介護業界における人材不足は深刻な課題となっており、その解決策として外国人介護人材の活用が注目されています。特に「特定技能」制度の開始により、より多くの外国人材が日本の介護現場で活躍するようになりました。
しかし、この制度はあくまで一時的な在留資格であり、長期的なキャリアパスとしては「介護福祉士」という国家資格の取得が重要になります。
この記事では、特定技能から介護福祉士への移行プロセスについて詳しく解説し、介護施設経営者や人事担当者が外国人材の長期的な育成・定着に役立つ情報を提供します。外国人介護人材の可能性を最大限に引き出し、彼らのキャリア発展と貴施設のサービス向上を同時に実現するための具体的なステップを紹介します。
介護分野における特定技能制度の概要
介護業界の深刻な人手不足に対応するため、2019年4月より新たな在留資格「特定技能」が創設されました。
この制度により、これまで技能実習生として日本で介護を学んできた外国人材だけでなく、母国で介護の基礎知識を学んだ人材も直接「特定技能」として来日できるようになりました。
介護分野は14の特定産業分野の一つに指定され、現在、全国の介護現場で特定技能外国人が活躍しています。
ここでは、特定技能制度の概要や技能実習制度との違い、具体的な仕事内容、そして最新の労働者数推移について詳しく解説します。
特定技能「介護」とは?
特定技能「介護」とは、深刻な人手不足が続く日本の介護現場において、一定の専門性と技能を持った外国人材が就労できる在留資格です。この制度は2019年4月に施行された改正出入国管理法に基づいて新設(※1)されました。特定技能は1号と2号に分けられていますが、現在介護分野では「特定技能1号」のみが認められています。
特定技能1号の介護は、単純労働ではなく一定の知識と技能が必要な業務に従事することができます。在留期間は最長5年となっており、家族の帯同は原則として認められていません。ただし、介護福祉士の国家資格を取得することで、在留資格「介護」に移行でき、家族帯同が可能になり、更新回数に制限がなくなるため、実質的な永住への道が開かれます。
※1引用元:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
特定技能と技能実習の制度の違い
特定技能制度と技能実習制度は、どちらも外国人材が日本で就労しながら技能を身につける制度ですが、その目的や運用方法には明確な違いがあります。
まず根本的な違いとして、技能実習制度は「国際貢献」を主目的とした制度であり、日本で学んだ技能を母国に持ち帰って活かすことが想定されています。一方、特定技能制度は「人手不足対策」を主目的としており、日本の労働市場における人材不足を補うことが期待されています。
2つの制度の主な違いは、次の表の通りです。
比較項目 | 特定技能制度 | 技能実習制度 |
---|---|---|
主な目的 | 人手不足対策 | 国際貢献(母国への技能移転) |
転職の自由 | 同じ分野内であれば転職可能 | 原則として最初の3年間は同じ事業所で働く必要あり |
制度運用 | 基本的に一般の雇用契約と同様 | 受け入れ先企業と送り出し国の機関が連携、監理団体が介在 |
支援体制 | 登録支援機関が支援 | 監理団体が管理・支援 |
資格要件 | 日本語能力試験N4以上や専門分野の技能試験の合格が必要 | 来日前の日本語や専門知識のテストは基本的に不要 |
試験免除 | 技能実習2号修了者は試験免除の優遇措置あり | – |
在留期間 | 最長5年(特定技能1号の場合) | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) |
キャリアパス | 介護福祉士の資格取得で在留資格「介護」へ移行可能 | 基本的に期間満了後は帰国が前提 |
(参考:サポネット「何が違うの?特定技能と技能実習6つの違いを解説」を基に表を作成)
在留期間については、技能実習は最長5年、特定技能1号も最長5年と同じですが、特定技能の場合は介護福祉士の資格を取得することで在留資格「介護」へ移行できるため、長期的なキャリアパスが描けるという大きな違いがあります。
特定技能「介護」の仕事内容
特定技能「介護」の外国人材が従事できる業務範囲は、介護の現場で求められる基本的なサービス全般に及びます。
具体的には、高齢や障害で生活をする時に介護が必要になった人たちへの身体介護として、介護を受ける人の状況にあわせて入浴、食事、排せつを助けることなどのほか、レクリエーションの実施、リハビリテーションの補助などの身体介護等に関係して助けが必要なしごとが含まれます。(※2)
ただし、医療行為に当たる「喀痰吸引」や「経管栄養」などは、別途研修を受けなければ実施できません。これは日本人の介護職員と同様の制約です。
特定技能外国人は、一般的な介護職員と同じ業務を担当することができますが、実際の現場では日本語能力や経験に応じて、徐々に業務範囲を広げていくことが一般的です。最初は簡単な業務から始め、日本語や介護技術の習得に合わせて、より複雑な業務や責任のある役割へと移行していきます。
