株式会社ダンクによる「外国人介護従事者向けにeラーニング研修をやさしい日本語に再編集」(※16)

このシステムの最大の特徴は、専門的な介護内容を「やさしい日本語」で解説している点にあります。これにより、言語習得の初期段階にある実習生でも専門知識へアクセスしやすくなるのです。

シフト制の介護現場では全員が同時に研修を受けることが難しい状況もありますが、eラーニングならばそうした時間的制約を克服できます。

また、反復学習が可能な点も大きな利点です。特に言語と専門知識を同時に学ぶ外国人実習生にとって繰り返し学習できる環境は理解度向上に直結します。施設としては、これらのデジタルリソースを積極的に導入し、効果的な学習環境の構築を検討すべきでしょう。

※15引用元:MANABEL JAPAN「外国人介護士教育のための基礎eラーニング講座」

※16引用元:株式会社ダンク「外国人介護従事者向けにeラーニング研修をやさしい日本語に再編集」

技能実習生が自習できるおすすめの日本語・介護テキスト

外国人技能実習生の自律的な学習を支援するためには適切なテキスト選びが重要です。特に日本語と介護の専門知識を同時に学べる教材は、実習生の効率的な成長をサポートします。

おすすめの日本語・介護テキスト

  • 「介護の日本語」シリーズ
  • 「介護の言葉と漢字」シリーズ
  • 「みんなの介護Japanese for Care Workers」

▼「介護の日本語」シリーズ

介護現場で使用される専門用語や会話表現に特化しており、実習生は実際の業務に直結した日本語を効率的に学ぶことができます。各ページには豊富なイラストと多言語での解説があり視覚的にも理解しやすい構成となっています。

▼「介護の言葉と漢字」シリーズ

介護記録や申し送りで頻出する漢字や専門用語を体系的に学ぶことができます。実習生にとって記録業務は大きな壁となりますが、このテキストを活用することで、文書作成能力を段階的に向上させることが可能となります。特に、実際の介護記録をモデルにした例文が豊富に掲載されているため、実践的な文書作成スキルを身につけられる点は大きなメリットでしょう。

▼「みんなの介護Japanese for Care Workers」

日常会話から始まり徐々に専門的な介護用語や技術説明に進む段階的な構成が特徴です。特に注目すべきは、各単元に設けられた文化的背景の解説です。介護には文化的価値観が大きく影響するため、日本の高齢者に対する考え方や接し方についての理解を深める内容は、実習生の総合的な介護能力向上に貢献するでしょう。

これらの自習テキストを効果的に活用するためには、施設側のサポート体制も重要です。単にテキストを提供するだけでなく、定期的な学習時間の確保や、疑問点を質問できる環境づくりが必要となります。例えば、週に一度「質問タイム」を設けたり、学習した内容を実践で確認する機会を意図的に作ったりすることで、テキストでの学びを定着させることができるのです。

このように、質の高い自習教材と適切な学習環境の提供が、実習生の自律的な成長を支える重要な要素となります。

参考:Ameba「【おすすめテキスト】技能実習生向け「介護の日本語」」

介護事業所全体で技能実習生の指導体制を整えよう

介護事業所全体で技能実習生の指導体制を整えよう

効果的な技能実習生の指導体制を整えるために

  • 組織全体の意識改革
  • 明確な指導計画と評価基準の策定
  • 多職種連携による指導体制の構築

技能実習生の受け入れは単なる人手不足解消の手段ではなく、国際貢献と組織の多様性向上という価値ある取り組みであるという認識を共有すべきでしょう。経営層から現場スタッフまで、全員が実習生の育成に関わる意義を理解し、積極的に支援する文化を醸成することが成功の第一歩となります。なぜなら、実習生の成長は指導員だけでなく、日々の業務で関わるすべてのスタッフからの影響を受けるからです。

次に重要なのは、明確な指導計画と評価基準の策定です。技能実習計画に基づいた段階的な目標設定と、その達成度を客観的に評価するシステムを整備することで実習生の成長過程を可視化できます。この計画は単なる書類上の形式ではなく、実習生の特性や学習速度に合わせて柔軟に調整できる実用的なものであるべきでしょう。定期的な評価面談を通じて、実習生自身も自分の成長を実感できる機会を設けることでモチベーション維持にも繋がります。

さらに、介護職員だけでなく看護師や生活相談員、リハビリスタッフなど様々な専門職が各々の視点から実習生を指導することで、総合的な介護スキルの習得が可能となります。特に、実習生の母国語を話せるスタッフがいる場合は言語的・文化的な橋渡し役として重要な役割を担うことができるでしょう。また、先輩実習生によるピアサポート体制も、新人実習生の不安軽減と早期適応に効果的です。

このように、技能実習生の指導は特定の担当者だけの責任ではなく事業所全体で取り組むべき重要な課題です。組織的な指導体制の構築により、実習生は様々な視点からの学びを得ることができ、より質の高い介護技術を習得できるようになります。同時に、多様な背景を持つ実習生の受け入れは、職場の活性化や既存スタッフの視野拡大にも繋がる価値ある取り組みであることを忘れてはならないでしょう。