施設側には、適切な研修やサポート体制を整備し、彼らの能力を段階的に伸ばしていく環境づくりが求められます。
※2引用元:出入国在留管理庁「特定技能1号の各分野の仕事内容」
【2025年1月最新】介護分野における特定技能と技能実習の労働者数推移
2024年6月現在の特定技能「介護」の労働者数は36,719人(※3)です。一方、介護分野の技能実習は2万人程度です。
在留資格を持つ外国人労働者の推移では、対前年増加率において「医療、福祉」が28.1%と最も高い伸び率です。特定技能の外国人労働者数は、206,995人(前年比で68,477人(49.4%)増加)となっています。
令和6年10月末時点での外国人労働者および雇用事業所の状況について、外国人労働者数は2,302,587人、外国人を雇用する事業所数は342,087所となっています。これは令和5年10月末時点の2,048,675人、318,775所と比較すると、労働者数は253,912人、事業所数は23,312所の増加となりました。

増加率で見ると、外国人労働者数は前年と同じ12.4%の伸びを示し、事業所数は7.3%と前年の6.7%から0.6ポイント上昇しています。平成19年に届出が義務化されて以降、外国人労働者数および雇用事業所数はともに過去最多を更新し続けています。
※3引用元:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】令和6年10月末時点」
介護福祉士は、日本の介護分野における唯一の国家資格であり、高齢者や障害者の生活支援のプロフェッショナルとして認められています。
単なる身体介護だけでなく、利用者の自立支援や生活の質向上を目指した専門的なケアを提供する役割を担っています。介護現場のリーダーとしての役割も期待され、キャリアアップの道も開かれています。
特定技能外国人にとっても、介護福祉士の資格取得は安定した在留資格の獲得につながるだけでなく、キャリア発展の重要なステップとなります。介護福祉士の仕事内容や資格の概要、そして受験要件について詳しく解説します。
国家資格「介護福祉士」とは?
介護福祉士は、1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格です。この資格は、身体が不自由な高齢者、身体もしくは精神に障害がある方に対し、食事や入浴、排泄の介助など日常生活を営むためのサポートをおこなう専門職(※4)であることを証明するものです。
単なる身体介護の技術だけでなく、医療・福祉・リハビリテーションなど幅広い知識と、利用者の尊厳を守るための倫理観が求められます。
介護福祉士の大きな特徴は、「喀痰吸引」や「経管栄養」などの医療的ケアを、一定の研修を修了することで実施できる点です。これらは通常、医療行為として医療従事者しか行えない業務ですが、介護福祉士は専門的な研修を受けることで、一部の医療的ケアを担当することができます。
※4引用元:介護21「介護福祉士の仕事とは?具体的な仕事内容や1日の流れを紹介」
国家資格「介護福祉士」の仕事内容と種類
介護福祉士の仕事は多岐にわたりますが、基本的な業務としては、食事・入浴・排泄などの直接的な身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助があります。
また、利用者の心身の状況を的確にアセスメントし、個別の介護計画を立案・実施・評価するというケアマネジメントの視点も重要です。さらに、認知症ケアや終末期ケアなど、専門的知識を要する分野にも対応します。
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護付き有料老人ホーム
身体障害者療護施設
デイサービス(通所介護)
グループホーム(共同生活援助)
訪問介護事業所
医療機関
介護福祉士が活躍する場所として、まず施設介護の現場があります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームなどの入所施設では、利用者の24時間の生活を支える役割を担います。ここでは、チームケアの一員として他の職種と連携しながら、利用者一人ひとりのニーズに合わせたケアを提供します。
在宅介護の分野では、訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)などがあります。訪問介護では利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行います。通所介護では、日中に施設に通ってくる利用者に対して、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを提供します。
※5引用元:介護21「介護福祉士の仕事とは?具体的な仕事内容や1日の流れを紹介」
国家資格「介護福祉士」の受験要件は?
介護福祉士の国家試験を受験するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な受験ルートとしては、以下の4つがあります。
実務経験ルート
福祉系高校ルート
EPAルート
養成施設ルートは、介護福祉士養成学校(専門学校や短期大学、4年制大学の介護福祉学科など)を卒業することで受験資格が得られる流れです。養成施設では2年以上の専門教育を受け、1,850時間以上の授業と450時間以上の実習が含まれています。
実務経験ルートは、介護の現場で3年以上かつ1,095日以上の実務経験を積み、さらに「実務者研修(450時間)」を修了することで受験資格が得られるルートです。在留資格「特定技能1号」「技能実習」で就労している外国籍の方は、実務経験ルートになります。(※6)
福祉系高校ルートは、厚生労働大臣が指定した福祉系高校を卒業し、9ヶ月以上の実務経験を積むことで受験資格が得らるルートです。
EPAルート(経済連携協定ルート)は、日本と特定のアジア諸国間で締結された経済連携協定に基づき、外国人介護人材を受け入れる制度です。この制度では、インドネシア、フィリピン、ベトナムといった協定国から看護師・介護福祉士候補者を受け入れ、日本の施設で就労しながら介護福祉士の国家資格取得を目指します。
※6引用元:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)」
特定技能の介護分野と在留資格「介護」の違いとは?
日本の介護現場で働く外国人材には、主に「特定技能」と「介護」という二つの在留資格があります。
「特定技能」は一時的な就労のための資格であるのに対し、「介護」は介護福祉士という国家資格に基づく専門的な在留資格です。両者の違いを理解することは、外国人介護人材を受け入れる施設にとっても、キャリアを考える外国人材自身にとっても重要です。
ここでは、在留資格「介護」の概要や、「特定技能」との仕事内容の違い、そして取得要件の違いについて詳しく解説します。
在留資格「介護」とは
在留資格「介護」は、2017年9月に新設された在留資格であり、介護福祉士の国家資格を有する外国人が日本で介護業務に従事するために設けられました。この在留資格の最大の特徴は、介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動(※7)が前提条件となっている点です。
在留資格「介護」の期間は、「5年」、「3年」、「1年」、「6ヶ月」の4種類があり、最初の申請では通常「1年」または「3年」が付与されます。特に重要なのは、更新回数に制限がないという点です。介護福祉士としての業務を続ける限り、何度でも更新が可能であり、実質的に長期滞在の道が開かれています。
また、永住許可申請の際の在留期間要件(通常10年以上の在留期間が必要)も「介護」の場合は緩和される可能性が高く、将来的な永住への道も視野に入れやすくなります。
特定技能と大きく異なる点として、家族の帯同が認められていることが挙げられます。配偶者や子どもは「家族滞在」の在留資格で来日でき、家族全員での生活が可能になります。このため、長期的な生活設計を立てやすく、定着率も高くなる傾向があります。
※7引用元:出入国在留管理庁「在留資格「介護」」
在留資格「特定技能」の介護と在留資格「介護」の仕事内容の違い
在留資格「特定技能」の介護と在留資格「介護」では、従事できる業務範囲に明確な違いがあります。
特定技能1号の介護従事者は、基本的な介護業務を担当することができます。
食事・入浴・排泄などの身体介護
掃除・洗濯・買い物などの生活援助
利用者とのコミュニケーションや見守り
ただし、サービス提供責任者やチームリーダーなどの管理的ポジションに就くことは原則として想定されていません。また、医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)については、特定技能の枠組みだけでは実施できず、別途の研修が必要になります。
一方、在留資格「介護」を持つ介護福祉士は、より専門的で責任の重い業務を担当することができます。
基本的な介護業務
ケアプランの作成への参画
他の介護職員への指導・教育
サービス提供責任者などの管理的ポジション
医療的ケア(所定の研修を修了した場合)
介護福祉士という国家資格に基づく専門職として、より高度な判断や技術を要する業務を任されることが多いでしょう。
施設の種類によっても違いがあります。特定技能では、基本的に入所施設やデイサービスなどでの就労が中心となりますが、訪問介護での単独訪問には制限がある場合もあります。一方、介護福祉士の場合は、訪問介護でのサービス提供責任者や単独訪問も含め、あらゆる形態の介護サービスで中核的な役割を担うことができます。
在留資格「特定技能」の介護と在留資格「介護」の取得要件の違い
在留資格「特定技能」の介護と在留資格「介護」では、取得するための要件に大きな違いがあります。特定技能は比較的短期間で取得できる一方、「介護」は国家資格の取得という高いハードルがあります。
特定技能1号「介護」の取得要件としては、主に以下の条件を満たす必要があります。
日本語能力試験N4以上(または国際交流基金日本語基礎テスト)に合格
介護技能評価試験に合格(または介護技能実習2号を修了)
介護日本語評価試験に合格
これらの試験に合格した後、在留資格認定証明書の交付申請を行い、査証(ビザ)を取得して来日することになります。既に技能実習2号を修了している場合は、上記の試験が免除される優遇措置があります。
一方、在留資格「介護」の取得要件は、介護福祉士の国家資格を取得していることが大前提となります。
(養成施設ルート)介護福祉士養成施設を卒業
(実務経験ルート)実務経験3年以上かつ実務者研修修了後に国家試験に合格
(福祉系高校ルート)福祉系高校卒業後9ヶ月以上の実務経験を経て国家試験に合格
日本語能力については、特定技能ではN4レベルで良いとされていますが、介護福祉士国家試験に合格するためには実質的にN2レベル以上の日本語力が必要とされています。試験の内容には介護の専門用語や抽象的な概念が多く含まれるため、より高度な日本語能力が求められるのです。
特定技能生が介護福祉士になるまでの流れ
特定技能外国人が介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」へと移行するプロセスは、決して簡単ではありませんが、計画的に進めれば十分に達成可能な目標です。
このキャリアパスは、外国人材にとって日本での長期的な滞在とキャリア発展の道を開くものであり、受け入れ施設にとっても人材の定着と質の向上につながります。
ここでは、特定技能から介護福祉士になるまでの具体的なステップを順を追って解説します。
在留資格「特定技能」1号を取得する
特定技能1号「介護」の取得は、介護福祉士を目指す外国人材にとっての第一歩です。
特定技能には1号と2号がありますが、介護分野では介護福祉士資格保持者が取得できる在留資格「介護」で在留が可能となるため、特定技能2号での受け入れは行われていません。(※8)
母国から直接「特定技能1号」として来日するルート
技能実習2号修了後に特定技能へ移行するルート
直接特定技能1号を取得するルートでは、まず日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する必要があります。加えて、介護技能評価試験に合格し、さらに介護日本語評価試験にも合格しなければなりません。
これらのテストに合格した後、登録支援機関などを通じて日本の受け入れ施設とのマッチングを行い、在留資格認定証明書の交付申請を行います。認定証明書が交付されたら、自国の日本大使館・領事館で査証(ビザ)を取得し、晴れて来日することができます。
一方、技能実習2号修了者が特定技能へ移行する場合は、上記の試験が免除され、より簡単に特定技能1号へ移行することができます。技能実習で既に日本での介護業務や日本語を学んでいるため、このような優遇措置が設けられています。
※8参考:外国人採用サポネット「特定技能「介護」とは?要件・業務内容や技能実習との違いをわかりやすく解説」
介護業務に必要な技能と日本語能力を証明する
特定技能1号として働き始めた後、介護福祉士を目指すためには、より高度な介護技能と日本語能力を身につけ、それを証明していく必要があります。実務の中で技能を磨くと同時に、計画的な学習が求められます。
特定技能の要件を満たすには、技能試験(介護技能評価試験)並びに、日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上)、介護日本語評価試験に合格することが要件となります。(※9)
ただし、将来的な介護福祉士を目指すためにはN2レベルの日本語能力が必要であるとされるため、継続的な学習が必要です。
※9引用元:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
介護施設で3年以上の実務経験を積む
介護福祉士の国家試験を受けるためには、介護等の業務に3年以上(1,095日以上)の実務経験が必要です。(※10)特定技能外国人の場合、この実務経験は日本の介護施設での勤務によって積み上げていきます。
ただし、単に3年間働けばよいというわけではなく、介護福祉士試験の受験に必要な多様な知識と技術を意識的に習得することが重要です。
実務経験を積む介護施設としては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスセンター、訪問介護事業所など、厚生労働大臣が指定する施設・事業所である必要があります。介護福祉士の受験のための実務経験として認められるのは、直接利用者の身体に触れる「身体介護」の業務を含んでいることが条件です。
※10引用元:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 よくあるご質問」
実務者研修または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研を修了する
介護福祉士の国家試験を受験するためには、3年以上の実務経験に加えて、「実務者研修」の修了が必要です。実務者研修は計450時間のカリキュラムで構成されており、介護の基本から医療的ケアまで幅広い知識と技術を学びます。
「人間の尊厳と自立」
「社会の理解」
「介護の基本」
「コミュニケーション技術」
「生活支援技術」
「介護過程」
「発達と老化の理解」
「認知症の理解」
「障害の理解」
「こころとからだのしくみ」
「医療的ケア」など
通常、実務者研修は6ヶ月程度の期間をかけて修了する形式が一般的ですが、在留期間に制約のある外国人材のために、より短期間で修了できる集中講座を提供している研修機関もあります。また、通学だけでなく、一部をeラーニングで受講できるコースもあり、働きながら学びやすい環境が整ってきています。
※11引用元:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修」
国家試験「介護福祉士試験」に合格する
介護福祉士の国家試験は、毎年1月下旬に全国一斉に実施されます。試験内容は筆記試験(試験時間は3時間)のみで125問のマークシート形式です。試験の合格基準は、例年60%前後の正答率とされています。(※12)
外国人材にとって特に難しいのは、介護の専門用語や抽象的な概念を理解し、日本語で解答する点です。対策としては、実務者研修のテキストをしっかり復習するとともに、過去問題集を活用して試験形式に慣れることが大切です。
合格発表は例年3月下旬に行われ、合格者には「介護福祉士登録証」の申請手続きに関する案内が送付されます。この登録手続きを完了することで、正式に介護福祉士として認められることになります。
※12引用元:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」
在留資格「介護」に移行する
介護福祉士の国家試験に合格し、介護福祉士として登録が完了したら、在留資格を「特定技能1号」から「介護」へ変更する手続き(在留資格変更許可申請)を行います。この変更により、より安定した滞在とキャリアの展望が開けます。
在留資格変更許可申請書
写真
パスポート及び在留カード
介護福祉士登録証(写し)
労働者に交付される労働条件を明示する文書
労働条件通知書(雇用契約書)等
招へい機関の概要を明らかにするための文書
技能移転に係る申告書
在留資格「介護」への変更手続きは、通常、本人または所属機関(雇用先の介護施設など)が出入国在留管理局に「在留資格変更許可申請」を行います。
※13引用元:出入国在留管理庁「在留資格「介護」」
介護分野の特定技能の受け入れ可能施設
特定技能「介護」の外国人材を受け入れられる施設・事業所については、厚生労働省によって明確に定義されています。
特定技能「介護」の外国人材を受け入れることができるのは、介護保険法に基づく介護サービスを提供する施設・事業所、および、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供する施設・事業所です。
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護医療院
介護療養型医療施設
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)
訪問介護(ホームヘルプサービス)
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
小規模多機能型居宅介護
▼障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス提供施設・事業所
障害者支援施設
障害福祉サービス事業所
これらの施設・事業所であれば、特定技能「介護」の外国人材を受け入れることが可能ですが、受け入れにあたっては一定の要件を満たす必要があります。詳しくは別記事「特定技能「介護」受け入れ可能施設|完全ガイド」で解説していますので、合わせてご一読ください。
介護分野の特定技能生は5年後どうなる?
特定技能「介護」の外国人材が5年の在留期間を満了した後の主な選択肢は、次の3つです。
母国へ帰国
技能実習「介護」へ移行
5年経過後のキャリアパスについては、同じく「特定技能「介護」受け入れ可能施設|完全ガイド」で詳しく解説しています。
特定技能「介護」の日本語レベルは?
特定技能「介護」の外国人材に求められる日本語能力は、入国時の要件と実際の業務遂行に必要なレベルとで異なります。
特定技能「介護」の在留資格を取得するための要件としては、日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格していることが条件となっています。しかし、実際の介護現場では、このN4レベルでは十分とは言えない場面も多くあります。
特定技能「介護」に求められる日本語レベルについては、別記事「特定技能介護で求められる日本語レベルとスキル向上のための学習法」を参考にしてください。
特定技能「介護」の資格取得要件は?
特定技能「介護」の在留資格を取得するためには、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。これらの要件を正確に理解することは、外国人材の受け入れを検討している介護施設にとって不可欠です。
特定技能「介護」の資格取得要件は大きく分けて、技能面での要件と日本語能力面での要件があります。
ここでは、それぞれの要件について詳しく解説します。
介護技能評価試験に合格
特定技能「介護」の在留資格を取得するための技能面での要件として、「介護技能評価試験」に合格する必要があります。この試験は、介護の基本的な知識と技術を有しているかを評価するものです。
介護技能評価試験は、学科試験と実技試験の二部構成となっています。学科試験では、介護の基礎知識や介護過程、認知症ケア、終末期ケアなどに関する基本的な理解が問われます。一方、実技試験では、食事介助や入浴介助、排泄介助などの基本的な介護技術の実践能力が評価されます。
試験は主に送り出し国(外国人材の母国)で実施されており、日本語または現地語で受験することができます。試験の難易度は、日本の介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)程度の知識・技術を問うものとされています。合格基準は非公開ですが、基本的な介護知識と技術があれば合格できるレベルとされています。
なお、介護分野の技能実習2号を良好に修了した場合は、この介護技能評価試験が免除されるという優遇措置があります。
参考:一般社団法人シルバーサービス振興会「外国人材技能実習制度における介護技能実習評価試験」
日本語能力試験N4または国際交流基金日本語基礎テストに合格
特定技能「介護」の在留資格を取得するためには、一定レベルの日本語能力を証明する必要があります。具体的には、「日本語能力試験N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のいずれかに合格していることが条件となります。
日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の日本語能力を認定する世界最大規模の試験です。N5(最も易しい)からN1(最も難しい)までの5段階のレベルがあり、特定技能では少なくともN4レベルが求められます。N4レベルは「基本的な日本語を理解することができる」とされています。
一方、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、特定技能制度のために新たに開発された試験で、特に生活・就労に必要な日本語能力を測定するものです。このテストは、「聴く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく評価し、コンピューター上で受験する形式となっています。難易度は日本語能力試験のN4レベル相当とされていますが、より実践的な日本語運用能力が問われます。
参考:国際交流基金日本語基礎テスト
参考:日本語能力試験JLPT
介護日本語評価試験に合格
特定技能「介護」の在留資格取得のために必要な三つ目の要件が、「介護日本語評価試験」への合格です。この試験は、一般的な日本語能力に加えて、介護現場で必要とされる専門的な日本語能力を評価するものです。介護の仕事では、利用者やその家族、他の職員との円滑なコミュニケーションが不可欠であり、その能力を証明するために設けられた試験と言えます。
介護日本語評価試験は、「聴解」「会話」「文字語彙」「読解」の4つの分野から構成されています。具体的な内容としては、利用者との日常会話、介護記録の読み書き、申し送りやカンファレンスでの情報共有、緊急時の報告など、介護現場で必要とされる実践的な日本語能力が問われます。
試験は主に送り出し国で実施されており、介護技能評価試験と同じく、公益社団法人「国際厚生事業団」(JICWELS)が実施機関となっています。試験の難易度は、日本語能力試験N4レベルの日本語力を持ち、基本的な介護用語を理解していれば合格できる程度とされています。
参考:PROMETRIC「介護技能評価試験、介護日本語評価試験」
【2025年1月最新版】介護福祉士の合格率って?
介護福祉士の国家試験は、外国人材が日本での長期的なキャリアを築く上で重要な関門となります。
特定技能外国人にとっては、この試験の合格が在留資格「介護」への移行につながるため、合格率や試験の傾向を把握することは極めて重要です。
ここでは、2025年1月に実施された最新の介護福祉士国家試験の合格率と、直近5年間の推移について詳しく解説します。
2025年1月(第37回)の介護福祉士国家試験の合格率は?
第37回介護福祉士国家試験は2025年1月26日(日)に実施されました。本試験の合格率については、現時点ではまだ正式発表がされていません。合格発表は2025年3月24日(月)となる予定です。
過去の動向を参考にすると、第35回(令和4年度)は84.3%、第36回(令和5年度)は82.8%(※14)と、近年は80%以上の高い合格率が続いています。過去10年間の推移を見ると、かつては70%前後で推移していましたが、ここ2年は明らかに合格率が上昇傾向にあります
※14引用元:ケア人材バンク「第37回介護福祉士国家試験 解答速報・合格ライン_2025年1月実施」
直近5年間の介護福祉士国家試験の合格率推移
過去5年間の介護福祉士国家試験の合格率を分析すると、明確な上昇傾向が見られます。特に最近2年間では大きな変化が起きています。
開催年度 | 合格率 |
---|---|
第32回(令和元年度) | 69.9% |
第33回(令和2年度) | 71% |
第34回(令和3年度) | 72.3% |
第35回(令和4年度) | 84.3% |
第36回(令和5年度) | 82.8% |
2019年度から2021年度(第32回〜第34回)までは70%前後で緩やかな上昇傾向を示していましたが、2022年度(第35回)に突如12ポイント増の84.3%まで跳ね上がりました。2023年度(第36回)はわずかに減少したものの、依然として80%台の高水準を維持しています。
筆記試験における合格基準点は、毎年75点付近を推移する傾向(※15)にあります。合格するためには、筆記試験と実技試験の両方において、総得点の約60%を獲得する必要があるとされています。
※15引用元:マイナビ介護職「2024年「介護福祉士国家試験(第36回)」合格発表|合格率は82.8%・合格ラインは?」
【事例3選】介護福祉士になった技能実習生・特定技能生のご紹介
特定技能外国人や技能実習生が介護福祉士になるというキャリアパスは、決して容易ではありませんが、確実に実現可能な道です。
ここでは、実際に介護福祉士の資格を取得し、日本の介護現場で活躍している3名の外国人材の事例を紹介します。彼らの成功体験は、これから同じ道を目指す外国人材にとって大きな励みとなるでしょう。また、受け入れ施設側にとっても、効果的な支援のあり方を考える上で参考になるはずです。
特定技能「介護」から介護福祉士になったミャンマー人
神奈川県の介護老人保健施設で勤務するミャンマー出身のザ ザ ルイン(ZAR ZAR LWIN)さん(25歳)が介護福祉士の国家試験に合格しました。2019年に介護技能実習生として来日し、日本で介護士として働き続けたいという強い思いを持ち、業務の合間に勉強を継続。実務経験3年を経て合格を果たしました。
ザ ザ ルインさんはミャンマーの語学学校で日本語を学んだ後、2020年1月に来日、施設では生活面のサポートやeラーニングによる介護教育、日本語教育を受け、2025年1月から「特定技能 介護」の在留資格で就業しています。また、介護資格スクールの出張研修で実務者研修も取得し、介護福祉士合格へとつながりました。
引用元:株式会社ウィルオブ・ワーク「当社が就労支援する特定技能外国人5名が国家資格「介護福祉士」に合格!」
技能実習から介護福祉士になったスリランカ人
沖縄県の社会福祉法人で働くスリランカ出身のチャトゥミさんが、令和3年度の介護福祉士国家試験に合格しました。2018年11月に技能実習生として来日し、2021年11月に技能実習2号を修了後、特定技能に在留資格を変更して同じ職場で勤務を続けています。
チャトゥミさんは技能実習3年目に実務者研修を修了し、「実務経験ルート」で国家試験に挑戦。日本語能力の高さを活かし、仕事の合間に1日最大10時間の勉強を重ねた結果、見事合格を果たしました。
「将来、利用者の自立を支援する、よりよい介護を提供できる介護福祉士になりたい」と語るチャトゥミさんは、次の目標として看護師資格の取得も視野に入れています。
引用元:アイム・ジャパン「2024年「アイム・ジャパン技能実習修了生から「介護福祉士」が誕生しました」
特定技能「介護」から介護福祉士になったインドネシア人
長野県小諸市の介護型老人ホームで勤務するインドネシア出身のデビー・アングラーニさん(29歳)が介護福祉士の国家試験に合格しました。技能実習生として来日して5年、2024年3月に全国で初めて技能実習生から介護福祉士の資格を取得した一人です。
デビーさんはインドネシアで助産師として働いていましたが、家族を支えるために23歳で来日を決意。2018年に技能実習制度の第1期生として現在の施設に就職しました。毎日2〜3時間の勉強を重ね、「何も言えないぐらい嬉しい。本当に夢みたい」と合格の喜びを語っています。
流暢な日本語と丁寧なケアで入所者からも慕われるデビーさんは、その働きぶりが評価され、施設のユニットリーダーに抜擢されました。現在は次の目標としてケアマネジャーの資格取得を視野に入れ、さらなるキャリアアップを目指しています。